ドル円週間見通し(7/28~8/1):146-150円レンジ予想、日銀会合・米FOMCに注目
今週のドル円展望。予想レンジは146.00-150.00円。日銀会合と米FOMCでは、植田和男総裁とパウエルFRB議長の政策姿勢に注目。IG証券のアナリストが売買ポイントを分かりやすく解説。

要点
・現在のドル円は、米ドルの動きに影響を受けている
・米FOMC、パウエルFRB議長の会見で利下げ時期を探る状況に
・日銀会合、インフレ見通しと植田和男総裁の政策に注目
・ドル円の週間予想レンジは146.00-150.00円

出所:TradingView
米FOMC、パウエルFRB議長の会見で利下げ時期を探る
6月の消費者物価指数(CPI)は前年同期比で2.7%と、前月の2.4%から伸びが加速した。同比のコア指数も前月の2.8%から2.9%となり、インフレの粘着性を示した。
31日に米FRBが重視する6月の個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)が発表される。ブルームバーグがまとめた市場予想では、トレンドを示す前年同月比が2.5%と前月の2.3%から伸びが加速する見通しにある。前月比も総合とコアともに0.3%の上昇が見込まれ、インフレの粘着性が示される可能性がある。
米PCEデフレーターの推移:直近1年間

ブルームバーグのデータで作成 / 赤棒グラフ・ドット:6月の予想
29日~30日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。トランプ大統領は米連邦準備制度理事会(FRB)に利下げを要求している。ボウマン副議長とウォラー理事は利下げを支持する可能性がある。しかし、上述したインフレの粘着性を考えるならば、パウエルFRB議長は関税がインフレに与える影響を見極める姿勢を維持すると思われる。7月会合では利下げを見送る公算が大きい。従って今回の焦点は、利下げ時期の見極めとなろう。パウエルFRB議長の会見で、市場参加者はそのヒントを得ようとするだろう。
現状、短期金融市場では9月FOMCでの利下げを意識している。25日時点で利下げ確率は60%台にある。しかし、7月に入り市場の思惑が再び揺れている。パウエルFRB議長が関税によるインフレ再燃のリスクの高まりと経済の底堅さに言及する場合、9月利下げ期待の後退要因となろう。この場合は米ドル高を想定したい。
パウエルFRB議長の慎重姿勢に加えて、上記のPCEデフレーターや8月1日に発表される7月の米雇用統計がいずれも予想を上回る場合は、週後半に米ドル買いが進行する可能性がある。
9月FOMCの利下げ確率の推移:5月以降

ブルームバーグのデータで作成 / OISに基づく予想確率、7月25日時点
※マイナス:利下げ
日銀会合、インフレ見通しと植田総裁の政策姿勢に注目
日銀は30日~31日に金融政策決定会合を開く。今回の焦点は、展望レポートのインフレ見通しと植田和男総裁の会見となろう。
7月の経済・物価情勢の展望(展望レポート)では、インフレ見通しが上方修正されるとの見方がある。5月初めに公表された4月の展望レポートでは、2025年のコアインフレ率の見通し(中央値)が2.2%、2026年が1.7%と、いずれも1月予想(2.4%、2.0%)から下方修正された。2027年の見通しは1.9%だった。
米ブルームバーグは25日、日米関税交渉の合意を受け、日銀が年内に利上げができる環境が整う可能性があるとみていると報じた。インフレ見通しが上方修正され、会合後の会見で植田和男総裁が日米合意を評価し利上げに前向きな姿勢を示せば、国内金利には上昇の圧力が高まるだろう。外為市場では円高が予想される。
しかし、参院選を経て国内政局は混迷の度を増している。今後の国会運営で自公が野党各党と協調せざるを得ない状況は、財政拡張路線を警戒した国内金利のボラティリティを高める要因になり得る。植田総裁の会見が円高の要因となっても、短期で終息することが予想される。
日米両政府が公表した関税交渉の合意内容を見ると、双方の主張に隔たりがあることが分かる。また、新たな関税率の適用日について日本は8月1日を想定しているが、米国からの説明はないという。合意内容を記した共同文書もないため、トランプ米政権が突然方針を転換してくる可能性がくすぶる。先行き不透明感が残る合意内容を警戒し、植田総裁が年内の利上げに慎重な姿勢を示す場合は円安を想定したい。
関税合意に関する日米の主張

公開情報をもとに筆者が作成
ドル円の週間見通しとテクニカル分析
週間予想レンジの上限:150.00
今週のドル円(USD/JPY)は、日米中銀イベントで大きく動くだろう。米ドル高と円安が重なる場合は、節目の150.00を視野に上昇幅の拡大を想定したい。このラインを今週の上限と想定したい。
ドル円が150.00を目指すサインとして、以下にまとめたレジスタンスラインの攻防が焦点となろう。注目は日足チャートの半値戻し149.38の攻防である。7月第3週に相場の上昇を止めたこのテクニカルラインの突破は、地合いの強さを市場参加者に印象付けるだろう。
ドル円が149円台を目指すサインとして、1時間足チャートのフィボナッチ・エクステンション100%の水準148.44レベルの攻防に注目したい。このテクニカルラインを突破すれば、7月第3週にレジスタンスラインとして意識された149.00を目指す展開を想定したい。ドル円が149円台へ上昇すれば、149.38のトライが視野に入ろう。
レジスタンスライン
・150.00:週間予想レンジの上限、心理的節目のライン(日足チャート)
・149.38:半値戻しの水準(日足チャート)
・149.00:レジスタンスライン(1時間足チャート)
・148.44:フィボナッチ・エクステンション100%の水準(1時間足チャート)
週間予想レンジの下限:146.00
日米の中銀イベントと米経済指標がドル円(USD/JPY)の下落要因となれば、以下で述べるサポートラインの攻防に注目したい。
サポートラインへ転換する可能性がある146.00を週間の予想レンジ下限と想定したい。このラインを目指すサインとして、まずは1時間足チャートの147.40レベルと146.80レベルの攻防に注目したい。いずれもサポートラインへ転換する可能性がある。
ドル円が後者の146.80レベルを下方ブレイクする場合は、先週23日と24日に相場をサポートした21日線のトライを想定したい。この移動平均線の下方ブレイクは、予想レンジ下限146.00をトライするサインと捉えたい。
筆者の想定を超える下落でドル円が146円を下方ブレイクする場合は、50日線を視野に下落幅の拡大を警戒したい。この移動平均線は現在、145.25レベルで推移している。
サポートライン
・147.40:サポートライン(1時間足チャート)
・146.80:サポートライン(1時間足チャート)
・146.53:21日線(日足チャート)
・146.00:週間予想レンジの下限(日足チャート)
・145.25:50日線(日足チャート)
ドル円のチャート
日足:年初来

出所:TradingView
1時間足:7月15日以降

出所:TradingView
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