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保険株は相次いだ銀行破綻による低迷から回復となるか

T&Dホールディングスや第一生命ホールディングスなどの保険株は、銀行セクターの破綻による混乱や債券危機から低迷した。4月に入り回復の兆しを見せた保険株は、このまま続伸するのだろうか。

market 出所:ブルームバーグ

シリコンバレー銀行の破綻が金融セクターに混乱を招いて以来、日本の銀行株が注目されている。しかし、債券ポートフォリオの混乱に保険株が巻き込まれたことはあまり知られていない。日経平均株価に含まれる生命保険会社の株価はこの1カ月間で大きく変動し、中には25%近く下落した銘柄もある。

しかし、4月第1週には、保険株が徐々に回復する兆しを見せており、投資家は株価が今後上昇するのではないかと考え始めている。

保険株が銀行破綻の影響を受け低迷

3月に発生した銀行セクターの混乱は、米国地方銀行のシリコンバレー銀行が破綻したことが発端となった。同行の知名度はさほど高くないものの、2022年には米国ベンチャー企業の半数近くと取引していた。

金利の上昇に伴って発生した銀行の破綻危機は、大規模な債券ポートフォリオを運用する銀行に対する監視の目を強めることとなった。クレディ・スイスドイツ銀行の株価は、銀行セクターに対する破綻の懸念がヨーロッパに波及したため、大幅に下落した。その結果、クレディ・スイスはスイスの銀行大手UBSに買収された。

金利の引き上げは、銀行が保有する複数の長期債の価値を下げ、現在の利回りに対する価値にも影響を与えたため、投資家の間に混乱が生じた。この銀行セクターに対する懸念は 日本の銀行株にも広がり、りそなホールディングス千葉銀行などの大手銀行は10%以上の株価下落を記録した。

しかし、保険業界は相次いだ金融危機の影響を大きく受けていたにもかかわらず、あまり注目されていなかった。保険株は銀行セクターと密接な関係があり、それぞれの債務商品が類似していることから、銀行セクターの混乱が保険業界にも波及した。

例えば、生命保険会社のT&Dホールディングス(8795)は、3月29日までの1カ月間で株価が約23%減少した。同業の第一生命ホールディングス(8750)は同期間に株価が約16%下落し、ふくおかフィナンシャルグループ、りそなホールディングス、千葉銀行といった銀行株よりも低迷した。

保険会社や銀行は、高い利回りから高いリターンを狙い、国債の発行に踏み切った。しかし、こうした動きによってとりわけ短期利回りが長期利回りよりも高くなることから、国債の運用コスト上昇の影響を受けやすくなった。日米間の短期金利差が拡大してヘッジコストが膨らむことでこの影響が増幅したため、保険会社は厳しい状況に置かれることとなった。特に、T&Dと第一生命にはその影響がすぐに表れた。

T&Dホールディングス、第一生命は続伸か

保険株は、一連の銀行破綻が発生した当初は低迷したものの、現在は回復の兆しを見せている。T&Dは3月23日から30日までの1週間で2.95%上昇し、終値で1,605円をつけた。さらに、第一生命は同期間に2.47%上昇し、3月以降の大幅な下落を一部相殺した。

回復の兆しを見せた保険株は、投資家の不安を和らげただけでなく、現在の株価からさらに上昇する可能性がある。

例えば、日本格付研究所(JCR)は2022年12月に発表した格付けで、T&Dの債券評価をAからA+に格上げした。この格付けで同社は、「金利環境の変化を受けて保有資産にかかる評価性損失を計上しているものの、当該損失を調整した純利益は安定的に推移している」と評価されている。1月には、JCRが日本の生命保険会社をさらに幅広く見直し、各社に対して安定的な見通しを示した。

また、外交問題評議会の分析によると、日本の保険会社は銀行の破綻危機以前から外国債に消極的な姿勢を示していたようだ。この分析結果では、保険会社はヘッジコストが高くつくため、外国債券を敬遠していたことが示唆されている。外国債券が不安定であることから、保険業界は日本国債に債務ポートフォリオを転換し、将来の金利変動リスクを軽減することが見込まれる。

市場は先行き不透明な融資環境と隣り合わせであるため、保険業界にとって不安材料は残るが、T&Dおよび第一生命は前月よりも高い水準で推移することを期待している。

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