NY金見通し(6/13)：金価格急騰、中東緊張で最高値3500ドル視野

記事の概要

・イスラエルは13日未明、イランを攻撃したと発表
・中東情勢の緊迫化で安全資産の金（ゴールド）が急騰
・スポット金価格は5月6日の高値3,435ドルが視野に
・4月に付けた最高値3,500ドルのトライを想定する局面にある

目次

1. 中東情勢緊張、イスラエルがイランを空爆
2. 米国の反応
3. 各市場の反応
4. 金価格が急騰、最高値が視野に

中東情勢緊張、イスラエルがイランを空爆

イスラエルのカッツ国防相は13日、イランに対して攻撃を行ったと述べた。イスラエル軍も同日、イラン国内の核関連施設を含む数十カ所の軍事目標の第1次攻撃を完了したと発表した。また作戦は今後も続くと表明した。

イスラエルのネタニヤフ首相はビデオメッセージで、「イランの核濃縮プログラム、核兵器開発プログラムの核心を攻撃した」と述べた。一方、イランはイスラエルと米国に対する攻撃を示唆した。中東情勢が一気に緊張してきた。

米国の反応

ロイター通信によれば、米国のルビオ国務長官はイスラエルによるイラン攻撃について米国は関与していないとし、最優先事項はこの地域の米軍を守ることだと述べた。

米ホワイトハウスは、トランプ大統領が国家安全保障会議（NSC）の最高幹部を招集し会議を行うことを発表した。

各市場の反応

外為市場
早朝からリスク回避の円高が進行。ドル円（USD/JPY）は安値142.79まで下落した。その後反発するも、143円ミドルで上値が重い。

日米の株価指数
日経平均の株価指数CFD「日本225」は一時700円超下落した（前日比）。
最高値圏にあるS&P500とナスダック100も急落した。S&P500の株価指数CFD「米国500」は前日比1.6％安、一時5,924ポイントまで急落した。ナスダック100の株価指数CFD「米国テク株100」は1.7％安、21,455ポイントまで急落。いずれの指数も反発は限定的。

国際商品市況
NY原油先物価格（7月物）が急騰。商品CFDのWTI先物価格（7月物）は2024年8月以来の高値水準77.59ドルまで急伸する局面が見られた。

※市場動向：レポート掲載時点

商品CFDのNY原油先物価格：日足 2024年以降

出所：IGチャート

金価格が急騰、最高値が視野に

イスラエルによる今回の攻撃は1979年のイラン・イスラム革命、1991年の湾岸戦争、そして2003年のイラク戦争に匹敵する中東秩序の転換点となる可能性がある。特にイスラエルとイランの対立が決定的となり報復の応酬が現実味を帯びてきた状況は、投資家のリスク回避姿勢を強めよう。

スポットの金価格（以下では金価格）は現在、5月6日の高値3,435ドルの攻防にある（日足チャート、黒矢印を参照）。一目均衡表が強気地合いを暗示する三役好転にあることを考えるならば、3,435ドルの突破を想定したい。金価格がこのラインを完全に突破すれば、4月22日の史上最高値3,500ドルが視野に入ろう。金価格が3,435ドルを突破した後、反落の局面でこのラインが下値支持線へ転換する場合もまた、3,500ドルのトライを想定したい。

今日以降、金価格が3,500ドルを突破する場合は、フィボナッチ・エクステンション100％の水準3,576ドルのトライに注目したい。

一方、金価格が反落する場合、今日は3,400ドルの維持が焦点となろう。この水準は昨日の高値レベル（3,398.72ドル）である。3,400ドルが下値支持線へ転換する場合もまた、3,500ドルをトライするサインと捉えたい。

レジスタンスライン
・3,576：フィボナッチ・エクステンション100％
・3,500：過去最高値
・3,435：5月6日の高値

サポートライン
・3,400：6月12日の高値水準

金価格のチャート

日足：今年4月以降

出所：TradingView