NY金見通し 7/22:3,360-3,474予想、ドル安再燃の可能性と投機筋のゴールド買い
NY金相場が再び騰勢ムードを強めている。21日のスポット価格は1.4%高となり3,400ドルへ到達する局面があった。外為市場ではドル安が再燃する可能性がある。投機筋はゴールド買いに動いている。目先の金価格の見通しと注目のチャート水準についてIG証券のアナリストが分かりやすく解説。

要点
・21日の金価格は前週末比1.4%高で終えた、騰勢ムードが強まっている
・外為市場ではドル高が一服、ドル安再燃なら金価格の押し上げ要因に
・投機筋のゴールド買いも金価格の下支え要因となろう
・金価格の予想レンジは3,360-3,474ドル(25日まで)
金価格1.4%高、強まる騰勢ムード
21日の国際商品市況でNY金相場が上昇した。先物価格(8月物)は前週末比48.1ドル(1.4%)高の1トロイオンス3,406.4ドルと、終値で3,400ドルを維持した。スポット価格も前週末比1.4%高となり、6月2日の2.8%高以来の大幅上昇となった。高値3,401ドルを付ける局面が見られた。
スポット金価格の日次変動率:5月~7月21日

ブルームバーグのデータで作成
スポット金価格(以下では金価格)のトレンドを日足チャートで確認すると、89日線で二度相場が反発し、5月15日の安値3,121ドルを基点とした下値支持線を形成。一目均衡表の遅行スパンは再び日足ローソク足を上抜け、RSIも上昇している。7月以降、上値の水準が切り上がり騰勢ムードが強まっている。
スポット金価格のチャート:日足 4月以降

出所:TradingView
ドル安再燃なら金価格の押し上げ要因に
21日の金価格の押し上げ要因となったのが米ドル安だった。米金利の低下を受け、昨日の外為市場では米ドルが全てのG10通貨で下落した。
米ドルの大まかなトレンドを示すドル指数(DXY)は、三度50日線で上値が止められた。昨日は4月21日の安値97.92ポイントを日足ローソク足の実体で下方ブレイクした。一目均衡表の遅行スパンもローソク足の実体を下抜けた。RSIは50を下回る状況にある。
これらテクニカルの動向は、ドル安再燃の可能性を示唆している。今日以降、米ドル安が続けば金価格の押し上げ要因となるだろう。
ドル指数のチャート:日足 2月以降

出所:TradingView
ゴールド買いを仕掛ける投機筋
金価格のトレンドを考える上で、投機筋の動向にも注目したい。
米国商品先物取引委員会(CFTC)が公表しているデータ(7月15日までのデータ)によれば、非商業部門の買い(ロング)ポジションが増加の傾向にある。差分のトレンドを見ると、7月は小幅ながらも増加の一途にある。ネットロング(買いポジションと売りポジションの差分)もじわりと増加している。
冒頭で述べた金価格の上昇トレンド(7月以降の上昇基調)と投機筋のゴールド買いの動きが一致している。投機筋の動きもまた、現在の上昇相場を支える一因となっていることがうかがえる。
非商業部門 買い(ロング)ポジション動向

米国商品先物取引委員会(CFTC)とブルームバーグのデータで作成 / 7月15日時点
金価格の見通しとテクニカル分析
予想レンジの上限:3,474ドル
4時間足チャートで金価格のトレンドを確認すると、レジスタンスラインとして意識されていたフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準3,373ドルを一気にブレイクアウトした。冒頭の日足チャートと同じく、金価格の騰勢ムードが強まっていることが分かる。
今週25日までの予想レンジ上限を3,474ドルと想定したい。このラインは、フィボナッチ・エクステンション161.8%に当たる(4時間足チャートを参照)。今日以降、4時間足チャートのフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準でありフィボナッチ・エクステンション100%の水準でもある3,400ドルを完全にブレイクアウトすれば、3,474ドルを視野に上昇幅の拡大を想定したい。
金価格が3,474ドルをトライするサインとして注目したいのが、3,451ドルである。この水準は6月15日と16日に連日で相場の上昇を止めた経緯がある(日足チャートを参照)。
レジスタンスライン
・3,500:過去最高値の水準(日足)
・3,474:予想レンジの上限、エクステンション161.8%(4時間足)
・3,451:6月中旬の高値水準(日足)
・3,400:エクステンション100%(4時間足)
予想レンジの下限:3,360ドル
4時間足のRSIは買われ過ぎの水準へ上昇している。ストキャスティクスも同じ状況にある。短期的な上昇の過熱感が意識されやすい局面にある。
今日以降、上で取り上げたレジスタンスラインで金価格が反落する場合、今週は以下にまとめたサポートラインの攻防に注目したい。25日までの予想レンジの下限は3,360ドル。今日現在、この水準には5日線が上昇している。
金価格が3,360ドルをトライするサインとして、3,375ドル前後の攻防に注目したい。この水準は上で述べたフィボナッチ・リトレースメント61.8%戻しに当たる。3,375ドルがレジスタンスラインからサポートラインへ転換すれば、地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。一方、サポート転換に失敗すれば、5日線(3,360ドル)のトライを想定したい。
筆者の想定を超える調整売りで3,360ドルを下方ブレイクする場合は、3,320ドルまでの下落を想定したい。このラインは7月中旬に相場を下支えしたサポートラインである。今日現在、二度相場をサポートした89日線がこのライン付近まで上昇している。
サポートライン
・3,375:サポートラインへ転換する可能性あり(4時間足)
・3,360:予想レンジの下限、5日線(日足)
・3,320:サポートライン(4時間足)、89日線(日足)
金価格のチャート
日足:今年4月以降

出所:TradingView
4時間足:6月以降

出所:TradingView
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。