NY金予想(9/9):3560~3700ドル予想、過熱感での反落は買いの好機
NY金相場の上昇が止まらない。スポットの金価格は初の3600ドル超え。短期的な過熱感は否めないが、反落は押し目買いの好機と捉えたい。注目のチャート水準をIG証券のアナリストが詳細解説。

要点
・8日の市場でNY金相場が続伸、先物とスポットは最高値を更新
・金価格の地合いは強いが短期的な過熱感は否めない、調整売り警戒
・米利下げ期待は金価格の押し上げ要因、反落は押し目買いの好機
・金価格の予想レンジは3560~3700ドル(12日まで)
最高値更新、スポット価格は初の3600ドル突破
8日の国際商品市況でNY金相場が続伸した。先物価格(12月物)は前週末比24.1ドル(0.7%)高の1トロイオンス3677.4ドルで終えた。一時3685.7ドルまで上昇し、連日で最高値を更新した。
スポット価格(以下、金価格)は初の3600ドル超えで最高値を更新。3646ドル(IGレート)まで上昇する局面が見られた。
スポット金価格の月足チャート:1996年以降

出典:IG / TradingView
過熱感否めず、米インフレ指標に注目、調整売りは押し目買いの好機
NY金相場は9月1~5日の週まで3週続伸中。金(ゴールド)買いが進行した3月以来である。9月以降、先物価格は4.6%、スポット価格は5.5%も上昇している。短期的な過熱感が意識されやすい状況にある。
金価格の週間変動率:2025年2月以降

今週のNY金相場は、米インフレ指標で大きく動くことが予想される。10日に生産者物価指数(PPI)、11日に消費者物価指数(CPI)が発表される。市場参加者の関心が高いのはCPIである。ブルームバーグがまとめた市場予想では、総合指数が前月比と前年同月比でともに7月より上昇する見通しである。コア指数も7月から横ばい予想にあり、インフレの粘着性が示される可能性がある。
8月PPIとCPIがインフレの粘着性を示唆する場合は、米金利の反発とそれに伴う米ドル買いが予想される。今の金価格は過熱感が意識されやすい状況にある。米インフレ指標の上振れは調整売り要因になり得る。
米消費者物価指数の動向:過去1年間

ブルームバーグのデータで作成 / 赤棒グラフ・ドット:8月予想
金価格の反落は押し目買いの好機と捉えたい。8月の雇用統計をはじめとした先週の雇用指標はいずれも市場予想を下回った。景気を下支えしている労働市場の減速が確認された状況で8月CPIがインフレの粘着性を示唆する場合は、スタグフレーションの懸念と米利下げ期待を高める要因である。実際、OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)市場では、景気の先行き不透明感が意識され、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%利下げを完全に織り込む状況にある。
0.5%の大幅利下げの可能性も50%程度の確率で織り込み始めている。この点についてCMEのFedWatchツールは、10%前後の織り込みにとどまっており、OIS市場との差が見られる。大幅利下げの思惑についてはOIS市場の「先走り」が否めない。しかし、10月利下げの予想確率は80%台まで急上昇している。12月の利下げ確率は90%台を維持している。
市場参加者は、米FRBがインフレよりも景気の下支えのために連続利下げに踏み切る可能性を意識している。この状況は金価格の押し上げ要因である。
米FOMC 利下げ確率の推移:日次 6月以降

ブルームバーグのデータで作成 / 9月9日午前7時時点
金価格の見通しとテクニカル分析
予想レンジの下限:3560ドル
金価格の日足RSIは買われ過ぎの水準にある。45分足(短期)のRSIも同じ状況にある。前述した過熱感はテクニカル指標も示唆している。ストキャスティクスは買われ過ぎの水準から低下基調へ転じている。短期の調整売りを意識したい。
しかし前述のとおり、金価格の反落は押し目買いの好機と捉えたい。目先、買いを仕掛ける水準として注目したいのが、45分足チャートにまとめた3つのサポートラインである。いずれも下値支持線への転換を意識する水準である(赤ラインを参照)。現在、3600ドルと3580ドルの間に5日線が推移している。3560ドルを12日までの下限と想定したい。
サポートライン:45分足
・3600ドル:サポートライン
・3580ドル:サポートライン
・3560ドル:予想レンジの下限
予想レンジの上限:3700ドル
金価格の上昇局面では、以下にまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。最大の焦点は3700ドルのトライと突破となろう。このラインを12日までの上限と想定したい。
金価格が3700ドルをトライするサインとして、2つのテクニカルラインの攻防に注目したい。最初の焦点は、45分足チャートのフィボナッチ・エクステンション100%の水準3652ドルである。昨日高値の3646ドルの突破は、このテクニカルラインをトライするサインとなろう。
次の注目ラインは、日足チャートのフィボナッチ・エクステンション261.8%の水準3680ドルである。100%の水準は8月29日と31日に、161.8%の水準は9月2日にそれぞれ相場の上昇を止めた経緯がある。261.8%の水準も一度今の上昇相場を止める可能性がある。
金価格が3680ドルを突破する場合は、3700ドルをトライするサインとなろう。
レジスタンスライン
・3700ドル:予想レンジの上限(45分足、日足)
・3680ドル:フィボナッチ・エクステンション261.8%(日足)
・3652ドル:フィボナッチ・エクステンション100.0%(45分足)
金価格の日足チャート:今年4月以降

出典:IG / TradingView
金価格の45分足チャート:8月29日以降

出典:IG / TradingView
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。