豪ドル円、再上昇も RBAは利下げ姿勢後退か 米国格下げ余波は?
オーストラリア中銀は20日に利下げを決める見通し。しかし今後の追加利下げへの距離がみられれば、豪ドル高圧力として働く可能性がありそうだ。

豪ドル円相場で豪ドル高が再燃する可能性が出ている。オーストラリア準備銀行(RBA)は19、20日の理事会で利下げを決める見通し。しかし今後の金融政策については追加利下げから距離を置くことも考えられ、豪ドルに対する上昇圧力が強まることもありえそうだ。オーストラリア経済をめぐっては雇用の強さや物価上昇の根強さが意識されており、足元では1豪ドル=93円前後で推移している豪ドル円相場が豪ドル高方向に動くことも想定される。一方、豪ドル円相場の今後の見通しをめぐっては、16日に発表された米国の格下げの余波も焦点のひとつ。投資家のリスク回避姿勢が円高の流れを強めた場合には、豪ドル円相場では豪ドル安が進むシナリオも浮かんでくる。
オーストラリア中銀は20日に利下げの見通し 追加利下げには距離か
オーストラリアの中央銀行にあたるRBAは20日午後2時30分(日本時間20日午後1時30分)に理事会の結果を発表する。ブルームバーグのデータによると、投資家の動向から算出される利下げ確率は、日本時間19日午前11時段階で97%と見込まれており、利下げが確実視されている情勢だ。RBAは2月18日に4年3か月ぶりの利下げを決めた後、4月1日には政策金利を4.10%で維持しており、今回は2会合ぶりの利下げとなる見通しだ。
ただ、オーストラリア経済をめぐってはこのところ、底堅さを感じさせる経済指標が出ており、RBAは今後の利下げに慎重姿勢を強める可能性がある。オーストラリア統計局が15日に発表した4月雇用統計では、就業者数が前月比8.9万人増となり、ブルームバーグがまとめた市場予想の2.25万人増を大きく上回った。また、4月30日に発表された1-3月期の消費者物価指数(CPI)の伸び率は前年同期比2.4%で、やはり市場予想の2.3%を上回っている。
利下げは年内3回か 豪ドル円相場は1か月あまりで約10円の豪ドル高
こうした中、金融市場では、RBAの今後の利下げペースは鈍化するとの見方が強まってきた。ブルームバーグによると、金融市場ではRBAの12月理事会後の政策金利は3.3%程度と見込まれており、足元から0.25%幅の利下げが約3回行われると予想されている形。5月1日までは12月段階での政策金利は2.9%程度まで下がるとみられていたが、利下げ期待の後退が進んでいる形だ。
実際に20日のRBAの声明文や、ミシェル・ブロック総裁の記者会見で追加利下げへの距離感がみれらた場合には、豪ドル円相場(AUD/JPY)では豪ドル高圧力として働く可能性がある。豪ドル円相場はアメリカのドナルド・トランプ大統領が4月9日に相互関税の一部停止を発表する直前に1豪ドル=86.05円をつけた後、米国と中国が関税の大幅引き下げを発表した翌日の5月13日には95.65円を記録。1か月あまりで10円近く豪ドル高方向に振れてきた。日本時間19日の取引では93円前後まで円が買い戻されているが、20日のRBA理事会後に豪ドル高の流れが改めて強まる可能性がありそうだ。

円には買い戻しの流れ 米国の格下げでリスク回避姿勢強まれば豪ドル安要因に
ただ、豪ドル円相場の今後の見通しをめぐっては、円の強さが豪ドル安要因として働くことも考えられる。円はトランプ氏が4月22日に米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の解任を否定してから、ドルに対する値下がりが続いてきたが、5月13日以降は買い戻しが進んでいる。背景にあるのは、米国で物価上昇再燃と経済悪化が同時に進む最悪シナリオへの懸念がくすぶっていること。格付け会社ムーディーズ・レーティングスが16日に発表した米国の格下げでも、金融市場の見通しが不透明になり、安全資産とみなされる円が買われやすくなることも考えられる。

このため、ドル円相場(USD/JPY)で円高が進んでいけば、豪ドル円相場での豪ドル安圧力として働く可能性もある。20日の豪ドル円相場は、RBAの利下げへの慎重姿勢で豪ドル高圧力が強まりつつも、円の強さで打ち消される展開となることも想定されそうだ。
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