外国為替市場は世界最大級の金融市場であり、2025年4月の調査では、その規模のさらなる拡大が明らかになりました。本記事では、国際決済銀行(BIS)の最新データを基に、取引量の多い通貨ペアトップ10をランキング形式で紹介します。
2025年の外国為替市場には、かつてないほどの資金が流入しています。この項目では、市場の今と、トレーダーが押さえるべきトレンドの変化を紐解いていきます。
「中央銀行の中央銀行」とも呼ばれる、国際決済銀行(BIS)の2025年調査(速報値)によると、世界の外国為替取引高は2025年4月時点で前回(2022年)から28%増加し、過去最高の1日平均9.6兆ドルに達しました。
この急増の背景には、主要国による通商政策の変更や金利動向の変化があり、これによって為替相場のボラティリティー(価格変動率)が高まったことなどが挙げられます。変動が激しい相場はリスクもありますが、トレーダーにとっては取引機会が増加することを意味します。
米ドルは全取引の89.2%に関与しており、基軸通貨としての絶対的な地位を維持しています。
一方で、今回の調査ではアジア通貨の取引シェアが大幅に拡大したことが示されました。特に、ドル/中国人民元がポンド/ドルを抜き、世界第3位の通貨ペアとなったことは、市場構造の歴史的な転換点といえます。
現在、市場の流動性は高まっており、市場参加者にとって選択肢が広がっています。最新のランキングを把握することは、市場の潮流を読むヒントとなるでしょう。
以下は、BISの2025年調査(速報値)に基づく、世界で最も取引されている通貨ペアのランキングです。
順位 |
通貨ペア |
表記 |
シェア |
特徴 |
21.2% |
世界最大の取引量を誇る。流動性が最も高い |
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14.3% |
アジア市場の主役。日本人トレーダーに人気が高い |
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8.1% |
ポンド/ドルを抜き世界3位へ |
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7.6% |
通称「ケーブル」。シェアが減少して4位へ |
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5.3% |
原油価格との連動性が高い |
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4.9% |
安全資産として需要が急増 |
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4.9% |
資源国通貨の代表格 |
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3.6% |
ペッグ制(連動相場制)を採用 |
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2.2% |
通貨バスケット制を採用。アジアの金融ハブ |
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1.9% |
人口世界1位。巨大な成長ポテンシャルを秘める |
アジア通貨の取引シェア拡大が顕著であり、中でもドル/中国人民元の急伸は、世界経済のパワーバランスの変化を示す動きといえます。
ユーロ/ドルは依然として世界で最も取引されている通貨ペアであり、市場シェアの約5分の1を占めています。
世界最大の経済大国である米国と、巨大な単一市場を持つユーロ圏の通貨ペアであるため、参加者が極めて多く、流動性が世界一高いのが大きな特徴です。そのため、スプレッドが狭く、約定力も安定しており、初心者から機関投資家まで幅広く取引されています。
2025年のシェアは21.2%と前回調査時の22.7%からやや低下しましたが、依然として他を圧倒しています。米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)の金融政策が、価格変動の主な要因として挙げられます。
FXの取引で最も基本となる通貨ペアであり、テクニカル分析が機能しやすいとの見方から、トレーダーに選ばれやすい通貨ペアとされています。
ドル/円は世界第2位の取引量を誇り、日本のトレーダーから高い人気がある通貨ペアです。シェアは前回の13.5%から14.3%へと拡大しています。
日本円はアジア市場で最も流動性が高い主要通貨であり、また低金利通貨としてキャリートレード(金利差益狙い)の調達通貨に使われる側面と、リスク回避時の安全資産としての側面を併せ持ちます。
近年は日米の金利差拡大や日銀の政策修正観測によってボラティリティが高まっており、キャピタルゲイン(値幅)を狙った取引も盛んです。ドル/円は日本国内で情報が豊富に入手できるため、日本のトレーダーの間で取引対象として選ばれる傾向があります。
今回の調査で大きなトピックとなったのが、ドル/中国人民元の取引量急増です。シェアは前回調査の6.6%から8.1%に増加し、主要通貨ペアであるポンド/ドルを抜いて世界第3位となりました。
中国経済の規模拡大と人民元の国際化に伴い、貿易決済やヘッジ目的の取引が増加しています。また、米中貿易摩擦や関税を巡るニュースに敏感に反応するため、それを見越した取引ニーズも高まっています。
IG証券では、中国政府による規制の厳しい「オンショア人民元(CNY)」ではなく、規制外にある「オフショア人民元(CNH)」を取り扱っています。USD/CNHは中国の経済指標だけでなく、米国の通商政策によってもダイナミックに動く通貨ペアです。
ドル/中国人民元は世界経済のパワーバランスの変化を象徴するペアであり、今後も取引量の拡大が見込まれます。
最新の経済指標や要人発言などの予定については、こちらのページをご覧ください。
「ケーブル」とも呼ばれるポンド/ドルは、今回シェアを9.5%から7.6%へと落とし、ランキング4位となりました。
ロンドンは依然として世界最大の取引拠点ですが、取引の多様化が進み、ポンドの相対的なシェアが低下しています。しかし、依然として高いボラティリティを持ち、特に短期取引を好むトレーダーには人気があります。
英国のインフレ指標やイングランド銀行(BoE)の金融政策発表時には、短時間で大きく価格が変動することも少なくありません。ポンド/ドルは値動きが激しいため、十分な維持証拠金を確保し、逆指値注文を活用するなどのリスク管理が重要です。
米ドル/カナダドルはシェア5.3%で、第5位の通貨ペアです。カナダは主要な産油国であり、米国との経済的な結びつきが強く、カナダドルは原油価格と相関性が高い「資源国通貨」として知られています。
一般的に、原油価格が上昇すると、カナダドルは買われやすくなり(米ドル/カナダドルは下落)、逆に原油価格が下落すると、カナダドルは売られやすくなる(米ドル/カナダドルは上昇)傾向があります。
米ドル/カナダドルは、エネルギー市場の動向が価格に影響を与えやすい通貨ペアです。
米ドル/スイスフランはシェアを前回の3.9%から4.9%へと大きく伸ばし、存在感を高めました。
スイスフランは伝統的な安全資産として知られ、地政学的リスクや金融不安が高まる局面で、資金の逃避先として選ばれやすい通貨です。世界情勢の不確実性が高まった2022年から2025年にかけて、取引需要が急増しました。
市場がリスクオフムードになると、他の通貨が売られる中でスイスフランが買われ、米ドル/スイスフランのレートが下落する傾向が見られます。米ドル/スイスフランは、市場の混乱時に注目されることがある通貨ペアです。
豪ドル/米ドルはシェア4.9%で、米ドル/スイスフランと並ぶ規模を持っています。
オーストラリアは鉄鉱石や石炭などの資源を輸出し、中国との貿易関係が深く、豪ドルは資源価格や中国経済の動向に強く影響を受ける「資源国通貨」の代表格です。世界経済が好調な時に買われやすく、逆に不景気懸念が高まると売られやすい傾向があります。
豪ドル/米ドルは世界景気の先行指標として機能することもあり、株式市場との相関性も指摘されています。
米ドル/香港ドルは前回の2.4%から3.6%へと、シェアを大きく伸ばしました。
香港ドルは米ドルと連動する「ペッグ制」を採用しています。米国の金利動向に合わせて金利差を狙った取引や、香港市場でのIPO(新規株式公開)に伴う資金需要などにより取引量が増加しました。
「1米ドル=7.75~7.85香港ドル」という狭い範囲内で推移するように管理されており、このレンジ内での動きを予測する取引が一般的です。米ドル/香港ドルはレンジ相場を前提とした戦略や、金利差に着目した取引で注目される通貨ペアです。
米ドル/シンガポールドルはシェアの2.2%を占める通貨ペアです。
シンガポールはアジアの金融ハブとして成長しており、通貨バスケット制に基づく管理された通貨制度を持っています。シンガポールドルは、アジア地域の安定した決済通貨として近年需要が高まっています。
アジア通貨の中では比較的ボラティリティが低めで、安定した値動きを見せることが多い通貨ペアです。
ドル/インドルピーはシェアの1.9%を占める通貨ペアです。
トップ10入りを果たした背景には、インド経済の急速な成長と、それに伴う貿易・投資活動の活発化があり、実需に基づく取引が増加しています。
GDPは世界5位、人口は世界1位という高い成長ポテンシャルを持つ国の通貨ペアとして、ドル/インドルピーは今後さらに注目される可能性があります。
通貨ペアについて調べたら、公式サイトから口座にログインし、FX口座の「取引画面を開く」をクリックします。
画面が切り替わったら、「FX」の項目をクリックして取引したい通貨ペアを選び、「注文」を押して注文画面を表示させましょう。
最後に「注文確定」ボタンを押すと、ポジションを保有することができます。
FXの取引方法について詳しくは、こちらのページをご覧ください。
例えば「ドル/円(USD/JPY)」の場合、米ドル(USD)が基軸通貨、日本円(JPY)が決済通貨です。レートが150.00円と表示されている場合、「1ドル(基軸通貨1単位)を購入するのに150円(決済通貨)が必要」であることを意味します。
取引システム上の価格は、常に「右側の通貨で左側の通貨を買う価格」を示していると覚えておきましょう。
IG証券では、通貨ペアを流動性や取引量に応じて、「メジャー通貨ペア」「マイナー通貨ペア」「エキゾチック通貨ペア」「アジア・オセアニア、北欧通貨ペア」の4つに分類しています。 それぞれ取引参加者の多さや経済規模が異なり、スプレッドやボラティリティ、リスクに大きな違いがあります。
<IG証券で取引可能な通貨ペアの例(一部)>
種類 |
説明 |
メジャー通貨ペア |
世界の外国為替取引の80%超を占めている6つの通貨ペア。 ユーロ/ 米ドル、米ドル/日本円、英ポンド/米ドル、米ドル/スイスフラン、米ドル/カナダドル、豪ドル/米ドル |
マイナー通貨ペア |
取引量が少ない通貨ペア(米ドルを除く)。 ユーロ/英ポンド、ユーロ/スイスフラン、英ポンド/日本円など |
エキゾチック通貨ペア |
主要国通貨と、経済規模の小さい国または新興国の通貨を組み合わせたもの。 米ドル/ポーランドズロチ、 英ポンド/メキシコペソ、ユーロ/チェココルナなど |
地域によってカテゴライズされた通貨ペア。 ユーロ/ノルウェークローネ、豪ドル/ NZドル、 豪ドル/シンガポールドルなど |
初心者には、流動性が高く情報も多い主要通貨ペアが取り組みやすいでしょう。しかし、取引に慣れてきたら、戦略に合わせて多様なペアを検討することも可能です。
2025年のBIS調査データでは、外国為替市場の拡大と構造変化が浮き彫りになりました。ユーロ/ドルやドル/円といった主要通貨ペアが依然として高いシェアを誇る一方で、中国人民元をはじめとするアジア通貨の台頭が顕著です。
流動性の高い主要通貨ペアと、成長が期待されるアジア通貨ペアなど、市場環境に合わせた通貨ペア選択により、投資の選択肢を広げることができます。IG証券では、これらトップ10を含む約100種類の通貨ペアを提供しています。ご自身の投資スタイルやリスク許容度に応じた通貨ペアの選択が重要です。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。