ドル円見通し:160円視野に上昇加速も、米利上げ観測下支え 突発的な円高警戒
ドル円は18日、一時159円台へ上昇した。日米2年利回り格差の拡大に連動する上昇は、米利上げを強く意識した動きと言える。160.00円トライが視野に入る一方、為替介入絡みの円高には要警戒。
要点
- インフレ懸念の高まりで米金利への上昇圧力が強まっている。金融政策の方向性を織り込む2年債利回りは一時4.1%台へ上昇。OIS市場と同じく米利上げを意識した動きだ
- ドル円(USD/JPY)は一時159円台へ上昇した。日米2年債利回り格差の拡大と連動する動きは、米利上げを強く意識している。クロス円の高止まりも踏まえれば、円安の圧力も根強い
- ドル円が強気相場を維持する場合は、心理的節目の水準160.00円のトライが焦点となろう。しかし、短期間での上昇加速は為替介入絡みの突発的な円高リスクを高める。急反落を常に警戒したい
米2年国債利回り4.1%、急速に強まるFRB利上げ観測
米債市場では10年債利回りが1年ぶりに4.6%台へ上昇した。30年債利回りにも上昇の圧力が強まっている。ブルームバーグのデータによれば、18日の市場で2025年5月以来の5.15%台へ到達し、一時5.1564%と2023年10月以来の高水準へ上昇する場面が見られた。これら(超)長期ゾーン金利の上昇は、インフレ再燃を意識した動きと言える。
米10年国債と30年国債の利回りのチャート
ブルームバーグのデータで作成
筆者が注目しているのが、金融政策の方向性を織り込む2年国債利回りだ。18日の米債市場で2025年2月以来となる4.1%台へ上昇した。来年前半までに利上げを織り込む翌日物金利スワップ(OIS)市場と2年債利回りの上昇は整合的だ。
米2年国債利回りのチャート:2025年1月以降
ブルームバーグのデータで作成
エネルギー供給不安と米ドル高の進行
米金利の急騰と利上げ観測の根底にあるのが、中東発のエネルギー供給ショックだ。ホルムズ海峡の混乱が長期化し、世界の石油在庫が急速に失われている。
国際エネルギー機関(IEA)によれば、把握可能な3月の世界石油在庫は1億2900万バレル減少し、4月も速報値で1億1700万バレルの取り崩しが続いた。IEA(Oil Market Report - March 2026)によれば、イラン戦争直前の世界石油在庫は80億バレル超の水準にあったとされ、この数値を前提とすれば2カ月で3%超が失われた計算になる。さらにIEAは、日量約400万バレルが取り崩されていると指摘しており、「記録的な減少ペース」と警鐘を鳴らしている。
エネルギーの供給懸念と在庫リスクが意識され、WTI原油先物(6月限)は18日の取引で109.47ドルまで上昇し、4月30日以来の水準となる110ドルが視野に入る。米国のガソリン価格(全国平均)は5月上旬に1ガロン4.5ドルを突破した。
米イランの停戦協議が平行線をたどる限り、ホルムズ海峡の混乱も続くだろう。ゆえに米債市場ではインフレ再燃と利上げが強く意識される状況が続こう。米金利の高止まりや上昇拡大は米ドル高を促そう。
ドル円一時159円台、金利差に連動、クロス円高止まり
17日のIG日本株レポートで述べた通り、国内の債券市場もインフレが主要テーマとなり、各年限の利回りが上昇している。
関連レポート
・日経平均株価 週間見通し(5/18週):長期金利の上昇警戒、エヌビディア決算で週後半は乱高下も
注目は、日米の2年債利回り格差だ。10年債利回り格差とは対照的に拡大傾向へ転じている。米利上げ観測が急浮上する中、日銀も利上げ姿勢を維持している。それでもこの格差拡大は現在の米利上げ観測の強さを示しており、この動きに連動するドル円(USD/JPY)の上昇は、日米金利差との相関(順相関)関係が戻りつつあることを示唆している。
日米金利差の動向 日次:2025年5月以降
ブルームバーグのデータで作成
ドル円の底堅さを受けユーロ円(EUR/JPY)は185円台、ポンド円(GBP/JPY)は213円台、豪ドル円(AUD/JPY)は113円台と、底堅さを維持している。
注目すべきは、ドルストレート通貨の下落局面でも、主要なクロス円が高値圏での攻防を維持している状況だ。インフレ懸念に起因する米金利の上昇と利上げ観測の急浮上は、外為市場で米ドル高の圧力を高め、先週の米ドルは主要G10通貨で上昇した。週明け18日は米ドル安優勢の展開となったが、ユーロドル(EUR/USD)は4月8日以来の1.16割れが視野に入る。ポンドドル(GBP/USD)は一時1.33割れトライの局面が見られた。豪ドル/米ドル(AUD/USD)は50日線(0.7090レベル)を視野に上値が重い。
それでも主要なクロス円が高止まりする状況は、円安圧力の根強さを示唆している。米ドル高進行の可能性と根強い円安圧力を踏まえれば、17日のIG週間為替レポートで述べた通り、今週のドル円は心理的節目の160.00円トライが焦点となろう。
ドル円のテクニカル分析、160円視野に強気維持も急反落警戒
IG週間為替レポートで述べた通り、今週のドル円(USD/JPY)は160.00円トライが焦点だ。日足RSIは50を上回るも過熱を示唆する70には到達していない。今日以降も強気地合い維持でドル円が上値を目指す場合は、159.40円の突破をまずは確認したい。
フィボナッチ・リトレースメント76.4%(日足チャート)とフィボナッチ・エクスパンション100%(30分足チャート)が重なる159.40円レベルを突破すれば、フィボナッチ・エクスパンション161.8%水準159.90円(30分足チャート)の攻防が焦点として浮上しよう。節目の160.00円レベルでは為替介入リスクによる突発的な円高を警戒したい。
注目のチャート水準:レジスタンス
・160.00円:上限予想、心理的節目の水準
・159.90円:エクスパンション161.8%
・159.40円:リトレースメント76.4%、エクスパンション100%
米ドル安または調整の円高でドル円が下値を目指す場合は、158.00円の維持が焦点だ。テクニカル面では、半値戻しの水準157.88レベルのサポート転換に注目したい。サポートラインに転換する可能性がある158.60円レベル→21日線(158.20レベル)を下方ブレイクする場合は、158.00円(157.88円)のトライを想定したい。
警戒すべきは、4月30日から5月6日にかけて発生した為替介入絡みの円高に直面する場合だ。このケースでは、IG週間為替レポートで取り上げた156.00円の維持が焦点となろう。
注目のチャート水準:サポート
・158.60円:サポート転換が焦点
・158.20円:21日線(158.21)
・158.00円:サポート転換が焦点
・157.88円:サポート転換が焦点、半値戻し
※調整の反落ケースを想定
ドル円 日足チャート:2026年2月以降
TradingView提供のチャート
ドル円 30分足チャート:5月14日以降
TradingView提供のチャート
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
IG証券のFXトレード
- 英国No.1 FXプロバイダー*
- 約100種類の通貨ペアをご用意
* 外国為替取引業者との主要取引関係数による(Investment Trends UK レバレッジ取引レポート、2024年7月発表)
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。