ドル円 週間見通し(12/1~5): 154.50~158.00予想、12月利下げ織り込み焦点は米経済指標に
ドル円の週間見通し。上値の重い展開か。注目材料は米経済指標。重要チャート水準をIG証券のアナリストが解説。
要点
- 12月FOMCの利下げを織り込む状況に。日銀の利上げ確率も6割近くまで上昇している。金融政策の方向性を意識した米ドル安・円高を警戒したい
- 今週の注目材料は米経済指標。雇用関連の指標とISM指数が材料視される可能性あり。経済指標で景気不安が高まれば、ドル安要因となろう
- ドル円の週間予想レンジは154.50~158.00
12月利下げを織り込む市場
12月9~10日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。翌日物金利スワップ(OIS)市場では、90%近い確率で利下げを織り込む状況にある。
米FOMC 12月利下げ確率の推移:9月以降
ブルームバーグ、OIS市場のデータで作成 / 11月28日時点
先週の外為市場では、米金利の低下に連動し主要通貨で米ドルが下落した。外為市場でも12月の利下げを織り込む動きが進んでいる。
米ドルとドル指数 先週の変動率
ブルームバーグの為替データで作成 / 対G10 通貨の変動率
米経済指標にらみ、雇用指標とISM指数に注目
12月の利下げの可能性を織り込んでいる状況で、米連邦準備理事会(FRB)は11月29日からFRB高官が金融政策についての公的な発言を制限するブラックアウト期間に入った。金融政策の他、米景気も主要なテーマにあることを考えるならば、今週の米ドルは経済指標をにらんだ展開が予想される。
3日に11月のADP雇用統計、4日に週間の新規失業保険申請件数が発表される。ブルームバーグがまとめたADP雇用統計の市場予想は1万人増と、前月の4.2万人増から減少の見込みにある。新規失業保険申請件数の市場予想はレポート掲載時点で22.2万件。労働市場の軟化を示唆する内容が続けば、米金利の低下と米ドル安の要因となろう。
1日に11月のISM製造業景気指数、3日に同月ISM非製造業景気指数が発表される。製造業景気指数は今年3月以降、景気判断の分かれ目である「50」を下回る状況にある。11月も49.0と「50」を下回ることが予想されている。一方、非製造業景気指数は前月の52.4 から52.0へ小幅に低下することが予想されている(いずれもブルームバーグがまとめた市場予想)。
ISM指数でも雇用の動向に注目したい。製造業は今年2月以降「50」を下回る状況が続いている。非製造業(サービス業)は今年6月以降、「50」以下の状況にある。雇用の低迷で総合指数が市場予想を下回る場合は、景気不安による米金利の低下と米ドル安の要因になり得る。
一方、上記の経済指標で景気不安が後退すれば、米ドルの買い戻し要因になり得る。しかし、来週にFOMCを控えていることを考えるならば、大きな買い戻しが発生する可能性は低いと思われる。
米ISM指数の動向:2024年以降
ブルームバーグのデータで作成 / 赤ドット:2025年10月
日銀の利上げ観測が再浮上
日銀は12月18日〜19日に金融政策決定会合を開く。OIS市場で一時20%を割り込んだ利上げ確率が、直近は6割近くまで上昇している(11/28時点)。米FRBの利下げが意識されている状況での利上げ期待の高まりは、ドル円(USD/JPY)の重石となろう。
1日に植田和男総裁が名古屋で経済界代表者との懇談会に出席する。金融政策に言及する場合、その内容次第で利上げ観測に影響を与えることが予想される。
前述の米経済指標で景気不安が強まり、植田総裁の発言で利上げ観測がさらに高まる場合、今週のドル円は以下にまとめた下値水準の攻防に注目したい。
日銀 12月利上げ確率の推移:9月以降
ブルームバーグ、OIS市場のデータで作成 / 11月28日時点
ドル円のチャート分析
今週の下限:154.50
米利下げと日銀の利上げが意識されている状況を考えるならば、今週のドル円(USD/JPY)は下値水準の見極めが焦点となろう。
155円台の攻防では、4時間足チャートの半値戻し155.75レベルとフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準155.24レベルの攻防に注目したい(いずれも青ラインを参照)。後者のテクニカルラインには21日線が推移している。155.24レベルの下方ブレイクは、サポート転換の兆しがある155.00をトライするサインとなろう。
ドル円が154円台へ下落する場合は、154.50を視野に下落拡大を警戒したい。154.62レベルはフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準にあたる。また、直下の154.45レベルが10月30日の高値水準であることを考えるならば、154.50レベルはサポートラインに転換する可能性がある。このラインを今週の下限と予想する。
想定以上の下落でドル円が154.50レベルを下方ブレイクすれば、154円の維持が焦点に浮上しよう。
・155.75:半値戻し
・155.24:61.8%戻し、21日線
・155.00:サポートライン
・154.62: 76.4%戻し
・154.50:今週の下限(予想)、直下の154.45は10月30日高値
今週の上限:158.00
経済指標が米ドルの買い戻しを促す場合、ドル円(USD/JPY)は以下にまとめた上値水準の攻防に注目したい。
最初の焦点は、レジスタンスラインに転換する可能性がある157.00レベルの攻防となろう。このラインは、4時間足チャートのフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる。半値戻しの水準156.76レベルの突破は、157.00をトライするサインとなろう(いずれもグレーのラインを参照)。
ドル円が157円台へ上昇する場合は、11月20日の高値157.89レベルの再トライが焦点となろう。フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準157.35レベルの突破は、157.89をトライするサインとなろう。157.89レベルはフィボナッチ・エクステンション100%の水準にあたる。重要なテクニカルラインの突破は、次の節目水準158.00をトライするシグナルと捉えたい。このラインを今週の上限と予想する。
想定を超える上昇でドル円が158円台へしっかりと上昇する場合は、今年1月の高値158.88レベルを視野に上昇拡大を想定したい。
・158.00:今週の上限(予想)
・157.89:11月20日高値、フィボナッチ・エクステンション100%
・157.35:76.4%戻し
・157.00:61.8%戻し
・156.76:半値戻し
ドル円の日足チャート:今年10月以降
TradingView提供のチャート
ドル円の4時間足チャート:11月以降
TradingView提供のチャート
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