メタ、株価一時9%急落 2026年の費用増加を嫌気 過剰投資は否定
メタの7-9月期決算発表は設備投資増加が逆風。一方、ザッカーバーグCEOは積極投資の正当性を主張しており、投資家の評価が注目される。
SNS大手のメタ・プラットフォームズが29日の取引時間終了後に発表した2025年7-9月期決算は投資家の不安を掻き立てる結果になった。7-9月期は総収入と利益がともに市場予想を超える好決算。しかし人工知能(AI)サービス拡充を加速させるため、2026年の設備投資の伸び率が2025年よりも大きくなるとしたことが嫌気された。29日の時間外取引ではメタの株価は一時、9%を超える値下がりを記録している。ただ、マーク・ザッカーバーグCEOは決算会見で、需要拡大に先駆けてAIサービスの供給能力を積み増すことの重要性を強調し、過剰投資の恐れを否定。大手ハイテク企業同士の競争が激化する中でも、いずれかの分野で成功を収めれば大きな利益を得られるとの考えを示した。メタはすでに設備投資の効率化に向けた新たな方策も示しており、投資家の信頼をつなぎとめることができるかどうかが注目される。
メタの7-9月期決算は市場予想を超える好決算 利益は20.2%増
メタの7-9月期決算は総収入が前年同期比26.2%増の512.42億ドル。1株当たり利益(EPS)は82.6%減の1.05ドルだった。ただしメタは1株当たり利益について、7月に減税関連法が成立したことで、繰り延べ税金資産の縮小が起きたことがマイナス要因になったと説明。このマイナス効果を除いた調整ベースでは、1株当たり利益は20.2%増の7.25ドルだったとした。ブルームバーグがまとめた直前の事前予想は、総収入が495.85億ドル、1株当たり利益が6.74ドル。総収入と調整ベースの1株当たり利益はいずれも市場予想を超える好決算だった。
2026年の設備投資の伸び率は2025年よりも高くなる見通し 時間外で株価急落
一方、メタが29日に示した設備投資の見通しは悪材料とみなされた。メタは2025年通期の設備投資額が700億-720億ドルになるとの見通しを提示。中間値の710億ドルは前年比81.0%増にあたり、前年の39.6%増から伸びが加速する。さらに2026年の設備投資の伸び率についても、「2025年よりもはっきりと大きくなる」とした。またメタはデータセンターの拡充などに投じられる設備投資費に加え、AI関連人材の獲得にも巨額の資金を費やしており、2026年の総コストの伸び率についても、2025年よりもかなり大きくなるとみている。
こうした中、メタの株価(META)は29日の時間外取引で急落。ブルームバーグによると、一時680.98ドルをつけ、直前の終値(751.67ドル)から9.40%安となった。設備投資の積み増し加速の結果として、今後の減価償却費の増加が収益を圧迫するとみられることが嫌気された。
ザッカーバーグ氏は設備投資前倒しを正当化 特定分野でトップに立てば利益
ただ、ザッカーバーグ氏は29日の決算会見で、AIサービスの提供能力の向上を積極的に前倒しすることについて「正しい戦略だ」と強調。AIの能力が人類を超える「スーパーインテリジェンス」の達成にまでにかかる時間に関する予想は、数年以内から8年以上といった範囲にばらついてはいるが、予めサービス提供能力を拡充することで「最も楽観的なシナリオに備えることができる」とした。スーパーインテリジェンスの達成が遅れ、AIサービスへの需要が想定ほど伸びなかった場合でも、確保した計算能力は自社の既存サービスの強化などに用いることができるとし、過剰投資との懸念を否定した。
またザッカーバーグ氏は、対話型AIサービスChatGPTで知られるオープンAIの積極展開もあって激しくなっている各社間の競争についても言及。AIが処理することができる業務は多様で、「1つのAI企業のサービスがすべての分野で最高になるとは考えていない」と述べた。AI企業は特定の分野で最高のサービスを提供できれば、大きな利益を得られるとしている。
AI活用で広告効果アップ 設備投資費用抑制のための方策も
メタはすでに自社のSNS事業において、SNSに表示する広告の最適化にAIを活用し、収益を向上させている。スーザン・リーCFOは29日の決算会見で、7-9月期の平均広告単価は前年同期比10%増になったとし、広告の効果が上がったことで出稿需要が増えたことが要因だと説明した。また21日に発表したオルタナティブ資産運用会社のブルー・アウル・キャピタルのファンドと共同で立ち上げた事業体を通じた大規模データセンター「ハイペリオン」の構築については、メタは事業体の20%を保有し、今後の建設コストの20%を負担するとした。ハイペリオンをめぐる施策は、AIサービスへの需要の潜在力と不確実性を踏まえたうえで、長期的な成長機会を確保するための回答の一例だとした。
メタの株価は29日の時間外取引では下落したものの、株式市場でのAIブームに対する期待が衰えたわけではない。メタの株価の今後の見通しは、投資家に対して、巨額の投資を続けつつも収益性を確保するという結果を示せるかにかかってきそうだ。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。