日経平均株価 週間見通し(3/9週):逆風連鎖で下落警戒、イラン情勢次第では急反発も
IG証券のアナリストによる日経平均株価の週間見通し。今週も下落相場を警戒。イラン情勢次第で急反発も。日本225の週間想定レンジは5万1000-5万6500円。
要点
- 先週の日経平均は5.5%安と年初来最大の下落で終えた。「イラン戦争の長期化懸念→原油価格急騰→インフレ懸念→景気不安」の逆風連鎖が相場の重石となった
- 今週は米2月CPIと1月PCE価格指数が重なる異例の週。米物価指数がインフレの粘着性を示せば利下げ見通しの不透明感が一段と強まり、米株安→日本株売りの連鎖を警戒したい
- 日本225の週間想定レンジは5万1000-5万6500円。5万3700円を割り込むと26週線の5万1000円が視野に入る。一方、急転直下でイラン停戦交渉の期待が高まれば、50日線突破→5万6500円への急反発もあり得る。変動拡大を警戒
日本株は週間で今年最大の下落
先週(3月2日~6日の週)の日経平均株価は5.5%(3229円)安、TOPIX(東証株価指数)は5.6%(221.8ポイント)安で終えた。下落率・幅でともに今年最大となった。
日経平均株価とTOPIX 週間変化率・幅:年初来
ブルームバーグのデータを基に作成
逆風の連鎖、今週も下落相場を警戒
日経平均ボラティリティ・インデックス(VI)は先週4日、一時64.21まで急騰。昨年4月のトランプ関税ショック時の水準(62.46)を突破する場面が見られた。市場心理の冷え込みを示唆している。
以下で詳述するように、現在の日経平均株価は逆風の連鎖に直面している。今週も下落相場を警戒したい。
日経平均ボラティリティ・インデックス 日足チャート:2025年3月以降
ブルームバーグのデータを基に作成
中東リスク→原油急騰→景気減速懸念→日本株売り
2月28日に米国とイスラエルはイランに大規模軍事作戦を開始。対するイランはエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡を含めた中東周辺国に戦線を拡大。中東情勢の混迷を受け、WTI原油先物4月限は6日、2023年9月下旬以来となる92ドル台へ急騰する場面が見られた。
WTI原油先物価格 週足チャート:2023年以降
TradingView提供のチャート
トランプ米大統領は6日、自身のSNSでイランに無条件降伏を求めた。7日には「今日、イランは非常に強く攻撃される」と投稿し、同日夜に米国とイスラエルは、イランの首都テヘランの石油貯蔵施設と精製施設を初めて攻撃した。イランのペゼシュキアン大統領は7日、国営テレビで録画演説を行い、無条件降伏の要求について「その夢は墓場まで持っていくことになる」と拒否した。
攻勢を強める米国・イスラエルと、停戦交渉を拒否するイランの頑な姿勢を考慮すれば、今週もイラン戦争の長期化懸念→原油価格の上昇・高止まりの連鎖が予想される。原油価格の高騰・高止まりが続けば、世界的なインフレ再燃と景気減速の懸念を高める要因となろう。これら負の連鎖が続けば、景気敏感株売りが日本株の重石となろう。
悪い米金利の上昇→米株安→日本株売り
イラン戦争は本来、安全資産である米国債の買い(金利低下)を誘発するリスクイベントである。しかし、10年国債利回り(長期金利)は、イラン戦争前に節目の4.0%を下回る場面があったにもかかわらず、足元では4.1%台へ上昇している。2月の米雇用統計は市場予想を下回り、労働市場の先行き不安を強めた。6日の市場で米債買いが優勢となったが、4.1%台で高止まりしている今の状況は、安全資産としての需要以上に、インフレ懸念の方が上回っていることを示している。
「悪い金利の上昇」は米株安の要因だ。また、米金利の上昇はハイテク株の売り要因でもある。米株安がさらに進行すれば、日本株の重石となろう。
米国10年債利回り 4時間足チャート:2026年1月以降
TradingView提供のチャート
米利下げ見通しの不透明感→米株安→日本株売り
インフレ再燃の懸念は、米利下げ見通しの不透明感にも波及している。イラン戦争の勃発前、翌日物金利スワップ(OIS)市場では6月の利下げが有力視されていた。しかし、イラン戦争の影響が中東全域に拡大していることで原油価格が急騰し、インフレ懸念が再浮上。利下げ期待は急速に後退している。さえない雇用統計を受けても、6月の利下げ確率は30%台にとどまる。3月会合からの合計確率も50%台にあり、利下げ見通しの不透明感が強まっている。
米FOMC 利下げ確率の推移:年初来
ブルームバーグ、OIS市場のデータを基に作成 / 3月6日時点
7日のIG米国株レポートで述べた通り、今週は米国の2月消費者物価指数(CPI)と1月PCE価格指数の発表が重なる異例の週となる。イラン戦争でインフレ再燃の懸念が強まり、2月雇用統計が労働市場の軟化を示唆する中、米物価指数がインフレの粘着性を示唆すれば、スタグフレーションの懸念と利下げ期待の後退も相まって、「米株安→日本株売り」の連鎖を警戒したい。
日経平均株価のCFD指数「日本225」は、以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。
日本225のテクニカル分析、想定レンジ5万1000-5万6500円
下値の見極めが焦点に
今週の日経平均株価は、新たな下値水準の見極めが焦点となろう。株価指数CFD「日本225」は、以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。
最初の焦点は、5万3700円台の攻防だ。この水準は、先週の下落を止めたフィボナッチ・リトレースメント76.4%にあたる(日足チャート参照)。また、週足チャートでは、13週線(5万3790円レベル)がサポートラインとして意識された。5万3700円の下方ブレイクは、下落拡大のサインとして警戒したい。
日本225がさらに下値をトライする場合は、5万3000円と5万2000円の攻防に注目したい。90日線のトライは、5万3000円の維持を見極める攻防となろう。5万2000円は、1月20日に日本225が調整相場から上昇相場への反転の起点となった水準と重なる。
イラン情勢と米国の物価指数が米株安の要因となれば、26週線が推移している5万1000円までの下落拡大を警戒したい。直下の5万845円は、フィボナッチ・リトレースメント76.4%にあたる。現在は日経平均株価のボラティリティが拡大しやすい傾向にある。テクニカルの面でサポートラインとして意識されやすい状況にある5万1000円を、今週の下限と予想する。
注目のチャート水準:サポート
・5万3700円:76.4%戻し(5万3757円)、13週線(5万3792円)
・5万3000円:上に90日線(5万3075円)
・5万2000円:全値戻し
・5万1000円:下限予想、上に26週線(5万1186円)、直下に76.4%戻し
5万6000円台の攻防
米国とイスラエルの攻勢を受け、イランは制空権を掌握された。これは空からの攻撃に対して事実上無防備な状態となったことを意味する。イランのペゼシュキアン大統領は7日、国営テレビで録画演説を行い、湾岸諸国への攻撃について「軍内部の意思疎通の不備により、軍が独断で行動した」と述べ、軍組織の統制が崩壊していることを示唆した。戦況が著しく悪化している状況を踏まえれば、イランは新体制の元で、米国・イスラエルとの停戦交渉に舵を切る可能性は否定できない。急転直下で停戦交渉の期待が高まれば、日本225は以下にまとめたチャート水準を視野に急反発を想定したい。
最初の焦点は50日線の突破だ。この移動平均線を上方ブレイクすれば、5万6000円台への反発が視野に入る。注目は5万6500円の攻防だ。先週レジスタンスラインとして意識された日足の一目基準線がこの水準で推移している。また、5万6500円レベルはレジスタンスラインに転換する可能性がある(日足チャート、緑矢印を参照)。5万6500円を今週の上限と予想する。
注目のチャート水準:レジスタンス
・5万6500円:上限予想、一目基準線
・5万6000円:レジスタンスライン
・5万5260円:50日線
※基準線・移動平均線の水準:3月6日時点
日本225の日足チャート:2025年12月以降
TradingView提供のチャート
日本225の週足チャート:2025年以降
TradingView提供のチャート
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