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【米国株】週間分析レポート:下落リスクを警戒 目先は経済指標が焦点に

11月の連邦公開市場委員会(FOMC)を通過し、米国の利上げ政策の焦点はペースから“期間”と“水準”へシフトした。政策金利(FFレート)の最終地点(ターミナルレート)が5%台へ上昇する中、残り2か月を切った米国株の展望は?そして注目すべき材料は?詳細はIG証券の米国株分析レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

【米国株】週間分析レポート:下落リスクを警戒 目先は経済指標が焦点に


【サマリー】
・パウエル会見を受け米利上げ政策の焦点がペースから“期間”“水準”へシフトした
・政策金利(FFレート)の終着地点(ターミナルレート)が5%台へ上昇
・短期金融市場ではFRBが政策金利を高水準で維持することを織り込み始めている
・残り2か月を切った米国株は下落リスクを警戒する日々が続くだろう
・目先の米国株は経済指標で上下に振れる展開が予想される


米利上げ政策の焦点が“期間”と“水準”へシフト

・新たな焦点は“期間”と“水準”

連邦準備制度理事会(FRB)は11月2日に開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)で、大方の予想通り政策金利を0.75ポイント引き上げた。

声明では根強いインフレリスクに言及する一方で、今後の情勢次第で金融政策の姿勢を適切に調整する(The Committee would be prepared to adjust the stance of monetary as appropriate)とした。

FOMC後の会見でパウエルFRB議長は、次回以降の会合で利上げのペースを減速させる可能性を示唆した。

利上げペース減速の可能性が浮上していることは、米金利の低下と米株高の要因である。しかし、FOMC後の米国市場は米金利の上昇幅が拡大する一方で、米国株の下落ムードが強まっている。

この一連の動きは、もはや利上げのペースが米金融引き締め政策の焦点から外れたことを意味している。

では、新たな米金融政策の焦点とは何か?それはー

「期間」「水準」である。

FOMC後、会見に臨んだパウエルFRB議長は金融政策の効果について「インフレに対しては時間を要する」と指摘した。
そして政策金利の水準については「従来の想定からより高くなる」と述べ、利上げの停止については「あまりに時期尚早」と、利上げ停止の楽観論を真っ向から否定した。

今回のパウエル会見を一言で表すならば、「タカ派」である。事実、パウエルFRB議長の会見が始まってから、2日の米債市場では利回りが急上昇した。

そして短期金融市場では、今回の米利上げ政策の最終地点-いわゆるターミナルレートが5%台へ上昇している。前回のFOMCイベント(9月21日)の内容を受けたターミナルレートの水準は4.6%付近だった。下のラインチャートを見ると、いかにターミナルレートの水準が短期間で切り上がっているかがわかる。

米政策金利の予想推移

米政策金利の予想推移 データ:OIS / Bloomberg L.P.


これら市場(米債市場と短期金融市場)の動きを受け、2日から3日にかけて米国株は続落の展開となった。この点をバーチャートで確認すると、「米株安/米金利の上昇」トレンドが鮮明となっていることがわかる。

11月FOMC後の米国市場のパフォーマンス

11月FOMC後の米国市場のパフォーマンス 基準日:2022年11月1日 / 11月3日終了時点


・揺れる12月の利上げ予想

次のFOMCは、12月13~14日に開催される。FOMC声明とパウエルFRB議長の発言を受け、利上げペース減速の可能性が浮上していることはすでに指摘した。

しかし、短期金融市場の利上げ予想を確認すると、このレポートを執筆している時点で50ベーシスポイント(bp)と75bpで割れている。この状況は、今後発表される経済指標の内容次第で、パウエルFRBは引き続き大幅利上げを維持する可能性を短期金融市場が予想していることを示唆している。なぜなら、パウエルFRB議長は引き続きデータ重視のスタンスを示しているからだ。

12月の利上げ予想

12月の利上げ予想 データ:FEDウォッチ / 11月4日 12時時点

次の焦点は経済指標-目先は10月雇用統計で米国株は動く可能性あり

・結局は経済指標次第

結局のところ、米金融引き締め政策の方向性は経済指標の内容次第-そうなると、米国株のトレンドを考える上で次に注視すべきは、経済指標ということになる。

では、どのような経済指標に注目すれば良いのだろうか?それは-

「インフレ」「雇用」の経済指標である。

現在、アメリカ経済が直面する最大の問題は「インフレ」である。

ゆえに、前者の指標で強い内容が続けば、「根強いインフレのリスク→米金融引き締め政策の長期化懸念→米金利の上昇リスク→米国株の下落幅が拡大」という展開を常に警戒しておきたい。

・雇用の指標も重要

後者の「雇用」も重要である。インフレの安定だけでなく、雇用の安定もパウエルFRBに課された法的使命-「デュアル・マンデート」だからである。

そして賃金の動向は、米国のインフレに大きな影響を与える。 賃金=人件費が上昇または高止まりすれば、アメリカの企業は利益を出すために賃金コストを商品やサービスの価格に転嫁せざるを得ない。

ゆえに雇用指標の中でも、今後は賃金の伸びに注目する必要があろう。

・良いニュースは“悪い”ニュース

その賃金動向を考える上で重要な経済指標が、11月4日に発表される10月雇用統計である。

賃金の伸びを示す「平均時給」は前年同月比で低下の基調にある。しかし、5%の高水準で高止まりしている。

10月の予想中央値(前年同月比)は4.7%。非農業部門雇用者数変化(予想中央値:19.5万人)とともに賃金の伸びが低下する場合は、インフレリスクと金融引き締めリスクの懸念が一時的に後退することで、米国株は反発することが予想される。

問題は、「強い雇用統計」となる場合である。「強い」とは、非農業部門雇用者数変化と平均時給が予想以上となり、失業率が予想以上に低下する状況を指す。

強い雇用統計は、パウエルFRBの金融引き締め政策を長期化させる要因となる。ゆえに、米債市場では利回りの上昇圧力がさらに高まることが予想される。

そして米国の株式市場では、金融引き締め政策の長期化と金利の上昇リスクが意識され、下値をトライする展開が予想される。

米国の非農業部門雇用者数変化と平均時給の推移

米国の非農業部門雇用者数変化と平均時給の推移 データとチャート:米労働省, Bloomberg L.P. / 月次(2021年以降)/ 平均時給は前年比


本来であれば、強い雇用統計は“良い”ニュースである。

しかし、今の状況では、良いニュースは“悪い”ニュースとなることを意識しておきたい。

そして、パウエルFRBがタカ派スタンスの維持をあらためて示したことを考えるならば、残り2か月を切った米国株は、最後の取引日まで下落リスクを警戒する局面が続く可能性が出てきた。

なお、ダウ平均(DJI)のチャートポイントを確認すると、レジタンスポイントはフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準32,955レベルで明確になっている。10月28日以降、この水準で何度も上昇が止められた経緯がある。

一方、下値の焦点は50日MA(30,868レベル)の維持に注目したい。この移動平均線の下方ブレイクは、地合いの弱さを市場参加者に印象付けるからだ。

実際に相場が50日MA以下の攻防となる場合は、節目の30,000そして現時点での今年安値28,660(10/13安値)を視野に下落幅が拡大する展開を予想する。
後者の水準(28,660レベル)では2度相場がサポートされ、ネックラインの30,500レベルの突破に成功。結果、ダブルボトムを形成した経緯がある。

ダウ平均のチャート

ダウ平均のチャート チャート:Trading View 日足(今年8月以降)

結論

パウエルFRB議長の会見を受け、金融引き締め政策が長期化する可能性が高まっている。この状況は、政策金利の最終地点(ターミナルレート)の水準が上昇することを意味する。

米国市場はパウエルFRBのタカ派スタンスを早くも織り込み始め、さっそく「金利の上昇/株式の下落」で反応している。

次回の12月会合での利上げ予想が50bpと75bpで割れている状況を考えるならば、経済指標の内容次第で米金融政策の方向性が決まるだろう。

目先は10月雇用統計で米国株は上下に大きく振れる展開が予想される。本来であれば強い雇用統計は良いニュースだが、今の状況では“悪い”ニュースになるだろう。


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