ハイテク株の注目銘柄5選
日本のハイテク株は、経済情勢が活発化するにつれて年初来から急伸しています。注目すべきハイテク株5銘柄をご紹介します。この記事で取り上げる銘柄は、時価総額に基づいて選ばれています。

コロナ禍の評価額ブームから始まったこの2、3年は、ハイテク株にとって大きな変動の時期となりました。
メタ(旧フェイスブック)のような大手テクノロジー関連企業やネットフリックスのようなストリーミング配信企業の長期的な存続可能性に疑問が投げかけられ、2022年に大幅な株価調整が繰り返されました。急速に上昇するインフレ率と金利の引き上げにより、投資家がリスクの高いセクターを敬遠する動きも見られました。
2022年に低迷していた株価は、2023年に入ってから持ち直しの兆しを見せていますが、その大半は未だに以前の水準までは回復していないようです。しかし、新たな競争、刺激的な技術革新、AI(人工知能)技術の進歩が急速に進んでいる今こそ、投資家がハイテク株をポートフォリオに加えるのに魅力的な時期といえます。
ハイテク株の魅力
ハイテク株が魅力的な理由として、テクノロジー関連銘柄の本質が革新的であることが挙げられます。イノベーションの成功は、将来的により大きな利益と株価の上昇をもたらすことにつながります。
例えば、巨大ハイテク企業であるアップルは、電話技術の画期的な向上により、1990年代から80,000%以上も株価が上昇しました。同様に、ネットフリックスは2022年に急落したものの、ストリーミングの台頭を受け、2011年に同銘柄を購入した投資家は3,000%を超える利益を得ています。
また、テクノロジー関連企業はS&P500(米国の代表的企業500社をまとめた指数)でも上位を独占しています。日本でも、多くのテック企業が評価額で上位にランクインしています。
テクノロジーが発展し続ける中、上場市場で取り上げられる銘柄は、将来同様の収益が期待できるとして、投資家を引き付けています。特に注目を浴びているものの例として、通信会社、電子機器メーカー、半導体関連企業などが挙げられます。
しかし、これらの分野は他の産業よりリスクが高いのも事実です。個人消費、投資家の資金調達、競争力などに左右されるため、景気が低迷した場合は株価も低迷します。
それにもかかわらず、将来的な収益への期待から、ハイテク株は将来の製品やサービスの予測に基づく、高めの株価評価を受けることになります。この予測が達成できない兆候が見られた場合、大幅な株価修正を余儀なくされます。
ハイテク株の取引方法
投資家は、ハイテク株を個別に取引することも、幅広いポートフォリオの一部として取引することも、あらかじめ定義された指標や上場投資信託を通じて取引することも可能です。世界的に最も人気があるのは、米国の大企業メタ、アップル、アマゾン、ネットフリックス、グーグル親会社のアルファベットで構成されるFAANG指数です。
他のセクターと同様、ハイテク株も決算シーズンに決算を発表します。この時期は通常、取引量が多くなるため、ボラティリティも高まります。また、テクノロジー関連企業の発表や製品開発、連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策に関する発表時期などにも、ハイテク株のボラティリティが高まります。
注目のハイテク株5選
ここでは、注目すべきハイテク株5銘柄をご紹介します。(価格と株価推移は2023年9月26日時点の引用です。過去の値動きは、将来の株価動向を示すものではありません)
1. 富士通(6702)
富士通は情報や通信技術を扱う多国籍企業です。同社はサステナビリティ・トランスフォーメーションと創造的破壊のためのキーテクノロジーである、コンピューティング、ネットワーク、AI(人工知能)、データ&セキュリティー、コンバージングテクノロジーに注力しています。
AI領域では、6,000社以上の企業が同社のAIを導入しています。同社は東京医科歯科大学と共同で、がん治療における薬剤耐性についての研究を行っており、同社のAIとスーパーコンピューターが活用されています。
株価は今年に入って以来上昇と下落を繰り返しており、現時点では52週高水準まで上昇しつつあります。PERは17.5倍となっています。
2. リクルートホールディングス(6098)
リクルートホールディングスは日本や米国を始めとした世界各国で、ヒューマンリソース(HR)技術やビジネスソリューションを提供しています。同社はHRテクノロジー事業、マッチング&ソリューション事業、人材派遣事業においてブランド展開をしており、シンプルな仕事探し、スマートな事業経営、社会と共存したサステナブルな成長の3つを経営戦略としています。同社は58,000人の従業員を擁しており、売上収益は3.42兆円となっています。
8月10日に発表された同社の決算は好感されたものの、9月には売り気配が広がりました。同社の株価は年初来で14%上昇しており、PERは27倍となっています。
3. キヤノン(7751)
キヤノンはオフィス機器、映像・放送システム、医療システム、産業機器などを製造しています。ディープラーニングを活用した同社の最先端技術は、高解像度のCT画像を低被ばくで撮影するAI搭載型CTスキャナーなど、幅広い領域で利用されています。ディープラーニングはまた、写真おいて原理上避けられない画像のノイズやボケを補正する画像処理技術でも利用されています。
同社は330の連結子会社を抱えており、全世界で18万人以上を雇用しています。
株価は年初から28.2%上昇しており好調で、PERは14.3倍となっています。
4. Zホールディングス(4689)
Zホールディングスはヤフー・ジャパン、ライン、ペイペイなどの企業を傘下に持つ持株会社で、インターネットと金融事業に特化しています。同社は環境保護を目的とする財務イニシアチブに対して発行するグリーン債を日本で初めて発行した会社でもあります。
7月27日にオープンAIとの業務提携を発表し、ライングループとヤフー・ジャパンの従業員にチャットGPT-4を含むオープンAIのAPIすべてを提供することを明らかにしました。
同社の株価は年初来で22.3%上昇しており、PERは16倍となっています。
5. パナソニック(6752)
パナソニックは全世界で94,000人の従業員を擁する、多国籍複合企業です。同社は家庭や自動車、飛行機など向けの電子機器を生産しています。特に、同社のエネルギーセグメントでは、自動車向けの乾電池、一次・二次リチウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池のほか、太陽光電池モジュールや蓄電システムを製造しているため、投資家やトレーダーからの注目を集めています。
また、電気自動車向けのリチウムイオン電池を供給する契約をテスラと長年結んでおり、同社の業績は電気自動車ブームに後押しされています。
株価は年初来で57.9%上昇しており、PERは9.8倍となっています。
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