ハイテク株 の注目 銘柄 5選
日本経済は2025年に入って以降苦戦を強いられているものの、日本のハイテク株は堅調に推移しています。ここでは、注目のハイテク株5選を紹介します。 5つの銘柄は時価総額に基づいて選出されています。

ハイテク株とは
?ハイテク株の背景知識
ハイテク株とは、半導体、ソフトウェア、AI、クラウドサービスなどの技術革新を基盤にした企業の株式を指します。近年、特に注目されているのはAI関連の需要です。エヌビディアのような半導体大手が代表例で、AIの急速な成長が彼らの業績を押し上げています。日本株は、米国のハイテク株と強く連動しており、とりわけ米フィラデルフィア半導体株価指数の動きが日経平均に影響を与えています。
2024年は、ISM製造業景況感指数の悪化により、米ハイテク株が下落し、日本市場も影響を受けました。しかし、ハイテク株の基礎であるAIや半導体需要は引き続き堅調に推移しています。今後の利下げや経済指標次第では、再び成長する可能性があります。
短期トレーダーにとって、ハイテク株は短期間での利益を狙いやすいものの、外部要因の影響を受けやすいので、リスク管理が重要となります。
ハイテク株を取引する理由
ハイテク企業は技術革新に重きを置いているため、将来的な成功や潜在的な利益が期待され、株価の上昇をもたらす可能性があります。
例えば、S&P500の主要企業であるアップル(AAPL)は、携帯電話技術の画期的な向上により、1990年代以降に株価が80,000%以上急騰しました。同様に、2011年にネットフリックス株を購入した投資家は、2022年に一時株価の下落を経験したものの、ストリーミングサービスの爆発的な人気を背景に現在3,000%を超える利益を獲得しています。
テクノロジー関連企業はS&P500の大半を占めており、そのバリュエーション(企業価値評価)の高さがうかがえます。日本でも同様の傾向が見られ、多くの大手企業がテクノロジー関連セクターに属しています。
テクノロジーが進化し続ける中、上場ハイテク企業には将来的な利益が期待できるとして、投資家の関心を集めています。特に、電気通信関連企業、電子機器メーカー、半導体企業は、投資家やトレーダーにとって魅力的だと言えます。しかし、テクノロジー関連銘柄は個人消費、投資家の資金調達、競争力の持続などに依存しているため、特に経済が不安定な時期には、市場のボラティリティの影響を受けやすいというリスクも抱えています。
それにもかかわらず、ハイテク株は将来の製品やサービスの予測に基づく収益への期待から、高めの株価評価を受けることになります。この予測が達成できない兆候が見られた場合、大幅な株価修正を余儀なくされます。
ハイテク株の取引方法
投資家はハイテク株を個別に取引したり、幅広いポートフォリオの一部として取引したり、あらかじめ決められた指標や上場投資信託(ETF)などを通じて取引したりすることができます。世界的に最も人気がある指標の一つには、米国の大手企業のメタ(旧フェイスブック)、アップル、アマゾン(AMZN)、ネットフリックス、アルファベット(GOOGL)で構成されるFANG+(ファングプラス)指数があげられます。
他のセクターと同様に、テクノロジー関連企業も決算シーズンに決算発表を行います。この時期には取引が急増し、市場のボラティリティが高まる傾向があります。さらに、ハイテク株の流動性は、企業の発表や製品開発、中央銀行による金融政策に関する発表など、重要なマーケットイベントがある際にも急上昇することがあります。
注目の日本のハイテク株5選
ここでは、注目の国内ハイテク株5選を紹介します。株価やその他の数値は2025年3月21日時点の引用であり、取り上げる銘柄は時価総額に基づいて選ばれています。また、過去の値動きは将来の株価動向を示すものではありません。
富士通(6702)
富士通は、日本を代表するIT企業です。システムインテグレーションやクラウドサービスを中心とした「サービス型ビジネス」への転換を進めています。以前はパソコンや携帯電話といったハード製品でも知られていましたが、現在では「Fujitsu Uvance」としてサステナブルな社会に貢献するデジタルソリューションの提供に注力しています。2025年3月期の通期決算では、売上高が3兆5,501億円、営業利益は2,651億円となり、前期比77.5%の大幅増益を達成しました。これは事業構造改革や高収益のサービス事業の拡大が寄与した結果です。株価は3,468円、PERは約28倍とやや割高感もある水準ですが、持続的な利益成長が期待される企業として評価されているようです。生成AIやクラウド、セキュリティといった注目分野での需要拡大が見込まれる中、国内外の企業向けIT投資において同社の存在感は今後さらに高まりそうです。
TDK(6762)
TDKは、電子部品メーカーとして世界的に知られる企業です。特にスマートフォンや自動車向けの受動部品、センサ、エナジーデバイス(リチウムイオン電池など)で高いシェアを持っています。モバイル向けの小型部品に加え、EV(電気自動車)や産業機器向けの開発も進めており、成長分野への対応力に定評があります。2025年3月期の通期決算では、売上高が2兆2825億円、営業利益は1644億円と堅調に推移しました。利益は前期比では減少しましたが、エナジー応用製品やセンサなどの中長期成長分野が全体を下支えする構造が見えつつあります。株価は1,493円で、PERは約17倍と、成長期待を反映した水準にあります。特にEVやIoTの需要拡大に伴い、同社のセンサや高性能電池の需要も広がる可能性があり、今後の業績回復に期待が寄せられます。電子部品業界の中でも、グローバルな競争力を持つ企業として、注目に値する銘柄です。
日本電産(6594)
日本電産は、小型モーターの世界的リーディングカンパニーです。近年はEV(電気自動車)やロボティクス分野にも注力することで成長領域へのシフトを進めています。特に自動車向けの駆動ユニット「E-Axle(イーアクスル)」の拡販に力を入れており、将来の中核事業として期待されています。2024年度通期決算では、売上高が過去最高の2兆3915億円を記録し、営業利益も2032億円と2年連続の増益を達成しました。欧州や中国でのEV需要回復が業績を押し上げたほか、コスト構造改革の効果も表れています。株価は2,859円で、PERは19倍。成長株としては比較的妥当な評価水準にあると言えそうです。なお、2025年度は売上3兆円、営業利益3000億円を目指す中期目標を掲げており、実現すれば利益水準のさらなる拡大が期待されます。EVの普及が進む中で、同社の技術力と量産能力は今後も注目されそうです。
ウシオ電機(6925)
ウシオ電機は、光を使った技術で存在感を放つ企業です。特に半導体露光装置や映画館用のプロジェクター、医療用の光源機器などに強みがあります。光の応用技術という独自の領域で、産業用から医療・エンタメまで幅広い分野に展開しているのが特徴です。2025年3月期の決算では、売上高が1,776億円となり、営業利益は88億円と減益となりました。これは一部事業での設備投資の抑制などが影響したと見られます。ただ、生成AI関連の需要が装置販売を支え始めており、次年度は回復傾向に向かう見通しです。株価は1,711円、PERは約24倍で、利益水準に対してはやや割高感もあるものの、新技術や新製品が市場で注目されれば評価の切り上げも期待されそうです。光技術をベースに成長市場へと挑戦を続ける姿勢は、今後も注目されるポイントになりそうです。
アンリツ(6754)
アンリツは、5Gや次世代通信に不可欠な計測機器を手がける企業です。モバイル通信・光通信・IoTなどの分野で国内外に技術を提供しています。2025年3月期の通期決算では、売上高は989億円(前年比6.2%減)、営業利益は112億円(同12.6%減)となりました 。特にモバイル市場の低調が影響し、計測事業の売上高が722億円と前年同期比で約9%減少しています。一方で、新製品「6G対応の測定ソリューション」などは徐々に採用が進み、受注残も一定水準を維持。次期(2026年3月期)の見通しとしては、売上高1,000億円、営業利益105億円とやや慎重な予想を立てています。株価は1,712円、PERは約24倍と成長期待を含んだ水準ですが、将来的な6G投資やAI通信領域との連携拡大が進めば、再評価の可能性もありそうです。短期的には調整局面にあるものの、中長期のテーマ性は十分に保たれています。
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