ドル円 週間見通し:米CPI焦点、ドル高進行で161円台視野も突発的円高を警戒
今週のドル円展望。焦点は5月の米インフレ指標。10日にCPI、11日にPPI。インフレ加速なら米ドル高の加速で161円台が視野に。しかし上昇拡大の局面では、為替介入を意識した突発的円高を警戒。週間想定レンジは158.00~161.30円。
要点
- 5月雇用統計の結果を受け米10年国債利回りが4.5%台へ急上昇。OIS市場では12月までのFRB利上げを完全に織り込む状況に
- 今週の焦点は5月のCPIとPPI。インフレ再燃の懸念を強める場合は、米ドル高加速の要因となろう
- ドル円の週間想定レンジは158.00~161.30円。円安進行で上昇が拡大する局面では、突発的な円高を警戒したい
クロス円で円安圧力後退も米ドル高が進行中
政府・日銀による円買い・米ドル売り介入があった4月30日以降のトレンドを確認すると、クロス円で円安の圧力が後退する一方、対米ドルでは下落率が2%超に拡大。この動きは、外為市場で米ドル高の圧力が強まっていることを示唆している(下チャート、赤ライン・矢印参照)。
日本円の動向 対G10通貨:5月1日~6月5日
ブルームバーグの為替データで作成
事実、年初来からの米ドルの動きを確認すると、米国とイスラエルがイラン攻撃に踏み切って以降、オセアニア通貨やノルウェー・クローネを除く主要通貨(G10通貨)で、2025年以降の米ドル安トレンドから米ドル高トレンドへ転換しつつあることが分かる。
米ドルの方向性を示すドル指数は1.8%上昇している(下チャート、緑ライン・矢印参照)。今週の外為市場の焦点の一つは、この米ドル高の持続性にある。
米ドルの動向 対G10通貨:2026年1月以降、6月5日まで
ブルームバーグの為替データで作成
焦点は5月CPIとPPI、インフレ懸念強まれば米ドル高進行も
今週の焦点は、5月の米インフレ指標だ。10日(水)に消費者物価指数(CPI)が発表される。ブルームバーグがまとめた市場予想では前年比+4.2%と、前月の+3.8%から加速が見込まれている。コア指数は+2.9%が予想されている(前月+2.8%)。
強い雇用統計に続きCPIが市場予想を上回れば、米金利の上昇と利上げ観測を受け、米ドル高が加速する要因となろう。翌11日(木)の生産者物価指数(PPI)も焦点だ。前年比予想は+6.4%(前月+6.0%)、コア指数は+5.4%(前月+5.2%)と、CPI同様に加速が見込まれている。
CPIとPPIが同時にインフレ加速を示す場合は米ドル高の進行で、ドル円は次の節目水準161円台を視野に上昇拡大を想定したい。
一方、CPIとPPIがいずれも市場予想を下回れば、調整の米ドル売りが入りやすく、159円台の維持が焦点となろう。
15日~16日に日銀の金融政策決定会合が開かれる。5日のIG為替レポートで指摘した通り利上げはほぼ完全に織り込まれており、円高材料として意識される状況にはない。しかし、ドル円の上昇が拡大する局面では、調整の円買い要因になり得る。
関連レポート
・ドル円 米雇用統計で161円視野も、為替介入と日銀利上げ期待でも円安止まらず
米消費者物価指数(CPI)の動向:過去1年間
ブルームバーグのデータで作成 / 赤棒グラフ・ドット:5月予想
米生産者物価指数(PPI)の動向:過去1年間
ブルームバーグのデータで作成 / 赤棒グラフ・ドット:5月予想
ドル円のチャート分析、週間想定レンジ158.00〜161.30円
ドル円(USD/JPY)のトレンドを日足チャートで見ると、MACDはゼロラインを上回る強気地合いを維持し、RSIは64レベルで過熱感はない。一方、週足チャートでは13週線、26週線、52週線と期間の短い移動平均線が上から順に並び上向きにある「パーフェクト・オーダー」にある。中長期的に見てもドル円の上昇トレンドを確認できる。
今週も強気地合いを維持する場合は、上限予想を先週の最高値水準160.35円レベルから約1円上の161.30円レベルと想定し、まずは直近高値水準160.70円(日足チャート)の突破を確認したい。この水準の上方ブレイクは、次の節目水準161.00円トライのサインとなろう。
冒頭で述べた通り、現在の外為市場では米ドル高が進行中だ。5月CPIとPPIでこのトレンドがさらに加速すれば、161.30円をブレイクアウトする展開も想定しておきたい。このケースでは、次の重要節目と目される2024年7月高値161.95円レベル、つまり162.00円の攻防が視野に入る(週足チャート)。
米商品先物取引委員会(CFTC)の最新データによれば、非商業部門の円売り越しは12万9567枚(ロング11万4849枚、ショート24万4416枚)と、前週のおよそ11万4000枚から増加した。今週、ドル円が一気に161円台へ上昇する場合は、為替介入に対する警戒感から累積した投機的な円売りポジションの巻き戻しが突発的な円高を引き起こしやすい環境にある。実際の為替介入も警戒する必要があろう。
非商業部門 日本円のポジション動向:2025年以降
CFTCとブルームバーグのデータで作成 / 2026年6月2日時点の動向
注目水準:レジスタンス
・162.00円:重要節目水準
・161.95円:2024年7月高値
・161.30円:上限予想
・161.00円:節目水準
・160.70円:直近高値水準(160.72)
ドル円の反落要因になり得るのが米ドル安だ。今週、そのきっかけになり得るのが、予想を下回る場合のCPIとPPIと予想する。
ドル円が下値をトライする局面では、159.00円の維持が最初の焦点となる。この水準には現在、13週線が推移している。ドル円がこの移動平均線(159.00円)を下方ブレイクする場合は、50日線158.80円レベル→下限予想158.00円(直下に89日線:157.97円)の攻防に注目したい。政府・日銀による為替介入以外の下値トライでは、158.00円を下限予想とする。
一方、158.00円を大陰線で一気に下方ブレイクする場合は、為替介入の可能性を意識したい。このケースでは、前回の為替介入相場(4月30日~5月6日)の急落(円高)を止めた156.00円、155.00円レベルまでの急落を警戒したい。
注目水準:サポート
・159.00円:13週線
・158.80円:50日線(158.82円レベル)
・158.00円:下限予想(89日線:157.97円レベル)
・156.00円:節目水準
・155.03円:次のサポート
※移動平均線の水準:6月5日時点
ドル円 日足チャート:2026年1月以降
TradingView提供のチャート
ドル円 週足チャート:2023年後半以降
TradingView提供のチャート
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