ドル円 米雇用統計で161円視野も、為替介入と日銀利上げ期待でも円安止まらず
ドル円の見通し。根強い円安圧力。今晩の5月雇用統計が米ドル高の要因となれば161円視野に上昇も。しかし上昇加速の局面では、投機的な円高を警戒したい。注目のチャート水準について。
要点
- 11.7兆円に上る巨額の為替介入でも円安止まらず。日銀の6月利上げは90%織り込みで、円高要因として意識される状況にない。市場参加者の投機的な円売りを警戒
- 今日の焦点は5月米雇用統計。米イランの停戦協議が暗礁に乗り上げインフレリスクが意識される中、雇用統計が労働市場の底堅さを示せば米ドル高加速の要因に
- ドル円(USD/JPY)は、次の節目水準161円を目指すムード。しかし160円以上の水準で上昇加速となれば、為替介入への警戒による投機的な円高を警戒したい
円安止まらず160円の攻防、投機的動きを警戒
11.7兆円規模の円買い・ドル売り介入を受けても、ドル円(USD/JPY)は再び160円台へ上昇し、反落の局面では159円台で底堅さを維持している。過去最大規模の為替介入をもってしても、円安の流れを転換するには至っていない。
今月15〜16日の金融政策決定会合で日銀は追加利上げを検討するが、翌日物金利スワップ(OIS)市場ではすでに90%の確率で利上げが織り込まれており、利上げが円高要因として意識される状況にはない。事実、対米ドルだけでなく他の主要通貨でも円安が進行している。巨額介入と利上げが意識される中でも円安を止めることができない現実が、市場参加者の円売りを促す皮肉な循環を生んでいる。
円相場の動向:5月1日~6月4日
ブルームバーグの為替データで作成
160円台からの上昇加速は、政府・日銀による為替介入のリスクを高める。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、直近の非商業部門における円売り越しは11万4000枚。累積した投機的な円売りポジションの巻き戻しが、突発的な円高を引き起こしやすい環境にある。
一方、円高へ振れる場合は、上述の円安圧力を意識した円売りの好機を市場参加者に与えやすい。160円台をめぐる攻防では、上下双方向で投機的な動きを常に警戒する必要がある。
非商業部門の日本円ポジション動向:2025年以降
CFTCとブルームバーグのデータで作成 / 2026年5月26日時点
焦点は5月米雇用統計、米ドル高加速も
本日は5月米雇用統計がドル円(USD/JPY)の変動要因となる。
4月JOLTS求人件数は761万8000件とブルームバーグ予想の686万6000件を大幅に上回り、2024年5月以来の高水準となった。5月ADP雇用統計は12万2000人増とブルームバーグ予想の12万人増を小幅に上振れ、前月修正値の10万5000人増から改善傾向が続いている。ただし、ADPと雇用統計には高い相関関係は見られない。
一方、5月ISM非製造業景気指数の雇用は47.9と、前月の48.0から小幅ながらも低下し、サービス業の雇用は景気判断の分かれ目である50を3カ月連続で下回る状況にある。強弱入り乱れた内容を受けて、本日5月雇用統計を迎える。ブルームバーグがまとめた市場予想は以下の通り。
米雇用統計 各項目の動向:過去1年間
ブルームバーグのデータで作成 / 赤棒グラフ・ドット:5月予想
非農業部門雇用者数が予想を上振れ、失業率が予想外に低下する場合は、年内の利上げ観測を強める要因となろう。米イランの停戦協議が暗礁に乗り上げ、インフレ懸念から米10年国債利回りは4.4%台で高止まりしている。この状況で米労働市場の底堅さを雇用統計が示す場合は、米ドル高の進行を想定したい。一方、非農業部門雇用者数の下振れや失業率が予想以上に上昇する場合は、米ドル安の要因になり得る。
本日のドル円(USD/JPY)は、以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。
米国10年国債利回り 4時間足チャート:3月以降
TradingView提供のチャート
ドル円のテクニカル分析
21日線と50日線でゴールデンクロスが確認された。MACDもドル円(USD/JPY)の強気地合いを示唆している。RSIに過熱感はない。今晩の5月米雇用統計が労働市場の底堅さを示せば、5月31日のIG為替レポートで上限予想として取り上げた4月30日の大陰線高値160.70円レベルのトライを想定したい。
ドル円が160.70円を目指す過程では、直近高値160.10円レベルとフィボナッチ・エクスパンション161.8%水準160.55円レベルの攻防に注目したい(1時間足チャート)。ロング勢は160.55円を上値の目途とし、上方ブレイクすれば160.70円のトライを想定したい。ドル円が160.70円を突破する場合は、次の節目水準161.00円が射程に入る。
なお、今日以降ドル円が161円台で底固めとなれば、2024年7月高値161.95円レベルが上値ターゲットに入ろう。しかし、一気に161円台へ上昇拡大となれば、政府・日銀による為替介入の警戒感が高まる。このケースでは、突発的かつ投機的な円高を警戒したい。
注目水準:レジスタンス
・161.00円:節目水準
・160.70円:4月30日高値水準
・160.55円:フィボナッチ・エクスパンション161.8%
・160.10円:6月4日高値水準
一方、5月雇用統計が米ドル安の要因となれば、159円台の維持が焦点となろう。サポート転換の兆しがある159.60円レベルを下方ブレイクする場合は、159.00円のトライを想定したい(1時間足チャート)。
調整の米ドル売り・円買いが加速し、ドル円が159円を下方ブレイクする場合は、158.80円台の攻防に注目したい。この水準には現在、21日線と50日線が密集している。
また、為替介入に対する市場の警戒感から投機的な円高に直面する場合は、5月31日のIG為替レポートで下限予想として取り上げた158.00円までの反落を警戒したい。政府・日銀が実際に介入しない場合、158円台では反発が見込まれよう。
注目水準:サポート
・159.60円:サポート転換の可能性
・159.00円:節目水準
・158.80円台:21日線、50日線
・158.00円:下限予想
ドル円 日足チャート:2026年1月以降
TradingView提供のチャート
ドル円 1時間足チャート:5月下旬以降
TradingView提供のチャート
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