ドル円予想 (6/5):根強いドル安、新規失業保険申請件数次第で142円割れを警戒
5月米経済指標は予想を下回る内容が続いている。今日の注目材料は米新規失業保険申請件数。ADP雇用統計に続き労働市場の軟化を示唆すれば、ドル円は142円割れを警戒したい。反発しても143円台での戻り売りを意識したい。詳細はレポートを参照。

記事の要点
・外為市場では関税懸念で米ドル安のトレンドが根強い
・5月の経済指標は予想を下回る内容が続き、トランプ関税の悪影響が出始めている
・さえない経済指標で米金利が低下、ドル安の相関関係は健在
・ドル円は重要サポートラインの142.00のトライを意識する状況に
予想を下回る米経済指標が続く
2日のIG週間為替レポートで、今週のドル円は経済指標にらみ展開になると指摘した。5月のADP雇用統計は3.7万人と、ブルームバーグ予想の11.4万人を大きく下回った。4月も6.2万人から6.0万人へ下方修正された。
注目は5月のISM指数である。2日に発表された製造業景気指数は48.5とブルームバーグ予想の49.5を下回った。昨日発表された非製造業景気指数も49.9と予想の52.0を下回った。製造業と非製造業でともに好不況の分岐点の水準「50」を下回った。一連の5月の経済指標は、トランプ関税の悪影響が出始めていることを示唆した。
米ISM指数の動向:過去1年間

ブルームバーグのデータで筆者が作成
米金利低下とドル安の相関関係は健在
トランプ関税によるインフレの再燃が意識され、米相互関税が発表された4月以降の米ドルは、金利が上昇しても下落または買い戻しが一過性で終わる状況にある。悪い金利の上昇は、米ドル安の要因であることを示唆する動きである。
一方、昨日のように米金利の低下局面では、米ドル売りの圧力が高まる従来の相関関係は健在である。
ドル指数と米金利の動向:日足 2024年12月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成
今日の注目指標は米新規失業保険申請件数
今日は週間の米新規失業保険申請件数が材料視される可能性がある。ブルームバーグがまとめた予想は23.5万件。4週移動平均と失業保険継続受給者数はじわりと上昇の傾向にある(下のチャートを参照)。ADP雇用統計と同じく労働市場の軟化を示唆する内容となれば、米金利の低下と米ドル安の進行を想定したい。ドル円(USD/JPY)は142円の維持が焦点となろう。
新規失業保険申請件数で労働市場の底堅さが示されても、現在の根強い米ドル安トレンドを考えるならば、反発は限定的となることが予想される。
米新規失業保険申請:週次 2024年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成
ドル円の見通しとテクニカル分析
142.00の攻防を意識
日足チャートでドル円(USD/JPY)のトレンドを確認すると、144.00レベルがレジスタンスラインとして意識されている(赤矢印を参照)。MACDはゼロラインを、RSIは50をそれぞれ下回る状況にある。これらテクニカル指標の攻防とトレンドは、ドル円の地合いの弱さ示唆している。
2日のIG週間為替レポートでは、週間予想レンジの下限を142.00レベルとした。この水準は、4月安値と5月高値のフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準であり、かつ5月27日の安値水準でもある。短期サポートラインを下方ブレイクしつつある状況を考えるならば、今日は予想レンジの下限142.00レベルの攻防を想定したい。
本日、ドル円が142円台を維持できれば、明日の5月雇用統計にらみの展開へシフトしよう。一方、筆者の想定を超えてドル円が一気に142.00を下方ブレイクする場合は、141.00そして節目の水準140.00と1円レンジの攻防を想定したい。
142.00レベルの攻防でもう一つ注目したいのが、このラインの上値抵抗線(レジスタンスライン)への転換である。強固なサポートラインであるがゆえに、ドル円が142.00を下方ブレイクする場合は、上で述べた1円レンジの水準でサポートラインを見極めることになろう。しかし、その過程では反発する局面も見られよう。その際、142.00レベルがサポートラインからレジスタンスのラインへ転換する場合は、地合いの弱さを市場参加者に印象付けるだろう。142.00の「レジスタンス転換」が確認される場合もまた、節目の140.00を視野に下落幅が拡大する展開を想定したい。
サポートライン:日足
・142.38:6月3日の安値水準
・142.00:予想レンジの下限、76.4%戻し、5月27日の安値水準
・141.00:サポートライン
・140.00:心理的節目のライン
143円台での戻り売り
今日の米新規失業保険申請件数が労働市場の底堅さを示唆する場合は、米ドルの買い戻しを想定したい。だが、米ドル安のトレンドは根強い。ゆえにドル円(USD/JPY)
が反発しても戻り売り(反落)を意識したい。
明日に5月の米雇用統計が控えていることも考えるならば、今日は143円台での戻り売りを想定したい。以下に今日のレジスタンスラインをまとめた。フィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準、38.2%の水準はレジスタンスラインとして相場の反落を止める可能性がある(赤矢印を参照)。61.8%の水準143.60レベルはレジスタンスラインへ転換する兆しがある。143.80レベルは、昨日のNY時間に相場の反発を止めた経緯がある。
ドル円が143.80レベルを突破しても、レジスタンスラインとして意識されている144.00レベルまでの反発が限界と予想する(日足チャートを参照)。
レジスタンスライン:15分足
・143.80:レジスタンスライン
・143.62:61.8%戻し
・143.20:38.2%戻し
・142.94:23.6%戻し
ドル円のチャート
日足:今年3月以降

出所:TradingView
15分足:4日の欧州時間以降

出所:TradingView
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