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銀価格見通し(12/30):80ドル突破も急落、下落は買いの好機か

IG証券のアナリストによる銀価格の短期見通し。80ドルを突破するもその後急落。目先は変動拡大を警戒も下落は押し目買いの好機に。注目のチャート水準を詳細解説。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

要点

  • 銀価格は週明け29日の取引で80ドルを突破し84ドルへ急騰。しかし、欧米時間では一転売り圧力が強まり一時11%急落した
  • 銀急騰の主因は需給ひっ迫にある。リースレートとリスクリバーサルの動きは、市場参加者がさらなる上昇を意識していることを示唆している
  • しかし、予想変動率の上昇を考えるならば、目先の銀価格は変動幅の拡大を警戒する必要があろう


銀価格急騰、一時80ドル突破

2025年の貴金属市場は歴史的な1年となった。金価格は初めて4500ドルを突破し、26日の取引で最高値4550ドル(IGレート)を記録。年初来の上昇率は一時70%を超えた。

しかし、今年の主役は銀価格だった。レポート掲載時点での年初来上昇率は150%と金価格の上昇率を大幅に上回る。週明け29日の取引では、節目の80ドルを突破し一時84ドルへ急騰。年初来の上昇率は一時190%に達した。

金価格と銀価格の年初来変動率:2000年以降

金価格と銀価格の年初来変動率:2000年以降

ブルームバーグの価格データで作成

銀価格急騰の主因は、今月16日のIGコモディティーレポートで指摘した需給のひっ迫観測にある。その時のレポートでは、年末の上限予想を66ドルとした。この水準を突破する場合は68ドルまで上昇する可能性を示唆したが、銀価格は筆者の想定を超える強気相場の加速を見せている。

しかし、後述する銀のリースレートと予想変動率の動きを考えるならば、目先の銀価格は上下に大きく振れる相場を警戒したい。

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変動拡大を警戒も下落は押し目買いの好機

銀価格の強気相場が続く可能性を示唆しているのが、リースレートだ。1ヵ月のリースレートは8%近くまで上昇する局面が見られた。3ヵ月に至っては9%台へ上昇している。銀現物の需給ひっ迫を意識する状況が続いている。

銀リースレート:12月以降の動き

銀リースレート:12月以降の動き

ブルームバーグのデータで作成 / 直近レート:30日午前8時時点

オプション市場も銀のさらなる上昇を警戒する状況が見られる。1ヵ月のリスクリバーサルは6.86へ上昇。10月上昇時の8.7に迫る。

一方、1ヵ月の予想変動率は10月の上昇局面時の44%水準を難なく突破し、59%へ上昇している。前述のリースレートとリスクリバーサルの動きも考慮するならば、市場参加者は銀価格のさらなる上昇を警戒していることがうかがえる。

銀価格のリスクリバーサルと予想変動率:日足 年初来

銀価格のリスクリバーサルと予想変動率:日足 年初来

ブルームバーグのデータで作成 / 30日午前8時時点

だが予想変動率の上昇は、銀価格の下落拡大の可能性も示唆している。実際、週明け29日の市場では84ドルへ急騰した後に利益確定とポジション調整の売り圧力が強まり、ブルームバーグの価格データでは70.54ドルまで急落する局面が見られた。下落率は前週末比で一時11%に達した。

銀価格の1時間足チャート:12月29日の動向

銀価格の1時間足チャート:12月29日の動向

出所:IGチャート

しかし、29日のような下落局面は押し目買いの好機と捉えたい。2026年も産業需要の拡大に供給が追い付かず、銀の需給ひっ迫を意識した動きは続くことが予想されるからだ。外為市場でドル安優勢の状況にあることも銀価格の下支え要因となろう。


節目の水準と過去の高値水準の攻防を注視

コモディティ価格は需給に大きく左右される。銀の需給ひっ迫が意識されている状況を考えるならば、年末から年明けにかけて銀価格は強気相場を維持する公算が大きい。

上昇の局面で意識したいのが、各節目水準での攻防だ。以下の日足チャートを見ると、目先は80ドルの攻防が焦点に浮上していることが分かる(赤矢印を参照)。レジスタンスラインに転換する可能性がある76ドルを再び突破する場合は、80ドルのトライを予想する。

銀価格が80ドル台へ上昇後、反落の局面でこの水準を維持すれば、次の節目水準90ドルそして心理的節目の水準100ドルを視野に上昇拡大を意識したい。

銀価格の日足チャート:11月以降

銀価格の日足チャート:11月以降

TradingView提供のチャート

一方、銀価格の反落局面でも節目の水準での攻防が焦点となろう。各節目の水準を下方ブレイクする場合は、RSIなどのオシレーター指標の動向を注視しながら、一度上昇を止めた水準がサポートラインに転換するかどうかに注目したい。

例えば、下に掲載した1時間足チャートで直近のトレンドを確認すると、日足チャートと同じくRSIは買われ過ぎの水準へ到達後に低下している。ストキャスティクスも同じ動きにある。昨日の急落を経て70.40ドルがサポートラインに転換する可能性が浮上している。

次にサポート転換を意識する水準は70ドルと69ドルだ。70ドル付近には現在10日線が上昇している。テクニカルの面でも70ドルはサポートラインとして意識されやすい状況にある。銀価格が69ドルを下方ブレイクする場合は変動拡大を想定し、65ドルまでの下落を警戒したい。現在この水準には20日線が推移している。
※移動平均線は上の日足チャートを参照

RSIとストキャスティクスが売られ過ぎの水準まで低下する局面で、上で取り上げたサポートラインをトライする場合は、銀価格の反発を意識したい。

銀価格の1時間足チャート:12月19日以降

銀価格の1時間足チャート:12月19日以降

TradingView提供のチャート


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