金価格見通し:米イラン停戦合意もくすぶるFRB利上げとドル高懸念、50日線突破が鍵
米国とイランが停戦60日間延長で暫定合意。金価格は200日線で反発したが、米利上げ観測とドル高が相場の重石となる可能性がある。下値を200日線、上値を50日線と想定し、目先はどちらの移動平均線をブレイクするかに注目したい。
要点
- 米イランが60日間の停戦延長で暫定合意。外為市場で米ドル安優勢となったことを受け、金価格は200日線をサポートラインにひとまず下げ止まった
- 米イランの停戦合意は短期的に金価格をサポートすることが予想される。だがFRBの利上げ観測次第で米ドルは上昇トレンドへ転じる余地がある。コアPCEの加速とウォーシュFRBのタカ派姿勢は米ドル先高観を強める要因になり得る。金価格の強気回帰は不透明だ
- 金価格の反発が続く場合は、短期レジスタンスラインと50日線の攻防が焦点となろう。下値をトライするトレンドが続く場合は4400ドルと200日線の攻防に注目したい
米イラン停戦延長で暫定合意、金価格は200日線で反発
米国とイランは28日、60日間停戦の延長と、核開発計画を巡る追加協議の開始で暫定合意に達した。次回の協議では、ホルムズ海峡の運航管理など中東地域の安全保障に関する枠組みも議題となる見通しで、中東情勢の急激な悪化シナリオは当面後退した。
今回の暫定合意を受け28日の外為市場では米ドル安が進行し、金価格を下支えした。日足チャートでトレンドを確認すると、25日のレポートで取り上げた200日線がサポートラインとして意識された。下ヒゲ示現での反発は、3月23日の急落時と同じ状況だ。今後市場参加者は、この移動平均線を重要なサポートラインとみなす可能性が高まった。
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リスク要因は米利上げ観測を受けたドル高の進行
暫定とは言え、米イラン停戦延長の合意は地政学リスクの後退を意味し、短期的な原油安、米金利の上昇抑制、米ドル高一服の展開が予想される。しかし、イランの核問題やホルムズ海峡の管理では今後も紆余曲折が予想され、中期的にはインフレリスクを意識する状況が続こう。
焦点は米利上げ観測とドルの動向だ。足元の翌日物金利スワップ(OIS)市場では、今年12月までに米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切る可能性を60%程度織り込む状況にある。1週間前は今年12月までの利上げを完全に織り込む状況にあっただけに、下記グラフの通り米イラン合意による短期的な利上げ観測の後退が見て取れる。
米政策金利の見通し
ブルームバーグのデータで作成
4月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)は、いずれもインフレの加速を示唆した。一方、4月のPCE価格指数も前年同月比で前月の3.5%から3.8%、コア指数も3.2%から3.3%へ加速した。今後も物価指数でインフレの粘着性が確認されれば、年内の利上げ観測が強く意識されるだろう。
量的緩和(QE)に否定的なウォーシュ氏率いるFRBは引き締めバイアスがかかりやすく、外為市場では米ドルの先高観が強まる可能性がある。米ドル高が進行すれば金価格の重石となろう。
金価格のテクニカル分析、200日線と50日線の攻防が焦点に
米ドルの先高観を最も鋭敏に反映しているのが、他ならぬ金価格だ。先週末より米イラン停戦合意の観測報道が流れる中でも、金価格は前述の通り200日線をトライする場面が見られた。日足RSIは50以下、MACDもゼロラインを下回る状況にあり、直近の反発をもって強気トレンドへ回帰したと判断するのは早計だろう。
今日以降、反発相場が続く場合、まずは4600ドルと交差する短期レジスタンスラインの突破を確認したい。このラインを抜ければ、4月下旬以降レジスタンスラインとして相場の反発を止め続けている50日線の攻防が焦点に浮上しよう。これらのテクニカルラインで反落する展開となれば、地合いの弱さを市場参加者に印象づけることになろう。
一方、50日線の突破に成功すれば、上昇拡大の期待が高まろう。このケースでは、一目均衡表の雲の攻防が次の局面となる。雲の上限4760ドル付近は、5月上旬に相場の反発を止めた経緯がある。ここを突破できるかが、中期的なトレンド転換を見極める分岐点となろう。突破に成功すれば、4月の戻り高値であり半値戻し水準でもある4850ドルが次の上値ターゲットに浮上する。
注目のチャート水準:レジスタンス
・4850ドル:4月の戻り高値、半値戻し
・4760ドル:雲の上限、5月上旬に相場の反発を止めた水準
・4630ドル:50日線(4629ドル、レポート掲載時点)
・4600ドル:短期レジスタンスライン
一方、下値トライ継続ならサポートラインとして相場を支えている4400ドルと200日線の攻防が焦点となろう。
200日線を下方ブレイクする展開となれば、100ドルのレンジで新たなサポート水準を見極めたい。特に3月の下落相場を止めた4100ドル付近は重要な水準として意識したい。このラインを下方ブレイクする場合は、心理的節目の4000ドルが視野に入る。
注目のチャート水準:サポート
・4400ドル:サポートライン
・4374ドル:200日線(レポート掲載時点)
・4300/4200ドル:100ドルレンジの攻防
・4100ドル:3月の下落相場を止めたサポートライン
・4000ドル:心理的節目の水準
金価格 日足チャート:2026年1月以降
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