金価格見通し:米利上げ観測急浮上、中東懸念後退でも強気回帰は期待できず、ドル高警戒
金価格の短期見通し。米イラン停戦で前進なら短期的な上昇を予想。しかし、FRBの利上げ観測が高まる状況では、米ドル高が重石となることが予想される。今週の想定レンジは4360ドル~4760ドル。
要点
- 週明け25日の金価格は上昇で始まった。原油安、米ドル安、日米株価指数先物の上昇も考慮すれば、米イラン停戦を期待した動きと言える
- 米イラン停戦で前進があれば、今週の金価格は上昇相場を想定したい。しかし、年内の米利上げ観測が急速に高まる中では、上昇は限られるだろう。今後米ドルのトレンド転換が外為市場の焦点に浮上する可能性がある。金価格は引き続き下値を模索する状況が続こう
- 金価格の週間想定レンジは4360ドル~4760ドル
高まる米イラン停戦期待、週明け金価格は上昇で反応
先週末、米国とイランが停戦合意に近づいているとの報道を受け、週明け25日の金価格は買い先行でスタートした。原油先物相場が売り先行で始まり、外為市場では米ドル安が優勢となるなど、市場全体に停戦期待を意識した動きが広がっている。今週、米国とイランが停戦で前進すれば原油安の進行と米金利の低下が予想される。米金利の低下は米ドル安の要因となろう。米ドル安は金価格の押し上げ要因となろう。
しかし、停戦協議の先行きは依然不透明だ。トランプ米大統領は24日、イランとの停戦合意を急がない考えを示した。イランの核問題とホルムズ海峡の管理をめぐる両国の隔たりが大きいとの見方もある。一転して停戦協議の期待が萎む可能性もあり、今週の金価格は、米イラン情勢に振り回される展開を想定しておきたい。
金価格、WTI原油先物、ドル指数 5分足チャート:25日序盤の動き
TradingView提供のチャート
インフレ懸念でFRB利上げ観測急浮上、ドル高転換なら金価格の重石に
米国とイランが停戦で前進すれば、金価格の押し上げ要因となろう。しかし、市場はすぐ次のテーマにシフトするだろう。それが米連邦準備制度理事会(FRB)の政策方針だ。
仮に今週中に米国とイランが停戦で合意しても、観測報道にあるように60日間など期間限定となれば、ホルムズ海峡の混乱が長期化する懸念はくすぶり続けるだろう。米国市場ではインフレ懸念が強く意識され、FRBが早ければ年内にも利上げに踏み切らざるを得ない状況に追い込まれることを織り込むだろう。
事実、その兆候が見られる。足元の翌日物金利スワップ(OIS)市場では、10月会合での利上げ確率が70%台へ上昇し、12月までには利上げに踏み切る可能性が意識されている。
米政策金利の見通しと利上げ確率の推移
ブルームバーグのデータで作成 / 25日13時時点
新たにFRB議長に就任したウォーシュ氏は、量的緩和政策(QE)に対して否定的な見解を示しており、政策の方向性は引き締めバイアスに傾きやすい。今後、経済指標や要人発言で早期の利上げ観測がさらに強まれば、米金利の高止まりや上昇を通じて、外為市場では米ドル相場のトレンド転換ムードが強まることが予想される。この状況は金価格にとって重石となろう。
金価格のテクニカル分析、週間想定レンジ4360ドル~4760ドル
米国とイランの停戦合意、またはその期待を高める動きが見られる場合、今週の金価格は上値トライが予想される。
しかし、金価格の予想変動率を確認すると、2025年以降の平均水準を視野に低下トレンドにある。停戦合意またはその期待を高める報道で再び上昇(金価格の上昇を予想した動き)が発生する可能性はある。だが、前述の米利上げ観測とドル高懸念を考えるならば、2025年や2026年初頭のような急騰相場が期待できる状況にはない。
金価格の予想変動率 日次:2025年以降
ブルームバーグのデータで作成 / 予想変動率:1ヶ月(年率換算)
まずは、4600ドル台を突破できるかが焦点となろう。この水準には短期レジスタンスライン(4600ドル)、50日線(4660ドル)、フィボナッチ・リトレースメント38.2%(4670ドル)が密集している。
レポート掲載時点では、停戦期待が高まる中でも4600ドルすら回復できていない。一目遅行線は日足ローソク足を下回る状況が続いている。50以下のRSI、ゼロライン以下で推移が続くMACDの動向も踏まえれば、市場参加者は金相場の強気相場回帰について未だ懐疑的だ。
金価格が4600ドル台の攻防を制し4700ドル台へ上昇しても、5月上旬に相場の反発を止めた4760ドルが控える。6月下旬までこの水準には一目雲の上限が推移する。今週は4760ドルを上限と想定したい。
米国とイランが停戦で合意し、ホルムズ海峡の早期正常化の期待を高める場合は、金価格の上振れを想定したい。このケースでは、半値戻し水準4850ドル(4848ドル)付近までの反発が予想される。この水準は、4月の反発局面でレジスタンスとして意識された経緯がある。
注目水準:レジスタンス
・4850ドル:半値戻し(4848ドル)
・4760ドル:上限予想、一目雲の上限
・4670ドル:38.2%戻し(4671ドル)
・4660ドル:50日線(4657ドル、25日時点)
・4600ドル:短期レジスタンスライン
停戦期待の後退または米ドル高が重石となり、4600ドル手前や前述のレジスタンス水準で相場の反発が止められる場合は、下値を模索する状況が続くだろう。このケースでは200日線を視野に、100ドル幅での攻防に注目したい。
現在サポートラインとして意識されている4500ドルを下方ブレイクする場合は、4400ドルのトライが射程に入る。この水準は、3月下旬に日足ローソク足の実体ベースで下落相場を止めた経緯がある。
3月23日の急落局面では、200日線の上で相場が急反発した。こうした過去の経緯と長期トレンドを考える上で重要な200日線が推移している4360ドルを今週の下限と想定したい。この移動平均線を下方ブレイクする下落相場に直面する場合は、さらに下の節目水準4300ドルのトライを想定したい。
注目水準:サポート
・4500ドル:サポートライン
・4400ドル:3月下旬の下落相場を止めた水準
・4360ドル:下限予想、200日線(4357ドル)
・4300ドル:節目水準
金価格 日足チャート:2026年以降
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