金価格 見通し(3/24):4000ドル視野も、イラン停戦と米利下げに不透明感
IG証券のアナリストによる金価格の見通し。原油価格に連動し金価格の変動幅が拡大の傾向にある。米利下げ期待の後退は新たなリスク要因に。金価格は4000ドル視野に下落拡大の可能性も。
要点
- WTI原油先物はトランプ発言に右往左往の状況にある。23日はイラン攻撃延期の発言で一時84ドル台へ急落。原油価格に連動し金価格も変動拡大の傾向にある
- 今週の金価格もイラン情勢にらみの展開となろう。停戦協議を巡り情報が錯綜しトランプ発言も二転三転している。主要中銀のタカ派傾斜も新たなリスク要因として浮上している。特にFRBの利下げ期待後退は金価格の重石となろう
- 金価格が下値を目指す局面では、200日線が控える4100ドルの攻防に注目したい。割り込めば心理的節目の4000ドルが視野に入る。一方、反発局面で26週線(4500ドル)を突破すれば、4600ドルまでの反発が予想される
原油価格 トランプ発言に右往左往、一時84ドル台へ急落
23日のWTI原油先物価格は荒れ相場となった。トランプ米大統領は23日、イラン発電所への攻撃を5日間延期すると表明し、「48時間の警告」を事実上撤回した。
トランプ氏はイランとの協議で「主要な合意点がある」と主張。ウィトコフ特使とクシュナー氏が週内も協議を継続すると述べた。中東の緊迫が一時的に後退するとの見方から、WTI原油先物5月限は一時84ドル台へ急落した。
WTI原油先物5月限 5分足チャート:3月23日の動向
出所:IG取引プラットフォーム
しかし、停戦協議を巡り情報が錯綜している。トランプ氏が「生産的な協議」を行ったと主張する一方、イラン外務省とガリバフ国会議長はともに「米国との協議は一切ない」と全面否定している。複数の米メディアによれば直接交渉は未定であり、エジプト・トルコ・パキスタンを介した間接的なメッセージの交換にとどまるという。仲介国がイスラマバードでの会談を調整中との情報もある。しかしイラン側からの正式回答はなく、「5日間の猶予期間」での停戦協議には不透明感が漂う。
原油先物価格は、引き続きボラティリティの拡大を警戒したい。この点を示唆しているのがOVX指数だ。一時の120%台からは低下しているが、なお90%前後で高止まりしている。
今や原油価格は、中東有事の緊迫度を映すバロメーターだ。この地域で緊迫の度合いが高まれば、原油高と米ドル買いを同時に引き起こす。以下で詳述する主要中銀の"タカ派"傾斜という、新たなリスク要因が台頭している状況も考えるならば、金価格は特に下落局面でのボラティリティ拡大を警戒したい。
OVX指数 日足チャート:2025年以降
ブルームバーグのデータを基に作成
予想変動率:年率換算
FRB今年利下げなしの可能性も、新たなリスク要因に
先週の“中銀ウィーク”では、新たな動きが見られた。それは、主要中銀が今年引き締め政策へ舵を切る、またはその可能性が急浮上したということだ。
22日のIG日本株レポートで指摘したとおり、主要中銀に先駆けて引き締め政策への転換を鮮明にしたのが、オーストラリア準備銀行(RBA)だった。翌日物金利スワップ(OIS)市場では、次回5月会合でも追加利上げに踏み切る可能性が意識されている(24日時点で60%前後)。利上げに踏み切れば3会合連続となる。
また、欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(英中銀、BOE)は、早ければ今年4月にも利上げに転じる可能性が意識されている。レポート掲載時点での利上げ確率は、いずれも60%台にある。カナダ銀行とニュージーランド準備銀行(RBNZ)の利上げ観測も急浮上している。
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“タカ派”に傾斜する動きは、米連邦準備制度理事会(FRB)も同じだ。OIS市場では、イラン攻撃が始まる前日(2/27)までは、今年2回の利下げが見込まれていた。しかし、今やその見通しは完全に後退している。レポート掲載時点での今年12月のフェデラルファンド(FF)金利予想(上限)は、3.7%台へ上方シフトしている。3月のドットチャートで示された今年1回利下げの見通しを否定する状況にある。
利下げ観測の後退は、米金利の上昇と米ドル高の要因だ。インフレ期待を反映する米10年国債利回りは3月以降上昇が拡大し、23日の市場では一時4.4%台へ上昇する場面があった。米金利の上昇に連動し、イラン攻撃以降の外為市場では、米ドルが対G10通貨で上昇している(23日時点)。
米利下げ期待の後退は、金価格にとって新たなリスク要因だ。イラン情勢の不透明感も考えるならば、引き続き金価格は下落を警戒する状況が続こう。反発しても、今週は以下にまとめたチャート水準での戻りを想定したい。
米ドルの動向:3月2日~23日
ブルームバーグの為替データを基に作成
金価格のチャート分析、4000ドル視野に下落拡大も
200日線ブレイクなら4000ドルが視野に
金価格のトレンドを日足チャートで確認すると、MACDはゼロラインを下回り、金価格が弱気地合いにあることを示している。一目均衡表は「三役逆転」へ転じている。今週も下値トライを警戒したい。
目先の焦点は、4100ドルの攻防だ。23日の取引では、この水準がサポートラインとして意識され、日足ローソク足には長い下ヒゲが示現した。直下には200日線が推移している。テクニカル面で4100ドル付近はサポートラインとして意識されやすい状況にある。日足RSIが売られ過ぎの水準にあることも、4100ドル付近での買い戻しを期待させる。4200ドルの下方ブレイクは、4100ドルをトライするラインとなろう。
しかし、現在の弱気地合いを考えるならば、4100ドルで反発しても200日線割れを警戒したい。このケースでは、心理的節目の水準4000ドルを視野に下落拡大が予想される。
現状では4000ドルを今週の下限と想定する。だが前述の通り、原油先物市場は変動拡大を警戒する状況にある。FRBの利下げ期待が急速に後退し、「米金利の上昇・高止まり→米ドル買い」が続く可能性も考えるならば、4000ドル割れを想定しておく必要がある。このケースでは、52週線が推移している3900ドル前半までの下落拡大を警戒したい。
注目のチャート水準:サポート
・4200ドル:節目の水準
・4100ドル:23日の下落を止めた水準
・4076ドル:200日線
・4000ドル:下限予想、心理的節目の水準
・3931ドル:52週線
※移動平均線の水準:レポート掲載時点
まずは4500ドルの突破
イラン情勢を巡るトランプ米大統領の発言が二転三転している。急転直下で週内の停戦協議で進展が見られる場合は、中東不安の後退で「原油安→米金利の低下→米ドル安」が予想される。このケースでの金価格は、以下にまとめたサポート水準の攻防に注目したい。
焦点は4500ドルの突破だ。テクニカル面では4500ドルの直下で推移している26週線の攻防に注目したい。この移動平均線のブレイクアウトは、反発拡大のサインとなろう。4400ドルの突破は、26週線(4500ドル)をトライするサインと捉えたい。
金価格が4500ドル台の攻防となる場合は、4600ドルまでの反発が予想される。この水準は、現時点での3月の高値と安値のフィボナッチ・リトレースメント38.2%にあたる。現在の弱気地合いを考えるならば、今週は4600ドルまでの反発が限界と予想する。
注目のチャート水準:レジスタンス
・4600ドル:上限予想、38.2%戻し(4603ドル)
・4500ドル:26週線(4490ドル)
・4400ドル:節目の水準
金価格 日足チャート:2026年以降
TradingView提供のチャート
金価格 週足チャート:2025年8月以降
TradingView提供のチャート
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