コンテンツにスキップする

外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません 外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません

金価格見通し(6/3):2%超す大幅高、3,400ドルが視野に ドル安進行と欧州地政学リスクで

週明けのNY金先物価格は前週末比2.5%高の大幅高となった。スポット価格はトライアングルを上方ブレイク。3,400ドル台の攻防が視野に入る。関税懸念で米ドルの先安観が強まり、欧州の地政学リスクが再燃のムードにある。これらは金価格の押し上げ要因となろう。詳細はレポートを参照。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

記事の要点

・金価格がトライアングルを上方ブレイク、3,400ドル台が視野に
・米ドルの先安観と欧州の地政学リスクが金価格の押し上げ要因となろう
・6日までの金価格の予想レンジ:3,300-3,490ドル



金価格、トライアングルの上方ブレイクで高まる上昇期待

2日のNY金相場は大幅高で終えた。先物価格は1トロイオンス3,397.2ドルで終えた。前週末比81.8ドル(2.5%)高の大幅上昇となった。

一方、スポットの金価格(以下では金価格)は、レジスタンスラインとして意識されていたトライアングルの上限を大陽線で突破した。5月23日の高値3,366ドルも突破した。3,240ドルがサポートラインへ転換し、かつ50日線がサポートラインとして意識された上でのトライアングルの上方ブレイクは、テクニカルの面で金価格に地合いの強さが戻ってきたことを市場参加者に印象付けた。

以下で述べる2つの要因は、金価格の押し上げ要因となろう。3,400ドル台への上昇期待が高まっている。

スポット金価格のチャート:日足 今年2月以降

スポット金価格のチャート:日足 今年2月以降

出所:TradingView


関税懸念で根強い米ドルの先安観、5月指標でドル安進行も

最初に注目すべき要因は、米ドルの先安観である。この先安観はトランプ関税の不透明感に根差している。

トランプ米大統領は先月30日、鉄鋼とアルミニウムの関税を25%から50%に引き上げることを表明した。新たな関税は6月4日から実施するという。欧州委員会は同月31日、報復を示唆した。また、トランプ氏は自身のSNSに「中国が我々との合意を完全に破っている」と非難した。米通商代表部(USTR)のグリア代表もCNBCのインタビューで、中国はジュネーブでの合意を順守せず取り組みが遅いと指摘した。米要人の強硬姿勢を考えるならば、米中協議は紆余曲折が予想される。

トランプ関税をめぐる米司法の判断が揺れている状況も考えるならば、関税懸念は米ドル安の先安観を強める要因となろう。事実、2日の外為市場は米ドル売りが進行し、ドルのトレンドを示すドル指数(DXY)は99ポイントを下抜けた。50日線、短期レジスタンスラインそして一目雲の下限で反発が止められた状況は、テクニカルの面でも米ドルの先安観を示唆している。4月21日の安値97.92ポイントが視野に入る。

ドル指数のチャート:日足 年初来

ドル指数のチャート:日足 年初来

出所:TradingView

米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事は2日のソウル講演で、年内に追加利下げを行う可能性を示唆した。トランプ政策により失業率が上昇し、インフレを一時的に押し下げる見解を示した。

今週からトランプ関税の影響が出始める5月の米経済指標が順次発表される。まずは、2日のIG週間為替レポートで取り上げたISM指数と雇用統計に市場参加者の関心が集まろう。これら重要指標で市場予想を下回る内容が続けば、9月に後ずれしている利下げ観測が再び強まる要因になり得る。特に注目すべきは、ウォラー理事が言及した失業率である。ブルームバーグ予想の4.2%を上回る場合は、米ドル売り・ゴールド買いが加速する要因になり得る。

米雇用統計 各項目の動向:過去1年間

米雇用統計 各項目の動向:過去1年間

ブルームバーグのデータで筆者が作成/ 赤の棒グラフとドット:5月予想


欧州の地政学リスク

金価格を押し上げるもう一つの要因が、再び緊迫化しているロシアーウクライナ情勢、いわゆる欧州の地政学リスクである。

ウクライナのメディアによれば、同国の保安局(SBU)は1日、ロシアの各軍基地を無人機で攻撃したと報じた。一方、ロシアもミサイルとドローンでウクライナの首都キーウを攻撃した。

両国は2日、トルコのイスタンブールで直接交渉に臨んだ。ロシアからはメジンスキー大統領補佐官、ウクライナからはウメロフ国防相が出席した。新たな捕虜の交換など人道面で合意したが、それ以外での進展は見られず交渉は1時間程で終了した。

無条件の停戦を要求したウクライナに対して、ロシアは一方的に併合したウクライナ東部・南部4州からのウクライナ軍の完全撤退、および欧米からの軍事的な支援の停止を求める覚書を提示したとの報道がある。月内に再び会合が開かれるとのことだが、1日の攻撃の応酬と2日の交渉内容を考えるならば、和平協議は難航が予想される。

米ブルームバーグは、上で述べたロシアーウクライナ情勢が2日の金上昇の一因になったとの見方を伝えている。米ドル安の先安観に加えて欧州の地政学リスクが再燃する可能性がくすぶる今の状況は、金価格の押し上げ要因となろう。今週は、下で述べるレジスタンスラインを視野に上昇幅の拡大を想定したい。


金価格の見通しとテクニカル分析

上値抵抗線(レジスタンスライン)
米ドルのトレンドを示すドル指数(DXY)と金価格のトレンドを確認すると、金価格が米ドルにらみの状況にあることが分かる。

4月の下旬以降、ドル指数の下落が一服しレンジ相場が続いた。それに連動し金価格は調整売りに直面し同じくレンジ相場が続いた。しかし、2日の市場で再び米ドル安が進行した。上述したトランプ関税の不透明感と米FRBの利下げ姿勢は、今後も米ドルの押し下げ要因として意識されよう。5月ISM製造業景気指数は48.5と、市場予想の49.5を下回った。上述したとおり、今後発表される5月指標で景気不安を強める内容が続けば、米ドル安の進行と金相場の上昇を想定したい。

ドル指数と金価格のチャート:年初来

ドル指数と金価格のチャート:年初来

ブルームバーグのデータで筆者が作成

筆者の予想通りに金価格の強気地合いが加速する場合、まずは節目のラインである3,400ドルのトライを想定したい。金価格が3,400ドル台へしっかりと上昇する場合は、以下にまとめた2つの水準-3,410ドルと3,435ドルの攻防に注目したい。特に後者の3,435ドルは、金価格が最高値3,500ドルを目指すかどうか?を判断する重要なテクニカルラインの一つである。また、金価格が3,400ドルを突破した後、このラインが下値支持線へ転換するかどうか?この点も重要な焦点となろう。

今日以降、金価格が3,400ドルで底固めのムードが高まれば3,435ドルの突破、そしてフィボナッチ・エクステンション100%の水準3,490ドルを視野に上昇幅の拡大を予想する。強気地合いが加速する可能性を考慮し、このテクニカルラインを今週の予想レンジの上限と想定したい。

・3,490:エクステンション100%、予想レンジの上限(日足)
・3,435:5月6日の高値水準(4時間足、日足)
・3,410:76.4%戻し(4時間足)
・3,400:節目の水準(日足)

下値支持線(サポートライン)
2日のIG週間為替レポートで指摘したとおり、5月の米経済指標が市場予想を上回る場合は、短期的な米ドルの買い戻しが予想される。米ドルの反発はゴールド売りの要因となろう。だが、トランプ関税の不透明感を意識した米ドル安の先安観はそう簡単に後退しないだろう。欧州の地政学リスクがくすぶる状況も考えるならば、金価格が下落してもその幅は限定的となることが予想される。

今週の予想レンジ下限を3,300ドルと想定したい。サポートラインへ転換する兆しがあり、かつ10日線が推移している3,325ドルの下方ブレイクは、3,300ドルをトライするサインと捉えたい。

なお、筆者の想定を超えて下落幅が拡大し予想レンジの下限を下方ブレイクする場合は、3,325ドルと同じくサポート転換の可能性がある3,280ドルのトライを想定したい。

・3,325:10日線、サポート転換の可能性あり(4時間足)
・3,300:予想レンジの下限(4時間足)
・3,280:サポート転換の可能性あり(4時間足)


金価格のチャート

日足:今年の2月以降

日足:今年の2月以降

出所:TradingView

4時間足:4月以降

4時間足:4月以降

出所:TradingView


本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

IG証券の商品(コモディティ)トレード

  • 約70種類の商品が取引可能
  • 原油や金など主要な商品の円建て銘柄
  • 金・銀、原油はバイナリーでも

リアルタイムレート

  • FX
  • 株式CFD
  • 株価指数CFD

※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。

モーニングメール

ストラテジストによる「本日の予想レンジとトレンド」を毎朝※無料でお届け中! ※メール送信は基本的に月~金の平日を予定しておりますが、ストラテジストの都合により予告なく送信を行わない日がございますので、予めご了承ください

弊社の個人情報保護方針・アクセスポリシーにご同意の上、申し込みください。

こちらのコンテンツもお勧めです

IG証券はお取引に際してお客様がご負担になるコストについて明確な情報を提供しています。

FX/バイナリーオプション/CFDのリーディングカンパニー。IG証券について詳しくはこちら

その日の重要な経済イベントが一目でわかるカレンダー。「予想値」、「前回値」、「発表結果」データの提供に加え、国名や影響度によるイベントのスクリーニング機能も搭載。