金価格は4000ドルから反発するも21日線がレジスタンスラインとなり、上値の重さは否めず。相場の主役は中東有事からFRBへ。来週のカタリストは6月米CPI。弱気地合いの中の買い戻し継続を想定したい。
7日のIGコモディティレポートで示した週間想定レンジ4000〜4300ドルに対し、今週の金価格(XAU/USD)は4000〜4200ドルで売り買いが交錯している。
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21日線がレジスタンスラインとしての存在感を高めている。日足のMACDはゼロラインを下回る状況が続き、RSIも50前後にとどまる。4200ドルも上値抵抗として意識され始めている。
これらテクニカルの動向を踏まえれば、7日のレポートで示した「弱気地合いの中の買い戻し」の構図は変わっていない。本日も、上昇局面では21日線や4200ドルでの反落を意識したい。
金価格 日足チャート:2026年1月以降
今週に再燃した米イランの軍事衝突では、米軍が8日に追加攻撃の完了を発表し、外交による収束観測が広がった。
中東不安の再燃による原油高・米金利上昇で、8日の金価格は下落した。しかし、9日は中東懸念が後退しNY原油先物価格は反落、米長期金利は低下した。金価格は反発し4100ドルを回復した。
3月は中東不安を受けた「原油高→有事のドル買い」トレンドが進行した。4月以降、米ドル高の圧力は後退したが、原油先物価格との連動性は続いた(下チャート、赤ゾーンを参照)。
しかし現在は、「原油安→ドル高」の状況にある。特に6月以降は、両者の乖離が拡大している(下チャート、緑ゾーンを参照)。中東不安の再燃に対する反応が限定的だった状況も踏まえれば、金相場の焦点が、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策にシフトしていることを示唆する動きと捉えることができる。
原油先物価格とドル指数 4時間足:2026年3月以降
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金相場の主役(市場の焦点)がFRBの政策動向へシフトしていることは、米国の2年実質金利とドル指数の関係にも表れている。
原油安による米期待インフレ率(BEI)が低下しても、金融政策の方向性を織り込む2年債利回り(名目金利)は高止まりしている。このため、米国の2年実質金利は上昇基調にある。
米2年債利回りと2年期待インフレ率(BEI) 日次:2026年1月以降
米利上げ観測が高まる前の2年実質金利とドル指数は、明確な連動を欠いていた。
しかし、翌日物金利スワップ(OIS)市場で利上げの可能性が意識され始めた5月以降、連動性が急速に高まっている。外為市場での米ドル高の軸が、中東有事からFRBへシフトしていることを示唆する動きだ。米ドル高の軸である利上げ観測→2年実質金利の上昇が、金価格の重石となっていることを下のチャートは示唆している。
米2年実質金利、ドル指数、金価格の動向 日次:2026年1月以降
ただし直近では、その逆風がやや和らいでいる。ドル指数(DXY)は先月24日に101.80レベルまで上昇した後に上値の水準をじりじりと切り下げている。
21日線がサポートラインとして意識されており、サポート転換が確認された100.50レベルも維持していることを踏まえれば、米ドル安へ転じる地合いにはない。一方で、MACDとRSIの動きは強気地合いがひとまず後退していることを示唆する。
今日も米ドル高の調整が続けば金相場を支えよう。しかし、米利上げ観測と実質金利の動向を考えるならば、冒頭で取り上げた21日線や4200ドルでは金価格の反落を警戒したい。
ドル指数 日足チャート:2026年1月以降
テクニカル面だけでなく、ETF需要の弱さも金相場が弱気地合いにあることを示唆している。
ブルームバーグ・インテリジェンスがまとめた週次の資金フローによれば、主要な金ETFからの流出基調が続いている。現代の金投資でETFは主戦場であり、米利上げ観測が意識され始めた5月以降の需要の弱さが続く状況もまた、上昇局面での反落要因として意識したい。
金ETFの週次資金フロー:2026年2月以降、6/29~7/3週まで
金価格(XAU/USD)が上値を目指す場合は、21日線、一目均衡表の基準線、右肩下がりの短期レジスタンスラインが重層的に上値を抑える構図が続くことを想定したい。
今日も上値トライの局面では、21日線の攻防が最初の焦点となろう。この移動平均線を上抜ければ、38.2%戻しと61.8%戻しが重なる4200ドル(4時間足)が視野に入る。しかし今日は、金相場を大きく動かす材料に欠ける。4200ドルまでが戻りの限界と想定したい。
注目水準
■レジスタンス
・4200ドル:38.2%戻し、61.8%戻し(4時間足)
・4130ドル:21日線(4133ドル)
一方、金価格が下値を目指す場合は、サポートに転換しつつある4040ドルの攻防に注目したい。ここを維持できれば底堅いが、割り込めば4000ドルを視野に下落拡大を警戒したい。4100ドルの下方ブレイクは、4040ドルをトライするサインとなろう。
注目水準
■サポート
・4100ドル:節目水準
・4040ドル:サポート転換
来週の想定レンジは4000〜4300ドルとみる。金相場を動かす最大のカタリストは、14日発表の6月消費者物価指数(CPI)だ。ブルームバーグがまとめた市場予想では、前月比コア指数を除き鈍化が見込まれている。トレンドを示す前年同月比は5月の4.2%から3.8%へ、同比コア指数は2.9%から2.8%の鈍化予想にある。
予想通りにインフレの鈍化が示されれば、金相場を下支えする展開が予想される。一方、CPIが予想外に上振れる場合は、利上げ観測の高まりから米(実質)金利の上昇を通じて金相場の重石となろう。
米金利の高止まりや上昇と米ドル高が続く限り、上値は日足フィボナッチ・リトレースメント23.6%にあたる4300ドルで抑えられると予想する。半値戻しと76.4%戻しが重なる4270ドル(4時間足)の突破は、上限予想4300ドルをトライするサインとなろう。
一方、下限予想の4000ドルを下方ブレイクする場合は、6月下旬から7月上旬にかけて相場をサポートした3960ドルの攻防が焦点に浮上しよう。
米消費者物価指数(CPI)の動向:過去1年間
【再掲】金価格 日足チャート:2026年1月以降
金価格 4時間足チャート:6月以降
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