コモディティ投資は、株式や不動産などといったほかの投資対象とどのように違うのでしょうか。この記事ではコモディティ投資とは何かといった基本事項から、メリットやデメリット、種類や投資方法、リスク管理のポイントなどについて解説します。
コモディティ投資とは、金や銀などの貴金属、原油などのエネルギー資源、小麦やコーヒー豆などの農産物、さらに家畜など、世界で取引される「コモディティ(商品)」に投資することです。コモディティは、株式や債券などと並ぶ投資対象の一つです。
コモディティ投資は株式や債券と異なる値動きをする傾向があることから、インフレや地政学リスクへの備えとして注目されています。例えば、2020年のコロナ・ショックでは株価が急落する中、金価格は約1カ月で回復しました。また、ロシアがウクライナに侵攻したことで、原油価格は2022年3月に一時的に1バレル=130ドルに高騰した局面もありました。こうした値動きの独自性が、資産分散やリスクヘッジの手段として投資家の関心を集めています。
コモディティ投資には、大きく分けて「現物取引」と「先物取引」があります。
現物取引は、金などの実物を直接購入する方法です。手元に現物を保有する安心感がありますが、保管場所や管理コストが必要になります。
一方、先物取引では、あらかじめ決められた期日と価格で取引を行います。これにより、実際に現物の商品を保有することなく効率的に商品を取引することが可能になります。
コモディティ投資のメリットを紹介します。
コモディティ投資の大きな魅力の一つは、株式や債券とは異なる値動きをする点です。コモディティ価格は、商品ごとの需給バランスや天候、生産量、在庫状況、為替レートなど、多様な要因で変動します。そのため、株式市場の変動要因とは別の要因で動くことが多く、例えば株式中心のポートフォリオに組み込むことで分散投資効果が期待できます。
例えば「安全資産」と呼ばれる金は、世界的な政治リスクや経済不安が高まったときに値上がりしやすい傾向があります。コロナ・ショック時には金の価格も下がりましたが、NYダウよりも下げ幅は少なく、1カ月ほどで高値を更新するほどの回復力を見せました。
この特徴を生かして、株式に投資をしながら金にも投資を行うことで、リスク分散を図る戦略を取ることが考えられます。
ただ、どの銘柄にも言えることですが、過去の実績と同じ動きをするわけではない点には留意しておきましょう。
メリットの2つ目には、インフレに強い傾向があることが挙げられます。
コモディティは、インフレ時に値上がりする傾向があります。インフレとは物価上昇のことですが、金、原油、穀物などのコモディティはその物価を構成する要素そのものです。つまり、インフレが進むとコモディティの価格も上昇するため、コモディティに投資していれば、購買力の低下を防ぐことができます。株や債券は企業業績や金利の影響を受けますが、コモディティは実物資産として直接的にインフレと連動するため、インフレヘッジとして投資戦略に組み込まれることがよくあります。
コモディティ投資にはメリットがある一方で、デメリットにも注意しなければなりません。
コモディティ投資では、銘柄ごとに価格の変動要因が異なるため、急な価格上昇または下落が起こることがあります。例えば原油に代表されるエネルギー・天然資源は政治や世界情勢により価格が変動しやすい銘柄です。原油は特に、中東地域において混乱が生じると供給側の不確実性を高めるため、価格に大きな影響を与えます。また小麦などの農作物は、災害や天候不順などにより生産量に影響が出た場合、需要と供給のバランスがくずれ、価格が変動する可能性があります。
このような価格の変動要因は事前に予測することが難しく、コモディティ投資のデメリットの一つであるといえます。
コモディティの多くは米ドルなど外貨建てで取引されます。そのため、商品の価格だけでなく為替レートの変動によっても投資成果が変わります。これを為替リスクといいます。例えば、NY金をドル建てで取引し、円換算する場合、ドル高円安になると円での価格は上昇しますが、ドル安円高では下落します。つまり、商品自体の値動きがプラスでも為替変動で利益が減る可能性があり、逆に商品の値下がりが為替変動で相殺されることもあります。投資を検討する際は、為替リスクも戦略に組み込むことが重要です。
インカムゲインとは、資産を持っているだけで得られる利益のことです。株式の配当金、不動産の家賃収入、債券の利息などがその代表例です。しかし、コモディティ投資は金や原油などの「商品」に投資するため、保有しているだけでは利益は発生しません。利益を得るには売却して差額益を出す必要があり、長期保有による安定的な収入は見込めません。そのため、定期収入を求める投資家には向かないといえます。
コモディティは、主に2つのカテゴリーに分けられます。1つ目は、採掘または抽出された金属やエネルギー資源です。これらはハードコモディティと呼ばれています。2つ目は、農作物、家畜などのソフトコモディティと呼ばれるものです。それぞれを詳しく紹介します。
エネルギー分野のコモディティには、WTI 原油や北海原油などの原油、NYヒーティングオイル、NY無鉛ガソリン、NY天然ガスなどがあります。これらは世界中で需要が高く、特に国際情勢の影響を受けやすいのが特徴です。例えば、中東での紛争や産油国の減産合意は供給量を減らし、価格を押し上げる要因になります。また、OPECの方針や米国のシェールオイル・ガスの生産量も価格変動に直結します。さらに、景気動向や季節要因(冬場の暖房需要など)も価格を左右するため、投資する際は多方面のニュースに目を通す必要があります。
金属のコモディティには、金やプラチナなどの貴金属と、亜鉛やアルミニウムなどの産業用金属があります。特に金は「安全資産」として有名で、経済や株式市場が不安定なときに資金が集まりやすい傾向があります。生産量や在庫状況によって価格が変動するのはもちろん、金は米ドルと逆の動きをする傾向があるため、ドル安時には価格が上がることもあります。
ただし、過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。コモディティ投資を始める際には、ご自身でテクニカル分析、ファンダメンタルズ分析など分析をしっかりと行ってから、投資戦略を立てましょう。
農産物のコモディティには、小麦、トウモロコシ、大豆、小豆、米、コーヒー、砂糖、ゴムなどがあります。農産物は天候や自然災害の影響を強く受けるため、価格変動が起こりやすいのが特徴です。例えば、干ばつや洪水が発生すると収穫量が減少し、供給不足から価格が上昇します。また、主要生産国の輸出規制や国際情勢の変化も相場に影響するでしょう。需要が安定しているため長期的な取引対象としても人気ですが、季節性や突発的な気象変動による価格の急変には注意しておくことが大切です。
畜産物には、飼育牛、生牛、豚肉などがあります。これらは生活に欠かせない食料であるため、比較的安定した需要がありますが、価格は飼料価格や供給状況に左右されます。例えば、飼料となるトウモロコシの価格が上昇すると生産コストが増し、畜産物の価格も上がる傾向があります。また、口蹄疫や鳥インフルエンザなどの家畜伝染病が発生すると、供給が大きく減少し相場が急騰する可能性もあります。景気後退時でも一定の需要を保つ一方、突発的なリスク要因を常に意識した運用が求められます。
かつてコモディティ投資は、その価格の高さから、限られた投資家だけが参加できる市場でした。しかし近年は、投資信託やETF(上場投資信託)、CFD(差金決済取引)など多様な投資方法が登場し、比較的少額からでも始められるようになってきました。ここでは、3つの投資方法を紹介します。
コモディティを扱う投資信託やETFを購入することで、間接的にコモディティに投資する方法です。コモディティETFは、証券取引所で価格が決まるため、個別株のように証券会社で売買を行うことができます。さまざまなコモディティを一つの投資信託で購入することができる点もメリットだといえます。半面、投資信託では個別のコモディティを取引することができません。コモディティを個別に取引したい場合は、このあと紹介する商品CFDなどを利用することができます。
純金積立は毎月1,000円から、プラチナ積立は毎月3,000円からで定額買付するサービスなどがあり、貴金属メーカー、地金商、証券会社や銀行などが取り扱っています。1,000円単位で積み立てられるため自分のペースで資産形成でき、また手元に金を保管するわけではないので盗難のリスクがない点がメリットであるといえます。半面、手数料が高いことや、短期で利益を出すことが難しいこと、買った時点より価格が下がってしまい損失を出す可能性があることがデメリットとして挙げられます。
CFDは、金や原油などを現物で保有せず、売買価格の差額で利益や損失が確定する取引方法です。
IG証券の商品CFD(差金決済取引)でコモディティ投資を行うことが可能です。
商品CFDの特徴は、主に次の3点です。
CFD取引はレバレッジ取引です。手持ち資金の数倍から数十倍のポジションを保有できる一方、市場が予測と反対に動いた場合、損失は口座内の証拠金額よりもはるかに大きくなる可能性があります。逆指値注文を使用し、損失の許容範囲で決済価格を事前に設定しておくなど、事前のリスク管理が大切です。
リスク管理について詳しくはこちらのページをご覧ください。
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