半導体ビジネスは急速に成長している分野です。この記事では2025年10月の段階で注目されている半導体株のおすすめ5選 (日本含む) を紹介します。いずれも、成長性や市場での注目度、割安性などを総合的に考慮して選定しています。
半導体株(半導体銘柄)とは、半導体を製造・開発している企業の株式のことを指します。半導体は私たちの身の回りにあるスマートフォンやパソコン、自動車など、多くの製品に使われており、現代社会に欠かせない技術です。そのため、半導体を扱う企業の業績は、経済全体やテクノロジーの進化に大きく左右されやすいという特徴があります。
有名な半導体株には、アメリカのNvidia、台湾のTSMC、韓国のサムスン電子、日本では東京エレクトロン、信越化学工業、アドバンテストなどが挙げられます。これらはスマートフォンやAI、自動運転車などの分野で重要な役割を果たしている企業です。
このように、半導体市場は最先端のテクノロジーとともに成長していく可能性の高い分野であり、投資対象としても非常に注目されています。
この項目では、半導体株を取引するメリットとデメリットについて解説していきます。
半導体株を取引するメリットとしては、まず成長性の高さが挙げられます。半導体はスマートフォンやパソコンだけでなく、今後さらに成長が期待されるAI分野や自動運転車、IoT(モノのインターネット)などに欠かせない重要な部品です。技術革新とともに、新しい需要が次々と生まれやすい分野だと言えます。
また、世界的なニーズの高さも特徴です。半導体は世界中の多くの産業で必要とされているため、グローバルに展開している企業が多く、海外市場の成長を取り込める機会があります。
さらに、半導体産業は注目度が高い市場であることから、ニュースや情報が豊富で、学びやすいという点も初心者投資家にとってはメリットになるでしょう。
一方で、半導体株には注意すべきデメリットもあります。最も大きなデメリットは、ボラティリティが高い(値動きが大きい)ことです。世界的な景気や技術トレンド、政府の方針、国際関係などさまざまな影響を受けやすいため、株価が急騰・急落しやすい傾向があります。
また、技術の変化が非常に速いため、今まで主力だった製品や企業が短期間で苦境に立たされるケースも少なくありません。さらには、半導体そのものが一時的に余って価格が下がる「シリコンサイクル(約3~4年周期で好況と不況を繰り返す現象)」と呼ばれる現象もあり、企業の業績が上下しやすいのも特徴です。
加えて、専門用語や業界知識が必要になる場面があるため、最初は取引が少し難しく感じられるかもしれません。
半導体銘柄は、個別株として取引することも、上場投資信託(ETF)を通じて取引することもできます。例えば、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は米国の半導体株に連動する指数として広く知られています。
他の業界と同様、半導体関連企業も決められた決算時期に決算を発表します。決算発表が迫るにつれて、取引量は急増し、市場のボラティリティが高まる傾向があるので、決算をまたいで取引する際には注意が必要です。
さらに、企業による重大発表や新製品の発表、連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策に関する情報の発表時などにも、ハイテク関連銘柄のボラティリティが高まります。その結果、半導体関連銘柄の取引にも影響が波及する可能性があります。
ここでは、2025年第4四半期に注目すべき半導体関連株を5つ紹介します。(株価とその推移は日本株が10月15日時点、米国株は10月14日時点のものを引用しています。また、過去の値動きは、将来の株価動向を示すものではありません)。
アドバンテストは、生成AIやデータセンターの進化に不可欠な半導体テスト装置で世界トップクラスのシェアを誇る企業であり、先端半導体市場の成長を支える重要な役割を担っています。AI市場の急拡大に伴い、高性能半導体に対する需要は爆発的に増加しており、より複雑で高精度なテストソリューションが求められる中、アドバンテストの事業機会は大きく拡大しています。
2026年3月期第1四半期(2025年4月1日~2025年6月30日)の決算では、売上高が2,637億円(前年同期比+90.1%)、営業利益は1,239億円(同+295.7%)、四半期利益は901億円(同+277.7%)と、飛躍的な伸びを示しました。これはAI関連の高性能半導体向けテスタ需要が急拡大し、高収益製品の販売比率も上昇したことが主な要因です。
2026年3月期通期(2025年4月1日~2026年3月31日)では、売上高が8,350億円(前期比+7.1%)、営業利益は3,000億円(同+31.5%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,215億円(同+37.4%)と、大幅な増益を見込んでいます。
現在の株価は17,365円、予想PERは約57倍、PBRは約22倍と、利益面と資産面共にかなり割高感があります。これはAIという巨大な成長トレンドに対する投資家の強い期待が株価に織り込まれていると考えられ、世界経済の減速や在庫調整で受注が鈍化するようなことなどがあれば、期待先行の反動として、株価が大幅な調整局面に入る可能性もあるでしょう。
アドバンテストは短期的な半導体市況の波を受けつつも、AIの進化という不可逆的なメガトレンドを背景に、中長期的な成長が期待される企業です。半導体がより高性能・複雑化するほど、同社のテスト技術の重要性は増していきます。今後もAI関連の力強い需要を的確に取り込み、高い成長を継続できるかが注目されます。
村田製作所は、スマートフォンから自動車、産業機器に至るまで、電子機器に不可欠な電子部品を供給する世界的なリーディングカンパニーです。特に、主力製品である積層セラミックコンデンサ(MLCC)では世界トップシェアを誇り、その技術力と供給能力でエレクトロニクス産業の根幹を支えています。
同社は現在、中長期的な成長の柱として、AIに加え、自動車の電動化と自動運転領域への取り組みを強化中です。今後AIと自動車という二大成長市場での優位性を基盤に技術的リーダーシップを強化し、積極的な投資をすることで収益性と成長性の両立が期待されます。
2026年3月期第1四半期(2025年4月1日~2025年6月30日)の決算では、売上収益が4,161億円(前年同期比-1.3%)となりました。コンデンサがサーバー向けで増加した一方、高周波モジュールや樹脂多層基板がスマートフォン向けで減少したことが主な要因となっています。
営業利益は616億円(同-7.2%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は497億円(同-25.1%)となりました。こちらは円高の進行や製品価格の値下がりが主な要因となっています。
2026年3月期通期(2025年4月1日~2026年3月31日)では、売上収益が1兆6,400億円(前期比-5.9%)、営業利益は2,200億円(同-21.3%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,770億円(-24.3%)を見込んでいます。
今期と通期予想が前年同期比で減収減益となり、業績がこのまま悪化してしまうのではないかと心配する投資家も多そうです。しかし、PCやスマートフォン向けの需要には底打ち感が見られ、AI・データセンター市場の爆発的な拡大や自動車の電動化・自動化は、中長期的に同社の追い風になるはずです。
現在の株価は2,805円、予想PERは約29倍、PBRは約2.0倍と、グローバルな競争力を持つハイテクメーカーとしてはそこまで高くはない水準です。
村田製作所は短期的なエレクトロニクス市場のサイクル変動に対応しつつ、AI・データセンターの増加や、自動車のEV化・自動運転化という構造的な変化を着実に取り込んでいます。必要な電子部品の数は今後も著しく増加すると見られ、同社の事業機会も中長期的に拡大し続けることが期待されます。
東京エレクトロンは半導体製造装置で世界3位のシェアを誇り、日本のリーディングカンパニーの一つとして知られています。半導体製造の前工程と呼ばれる回路を形成するプロセスで中核となる、成膜やエッチングといった主要な装置群を手掛けています 。
現在のAIチップの製造プロセスは、従来よりもはるかに高度で複雑な技術が必要です。これにより、同社が提供する製造装置の重要性と、一台あたりの付加価値は飛躍的に高まっています。
一方で、半導体製造装置市場は顧客である半導体メーカーの設備投資動向に大きく左右されることには注意が必要です。また、東京エレクトロンは中国向け売上比率が依然として高い水準にあるため、同国の景気や政策の動向に大きな影響を受けやすい構造になっています。
2026年3月期第1四半期(2025年4月1日~6月30日)の決算では、売上高が5,495億円(前年同期比-1.0%)、営業利益は1,446億円(同-12.7%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,178億円(同-6.6%)と、減収減益での着地となりました。生成AI関連の需要は引き続き力強く伸長したものの、これまで好調だった中国での設備投資が一服したことや、将来の成長に向けた研究開発費の増加が利益を押し下げる要因となりました。
2026年3月期通期(2025年4月1日~2026年3月31日)では、売上高が2兆3,500億円(前期比-3.4%)、営業利益は5,700億円(-18.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,440億円(同-18.4%)を見込んでいます。半導体メーカーによる設備投資計画の調整が見られることを踏まえ、大幅な下方修正となっています。
現在の株価は29,070円、予想PERは約30倍、PBRは約7.4倍と、世界的な半導体関連企業としては高くない水準だと言えるでしょう。
東京エレクトロンは短期的な業績の踊り場にありますが、AI革命という構造的なメガトレンドの中心に位置するキープレイヤーであることに変わりはありません。今後の半導体メーカーの設備投資計画、特に先端プロセスへの投資動向が、同社の株価を占う上で重要な鍵となるでしょう。
NVIDIAは、AI革命を牽引する世界的な半導体メーカーです。AIのトレーニングや推論に用いられるGPU(画像処理半導体)で、約8割という圧倒的なシェアを誇っています。
NVIDIAの強みは単に高性能なハードウェアを提供するだけでなく、それを動かすためのソフトウェアプラットフォーム「CUDA」を一体で提供し、開発者を強力に囲い込むエコシステムを構築している点にあります 。このハードとソフトの両輪による戦略が、競合他社に対する高い参入障壁となり、AIコンピューティングにおける支配的な地位を確立できているのです。
現在、中期的な成長のカタリストとして市場の期待を集めているのが、次世代アーキテクチャ「Blackwell」です 。Blackwellアーキテクチャは前世代の「Hopper」と比較して性能とエネルギー効率を飛躍的に向上させており、AmazonやGoogle、Meta、Microsoftといった世界の主要テクノロジー企業がこぞって採用を表明しています。
一方で、投資におけるリスク要因も無視できません。米中間の地政学リスクは依然として大きく、輸出規制の動向は事業の不確実性要因です。また、急成長する市場を背景に、一部では「AI関連企業への投資が過熱し、バブル様相を呈している」との指摘もあります。
2025年5~7月期の決算では、売上高が約467億ドル(前年同期比+55.6%)、純利益は約264億ドル(同+59.1%)と、大幅な増収増益を続けています。AI向け半導体の需要が好調で、売上高と純利益ともに四半期として過去最高となりました。
現在の株価は180.03ドル、調整後PERは約51倍、PBRは約43倍と、非常に割高感があります。これは高い成長期待を織り込んだ水準だと言えます。
NVIDIAはAIという巨大な構造変化の波に乗り、驚異的な成長を続けている企業です。地政学リスクや高いバリュエーションといった課題はありますが、AI時代のコンピューティングプラットフォームを支配する同社の競争優位性は揺るぎなく、中長期的な成長ポテンシャルは引き続き大きいと考えられます。
Advanced Micro Devicesは、AI革命の中核を担う世界的な半導体メーカーの一つです。同社はデータセンターやPC向けに高性能なCPU(EPYC、Ryzen)とGPU(Instinct)の両方を提供しており、特にAI分野ではNVIDIAの強力な対抗馬として市場の注目を集めています。
中期的な成長の鍵を握るのはAI向け半導体事業の拡大です。今年10月にはOpenAIとの戦略的パートナーシップを発表し、OpenAIの次世代AIインフラ向けに、Instinct GPUを合計6ギガワット規模で供給する予定であるとしました。このニュースは市場に大きなインパクトを与え、提携発表後に株価は急騰し、多くのアナリストが目標株価を引き上げる要因となりました。
一方で、投資におけるリスク要因も存在します。最大の課題はNVIDIAが支配するAI向けGPU市場での熾烈な競争です 。OpenAIはNVIDIAとも、より大規模な10ギガワット規模のAIインフラ導入で合意しています。
また、米中間の地政学リスクに伴う輸出規制は、依然として事業環境の不透明要因となっています。さらに、AIブームを背景に株価は高い成長期待を織り込んでおり、市場の期待に応えられない場合は株価が大きく変動する可能性もあります 。
2025年4~6月期の決算では、売上高が約76億ドル(前年同期比+31.7%)、純利益は約8億7000万ドル(同+229.0%)と、非常に力強い成長を記録しました。AIとコンピューティング需要がこれを牽引し、過去最高の四半期売上を達成しています。
現在の株価は218.09ドル、調整後PERは約135倍、PBRは約6.4倍と、非常に高い成長期待を反映した水準です。
Advanced Micro Devicesは、AIという巨大な市場でNVIDIAに挑むチャレンジャーとして、OpenAIとの提携をテコに着実にその地位を固めています。競争の激化や地政学リスクといった課題はありますが、CPUとGPUを両輪で提供できる独自の強みを生かし、AI市場の成長を取り込むことで、中長期的な株価上昇のポテンシャルは大きいでしょう。
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