日進月歩で開発が進むドローン技術は、民間・軍事共に多くの用途があります。この記事では、注目のドローン関連銘柄5選をご紹介します。いずれも、成長性や発展性などを総合的に考慮して選出しています。
ドローン株とは、ドローン(無人航空機)の開発や製造、関連サービスを提供している企業の株式のことです。私たちの生活をより便利で豊かにしてくれる可能性を秘めているため、将来の成長が期待される、今注目の投資テーマの一つです。
では、なぜ今ドローン株がこれほど注目を集めているのでしょうか。その理由は、ドローンの活躍の場が大きく広がっているからです。
以前は「空撮」や「趣味」のイメージが強かったドローンですが、今では、以下のように様々な分野で実用化が進んでいます。
このように社会の課題を解決する力を持っているため、関連する企業のビジネスはこれから大きな成長が見込まれると期待されているのです。また、「ドローン株」と一言でいっても、実は様々なタイプの企業があります。
このように、多くの企業がドローンという一つの技術に関わっています。ドローン株への投資を検討する際は、単にドローンの製造だけでなく、関連サービスや技術開発を行う企業にも目を向けてみるとよいでしょう。
ドローン技術は日々進化しており、投資機会も変化していきます。長期的な視点で業界の成長とともに歩んでいくという姿勢が、ドローン株投資では特に重要になりそうです。
ドローン市場は、私たちの想像を超えるスピードで世界的に拡大しています。すでに様々な産業の基盤となりつつあり、まさに未来の成長産業の代表格とも言えるほどです。
なぜ、これほどまでに市場が発展しているのでしょうか。その背景には、大きく分けて3つの理由があります。
特に、物流や農業、インフラ点検、防災などの分野で、ドローンは活躍の機会が大幅に増加しています。
ドローン市場は技術の進化やルールの整備、そして社会からの強いニーズを追い風に、力強い成長を続けています。これは一時的なブームではなく、今後の私たちの社会を支える重要な変化の第一歩となるでしょう。
ここでは、初心者向けの注目銘柄を5つ紹介します(価格と株価推移は2025年9月1日時点の引用です。過去の値動きは、将来の株価動向を示すものではありません)。
ニデックは日本を代表する世界的なモーターメーカーで、精密小型モーターから産業用・車載用まで幅広い分野に製品を供給しています 。ドローン向け技術にも積極的に取り組んでおり、2025年4月には、業界トップクラスの小型軽量化を実現したドローン用ESC(電動速度制御装置)を開発しました。エッジAIによる異常検知機能も搭載し、2026年1月の製品化を予定しています 。
グローバル事業も強化しており、2025年6月にはインド南部カルナータカ州に産業用モーター工場を開設しました。年内には生産開始の見込みで、インド市場への供給体制を強化しています 。さらに、ラジャスタン州では既存工場の新棟の建設を進めており、2026年9月の稼働を目指しています 。
2025年3月期(2024年4月1日~2025年3月31日)の決算では、売上高が2兆6,070億円(前期比+11.1%)、営業利益は2,402億円(同+48.4%)、当期利益は1,676億円(同+34.7%)となり、いずれも過去最高を更新しました。さらに、新分野となるAIデータセンター向け製品や車載事業の収益性改善が寄与し、2026年3月期通期(2025年4月1日~2026年3月31日)では、売上高が2兆6,000億円(前期比-0.3%)、営業利益は2,600億円(同+8.2%)、当期利益は2,000億円(同+19.3%)が予想されています。
ただし、子会社の原産地表示違反と関税問題の調査が終わらず、2026年3月期第1四半期決算の発表が遅れており、今後のスケジュールと発表内容には注意が必要です。
現在の株価は3,170円、予想PERが約18倍、PBRが2.1倍となっており、割安感はありません。しかし、ニデックやドローン市場自体の成長性を考慮すれば、これには一定の妥当性がありそうです。
ニデックは堅実な業績とグローバルな製造基盤の拡充を背景に、モーター技術を軸に多彩な成長戦略を展開中です。特にドローン分野では、精密・安全性の高い日本品質を前面に打ち出す動きに関心が高まっています。
今後は新規分野の収益化と製品化のスピードが、注目ポイントになりそうです。
KDDIは日本を代表する通信キャリアで、モバイルの「au」や固定回線の「auひかり」、さらには金融、エネルギー、ドローンまで手掛ける総合デジタル企業です。ドローン関連では、KDDIグループの「KDDI Smart Drone」が核となっています。
2025年には農業部門でJA全農と提携し、ドローンの自律飛行による害虫防除サービスの実用化へ向け、2027年3月までに商用化を目指した試験を進めるという合意を締結しました。さらに、スマート農業の効率化や、通信インフラと衛星通信を活用した遠隔運航支援の仕組みづくりも進行中です。
また、石川県の豪雨災害時には、KDDIが中国の有名企業である「DJI」のドローンを使い、遮断された道路を迂回してリンゴ400kgを20回に分けて輸送するという災害支援の事例も報告されています。
建設現場向けでは、KDDIと清水建設による共同検証が注目されました。北海道新幹線のトンネル工事現場で、ドローンや四足ロボットを活用して3D点群データをリアルタイム送信する技術を実現し、従来数時間かかっていた情報送信が10秒以下に短縮されるなど、デジタル化での現場効率向上に寄与しています。
2026年3月期第1四半期決算は、売上高が1兆4,363億円(前年同期比+3.4%)と成長を続ける一方、営業利益は2,725億円(同-1.6%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,711億円(同-3.3%)となりました。
通信事業を基盤に、金融やエネルギー事業などの成長分野が売上を牽引していますが、一過性のものを含む販促費の影響などが利益を圧迫しました。2026年3月期(2025年4月1日~2026年3月31日)通期では、売上高が6兆3,300億円(前期比+7.0%)、営業利益は1兆1,780億円(同+5.3%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は7,480億円(同+9.1%)を見込んでいます。
現在の株価は2,583円、予想PERは約14倍、PBRは約2.0倍と、利益面から見ると若干ですが割安感があります。さらに、3.1%という高い配当利回りも魅力です。
KDDIは通信事業の収益基盤を保ちながら、金融、エネルギー、ドローンといった新規の収益源を積極的に伸ばす成長戦略を進行中です。ドローン分野では社会的な課題の解決を目指す先進的な取り組みを多数展開しており、実用化に近づいているプロジェクトも増えています。
今後は、これらの取り組みによる収益化や実用化の進展が、成長の鍵を握ることになるでしょう。
日本航空(JAL)は日本を代表する航空会社であり、エアモビリティ事業の一環として、ドローンを活用したビジネスにも力を入れています。経済産業省から「DX注目企業2025」に選出されるなど、既存の業務に加え、空のモビリティ領域にも積極的に進出し、新たなビジネスモデルの構築を目指しています。
例えば、能登地方の被災状況評価支援や離島での医薬品の配送、さらには複数の拠点から一人の遠隔操作で複数のドローンを同時操縦するなど、効率と安全性向上を検証してきました。医療物流との結びつきも強く、離島への医薬品配送を行う新会社を設立するなど、社会的な課題への対応力を高める戦略も目立ちます。
2026年3月期第1四半期(2025年4月1日~2025年6月30日)の売上収益は4,710億円(前年同期比+11.1%)、財務・法人所得税前利益(EBIT)は455億円(同+105.7%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は270億円(同+93.7%)と、大幅な増益となりました。国際線の好調なインバウンド需要や日本発のビジネス需要の回復、国内線の旅客数増加などが寄与し、過去最高益となっています。
現在の株価は3,131円、予想PERは12倍、PBRは1.4倍と、利益面から見ると割安感があります。約2.9%という高い配当利回りも魅力です。
日本航空は堅調な業績回復と共に、機材の近代化による競争力強化とDX推進による新規収益獲得を両輪に据えた戦略を推進しています。ただし、収益性の改善が続く一方で、燃料費や為替の影響、コスト管理の難しさなども課題として横たわります。
今後は、機材更新効果の収益反映や新規ビジネスの収益化スピードに注目が集まりそうです。
クボタは農業機械や環境インフラなどを中心とした事業を展開する企業であり、近年ではドローン技術を活用した「スマート農業」の推進にも注力しています。特に、農薬散布や作物の生育管理におけるドローンの導入が進んでおり、効率化と安全性の向上が期待されています。
農業用ドローンを活用した農薬散布の効率化では、従来の手作業による農薬散布と比較して、作業時間の大幅な短縮や、熱中症などのリスクの低減が期待されています。さらに、ドローンを用いることで足元を視認しにくい場所での作業が不要となり、安全な場所から遠隔で作業することが可能です 。
2025年12月期第2四半期(2025年1月1日~2025年6月30日)の決算では、売上高が1兆4,549億円(前年同期比-7.9%)、営業利益は1,430億円(同-31.0%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は924億円(同-38.7%)となりました。機械部門での北米を中心とした減販損や、為替差損の増加などが、利益を大きく圧迫しています。
2025年12月期通期(2025年1月1日~2025年12月31日)では、売上高が2兆8,800億円(前年同期比-4.5%)、営業利益は2,200億円(同-30.3%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,420億円(同-38.4%)となっています。これは、主に機械部門での販売減少を織り込んだ結果です。現在の株価は1,732.5円、予想PERは約14倍、PBRは0.8倍と、利益面と資産面共にやや割安感があります。
クボタはドローン技術を活用した農業の効率化と安全性の向上を目指し、国内外の企業との連携を強化しています。今後もスマート農業の推進において重要な役割を果たす企業として、業績の改善とさらなる成長が期待できるでしょう。
ノースロップ・グラマンは航空宇宙および防衛分野で世界最大級の企業であり、ドローン開発においてもグローバルリーダーの一角を担っています。米国をはじめ25以上の国・地域に550拠点以上を展開しており、政府との関係が収益の大半を支えています。
米国およびオーストラリアの空軍向けに開発された海洋監視ドローン「MQ‑4C Triton」は、高高度・長時間飛行が可能で、50,000フィート以上の高度から広範囲を監視しつつ、P‑8哨戒機と連携して潜水艦などの海上ターゲットを監視できる高性能なものです。2024年時点で48機が生産され、オーストラリアにも配備が進んでいます。ノルウェーが同機に関心を示すなど、今後も世界規模での展開が進みそうです。
また、米海軍向けに開発された「Manta Ray」は、海底で長期間運用可能な魚型の大型水中ドローンであり、機雷探知や海底情報収集など、危険海域での無人オペレーションで活用が期待されています。
2025年第2四半期(2025年4月1日~6月30日)の決算では、売上高が103億ドル(前年同期比+1.3%)、営業利益は14億ドル(同+30.7%)、純利益は11億ドル(同+24.9%)となり、増収・増益を達成しました。現在の株価は587.90ドル、実績PERは約20倍、PBRは5.59倍と、やや割高感があります。しかし、トランプ政権が国防費の拡大を決め、史上初めて1兆ドルの大台に乗る見通しであることを踏まえると、この評価は市場の期待を反映していると考えられます。
ノースロップ・グラマンは航空宇宙および防衛分野だけでなく、ドローン関連技術の幅広さと先進性でも群を抜いています。今後はこれらの技術の実戦配備や商業化の進捗と、ドローン技術の防衛以外の領域への展開がポイントになりそうです。
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