トランプ関税で株式市場が大荒れ。2025年相場の影響と注目銘柄・セクターを初心者にもわかりやすく解説。リスク対策や狙い目銘柄も紹介。
2025年4月、トランプ米大統領が再導入した「相互関税」は、世界の金融市場に大きな動揺をもたらしました。日本株や米国株は激しく上下し、為替や特定セクターにも影響が広がっています。本記事では、この関税が株式市場に与える影響をわかりやすく整理し、今後の注目銘柄やリスクへの備えについて、初心者にもやさしく解説します。
関税とは、外国から輸入される製品に対して政府が課す税金のことです。目的は、自国産業の保護や、貿易赤字の是正などにあります。
2025年4月、トランプ大統領は「すべての貿易相手国に一律10%の相互関税を課す」と発表しました1。さらに、日本や中国など対米貿易黒字が大きい国には、追加で最大25%の上乗せ関税も課す方針を示し2、市場は一気に緊張感を強めました。
関税が導入されると、輸入コストが増加し、企業の利益が圧迫される可能性が出てきます。投資家はこれを嫌気し、株式市場はリスク回避モードに移行しやすくなります。
実際に、2018年の米中貿易摩擦の際も、トランプ前政権の関税政策によって株価が大きく変動しました。今回も同様に、市場は大きなボラティリティに直面しています。
4月2日の関税発表以降、日本市場では日経平均が1週間を通じて1,000円を超える変動を毎日記録。7日には2,644円安と大幅に下落し、10日には2,894円の上昇と、過去最大級の乱高下となりました3。スマートフォンやパソコンが関税対象から除外された14日には、日経平均が一時700円以上上昇し、3万4,000円台を回復しました4。
米国市場でも動きは激しく、4月9日にS&P500が9.52%、ナスダック100が12%上昇5。これは2008年のリーマンショック以降で最大の上昇率です。
しかし翌10日、中国に対する関税が145%に引き上げられる方針が発表されると、S&P500は3.6%、ナスダックは4.3%下落。12日にはアップルやアマゾンなど主力株も7~14%下げるなど、反動も大きくなっています6。
加えて、トランプ政権の発言が日々変化することも、市場の不安定さを強めています。たとえば「スマホやパソコンは関税対象外」と発表した直後に、米商務長官が「半導体関税の対象にする予定」と述べるなど、方針変更が相次ぎました。
このような発信の揺れは、投資家の不信感を招き、ボラティリティの高まりに拍車をかけています。
為替市場も大きく反応しており、ドル円は一時142円台まで円高が進みました7。背景には、米国景気の先行き不透明感や、今後予定されている半導体関税などへの警戒感があります。さらに、「日米間で為替についての協議が行われるのでは」という見方も、円買いを促す一因になっているようです。
相場が大きく動く局面では、「守りの姿勢」がとても重要になります。以下のようなリスク管理の基本を押さえておくことで、予期せぬ損失を減らすことができます。
リスク管理についての詳細は、IG証券のリスク管理に関するページ、分散投資のヒント(英語)、オルタナティブ投資についての記事(英語)をご覧ください。
世界的な貿易摩擦が長期化すると、エネルギーや原材料の価格にも波及する可能性があります。特に原油価格は、供給網の混乱や地政学リスク、米中の消費動向などに大きく左右されます。
その中で、エネルギー関連株は「景気後退に強いディフェンシブ資産」としての性格も持ち合わせており、短期的なリスク回避やインフレヘッジの手段として注目されています。
たとえば、エクソンモービル(XOM)は配当利回りが高く、世界的なエネルギー大手としての安定感が評価されています。リセッション懸念が広がる局面では、「守りの資産」として資金が流入しやすい傾向があります。
野村総合研究所(4307)は、国内ITサービス大手です。金融機関や官公庁を中心とした安定した需要があり、関税の影響を受けにくい内需銘柄として注目されています。クラウド・DX投資が加速する中で、堅調な成長が期待されます。
ベイカレント・コンサルティング(6532)は、IT・DX領域に特化したコンサルティング企業です。配当性向の引き上げや30億円の自社株買いを発表し、株主還元強化が材料視されています。不安定な地合いでも評価されやすい、利益成長力と安定感が魅力です。
エクソンモービル(XOM)は、世界最大級の総合エネルギー企業です。原油価格がインフレや地政学リスクで上昇しやすい局面では、資源株としてディフェンシブな役割を果たす存在です。景気後退局面でも底堅い業績が期待され、株式ポートフォリオの安定化に貢献します。
トヨタ自動車(7203)は、日系自動車の象徴的企業です。アメリカ市場への依存度が高く、トランプ関税の交渉次第で株価が大きく動く可能性があります。短期的なボラティリティはあるものの、世界的なブランド力と電動化の取り組みから、中長期的には押し目が狙いどころと考えられます。
エヌビディア(NVDA)は、AI・半導体分野の中核企業です。トランプ政権の関税方針により、4月15日に株価が一時約6%下落8しましたが、それでも長期的な成長期待は変わっていません。データセンターや自動運転など複数の成長領域を持つため、市場全体の調整局面では中長期保有前提の押し目狙い銘柄として注目です。
2025年のトランプ関税は、マーケットに大きな混乱をもたらしました。しかしその一方で、資金が集中するセクターや銘柄もあり、戦略次第ではチャンスもあります。
このような局面では、「いま何が起きているか」を把握し、「どこに備えるべきか」を明確にすることが大切です。短期トレーダーにとっても、中長期投資家にとっても、冷静さと柔軟さが成功への鍵となります。
まずは注目セクターから小さくポジションを取ってみるのも、一つの選択肢かもしれません。
※詳しくは、株式CFDについてのページをご覧ください。または、コールセンターまでお問い合わせください。