ヘルスケア、人工知能(AI)、クリーンエネルギーセクターにおける変革が投資家の注目を集めています。成長戦略が明確な、注目すべき成長株5選をご紹介します。いずれも、成長への期待性や企業の将来性などを総合的に考慮して選出しています。
グロース株(成長株)とは、売上や利益が大きく成長することが期待されている企業の株式のことです。足元の割安さよりも「これからどれだけ成長できるか」に注目が集まるため、指標上は割高に見えやすい一方、成長が続けば大きなリターンを狙えるのが特徴です。
代表的なグロース株の例としては、日本の良品計画やアドバンテスト、任天堂、タイミー、米国のNVIDIAやMicrosoft、Alphabet(Google)などが挙げられます。
グロース株投資のメリットは、なんといっても短期間で大きなリターンが期待できる点です。一方で、景気後退時に大きく下落するリスクがあることや、期待値が高いため株価の変動が激しい傾向があることはデメリットです。
投資初心者の方は、ご自身のリスク許容度と投資目標に合わせて、グロース株の割合を検討されることをおすすめします。また、一つの銘柄に集中するのではなく、複数の成長株や、バリュー株(割安株)との組み合わせで分散投資することで、リスクを抑えながら成長の機会を捉えることを狙うとよいでしょう。
グロース株は短期取引だけでなく、中長期の資産形成としても有望です。共通の見極め基準を押さえ、自身のスタイルに合わせて活用しましょう。
持続的な売上・利益成長は企業価値を押し上げ、時間を味方にできれば、複利でリターンを積み上げることも可能です。ただし、ITやテクノロジー、新しいビジネスモデルの企業は市場拡大の追い風を受けやすい一方、景気後退やバブル崩壊時の下落も大きい傾向があるため、厳格な基準とリスク管理が不可欠です。
では、将来性豊かなグロース株をどう見極めればよいのでしょうか。主な注目すべきポイントは以下の通りです。
グロース株は成長への期待が大きい分、株価の変動が大きくリスクも伴います。期待通りに成長しなかった場合は、株価が大きく下がる可能性も考慮しなければなりません。
しかし、損切りルールの設定などのリスク管理を徹底しつつ、企業の将来性を信じて長期的な視点で向き合うことで、短期的な値動きに一喜一憂することなく、大きな資中産形成を目指せます。
このようにグロース株は、短期的な利益を追求するだけでなく、未来を創る企業を応援し、その成長とともに自分の資産を育てるという、すべての投資家にとって価値のある選択肢の一つなのです。
ここでは、2025年第4四半期に注目のグロース株を5つご紹介します。価格と株価推移は2025年11月13日時点の引用です。また、過去の値動きは将来の株価動向を示すものではありません。
ソフトバンクグループは「ASI(人工超知能)」の実現という壮大なビジョンに向け、AI投資とその事業化を両輪で加速させており、極めて高い成長性が期待される企業です。特に、中核的な投資先であるOpenAIの企業価値向上と、AIを現実世界で稼働させる「フィジカルAI」戦略の具現化が大きな注目を集めています。
2025年11月には、OpenAIとの合弁会社「SB OAI Japan合同会社」が発足し、企業向けAIソリューション「クリスタル・インテリジェンス」の展開が発表されました。同じく11月に、保有していたNVIDIA株をすべて売却したことが判明し、市場を驚かせましたが、これはOpenAIやロボティクス事業といった次のAI投資へと資金をシフトさせるための、積極的なポートフォリオの入れ替えと解釈できるでしょう。
2026年3月期第2四半期(2025年4月1日~2025年9月30日)の決算では、売上高が約3兆7,368億円(前年同期比+7.7%)、親会社の所有者に帰属する純利益は約2兆9,241億円(同+190.9%)と、驚異的な増益を達成しました。
投資損益が約3兆9,267億円(前年同期比+48.1%)と大幅に増加しましたが、これは主にOpenAIへの出資に係る投資利益2兆1,567億円を計上したことが理由です。
2026年3月期通期の予想については、未確定な要素が多く、連結業績を見通すことが困難なため、公表を控えるとしています。現在の株価は21,170円、予想PERは通期予想を公表していないため算出不能で、PBRは約2.1倍と、資産面から見ると割高傾向がうかがえます。株価には、市場からの成長期待がすでに一定程度織り込まれていると見られます。
ソフトバンクグループは、OpenAIとの事業連携とフィジカルAIという新たな成長エンジンを本格稼働させており、ASIの実現に向けた中長期的な成長が大いに期待されます。
任天堂は、2025年6月に発売した新型ゲーム機「Nintendo Switch 2」が爆発的にヒットし、再び強力な成長サイクルに入っている世界的ブランドです。Nintendo Switch 2は発売からわずか約4ヶ月で世界累計販売台数が1,000万台を突破しており、ハードウェアの普及がソフトウェアの販売も押し上げる好循環を生み出しています。
また、任天堂はハードウェアのサイクルに依存しない安定成長の柱として、「任天堂IP(知的財産)に触れる人口の拡大」を基本戦略に掲げています。映画や遊園地など、ゲーム以外の分野でも多様な接点を通じ、顧客とのエンゲージメントを構築・深化させようとしているのです。
2026年3月期第2四半期(2025年4月1日~2025年9月30日)の決算では、売上高が約1兆996億円(前年同期比+110.1%)、営業利益は約1,452億円(同+19.5%)、親会社株主に帰属する中間純利益は約1,989億円(同+83.1%)と、圧倒的な増収・増益を達成しました。
Nintendo Switch 2の好調な立ち上がりが業績を牽引し、ハードウェアの販売台数が1,036万台、ソフトウェアの販売本数は2,062万本を記録しました。営業利益の伸び率が売上高や純利益に比べて低いのは、新型機の発売に伴う広告宣伝費や、研究開発費を積極的に投下しているためであり、これは将来のさらなる成長に向けた戦略的な投資だと言えるでしょう。
2026年3月期通期は上方修正され、売上高が2兆2,500億円(前期比+93.1%)、営業利益は3,700億円(同+30.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,500億円(同+25.5%)を見込んでいます。
現在の株価は13,665円、予想PERは約45倍、PBRは約5.7倍と、利益面・資産面共に割高感は否めません。これはNintendo Switch 2という強力なプラットフォームと、グローバルに展開するIP戦略の両輪によって、中長期的な成長期待が市場で高まっていることを反映したものです。
今後は、Switch 2の販売台数が継続的に伸びるか、そしてゲーム以外の分野でのIP展開がどれだけ収益に結びつくかが焦点となるでしょう。ハードとソフト、そしてIP戦略の三位一体で、任天堂がこの高い期待に応え続けられるかに注目が集まります。
東京エレクトロンは、生成AIの急伸により半導体設備投資が拡大する中、その恩恵を最も受ける企業の一つであり、グロース株としての評価を確固たるものにしています。2025年10月の決算会見では、河合CEOが「まさにAI時代の到来だ」と強調し、AIサーバー関連で「かなり強い引き合いがある」と言及するなど、AIブームが同社の成長を強力に牽引していることを示しました。
2026年3月期第2四半期(2025年4月1日~2025年9月30日)の決算では、売上高が約1兆1,797億円(前年同期比+5.2%)と増収になった一方、営業利益は約3,032億円(同-3.4%)、親会社株主に帰属する中間純利益は約2,416億円(同-0.9%)に減少しました。中国での成熟世代向け設備投資が一服する中、生成AI関連の需要が伸長しましたが、研究開発費の増加などが利益を圧迫しています。
2026年3月期通期は上方修正され、売上高2兆3,800億円(前期比-2.1%)、営業利益は5,860億円(同-16.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益4,880億円(同-10.3%)を見込んでいます。半導体製造装置市場の中長期的な成長が期待される一方、前期比では減収・減益となる見通しです。
現在の株価は33,910円、予想PERは約32倍、PBRは約7.8倍と、かなり割高感のある水準となっています。しかし、半導体製造装置市場が継続して伸び続けると考えれば、ある程度の合理性はありそうです。
東京エレクトロンは、AI関連の最重要分野で高い技術力と市場シェアを背景に、中長期的に高い成長が期待されます。AIインフラ投資が続く限り、同社は日本を代表するグロース株として市場を牽引し続けるでしょう。
ファーストリテイリングは、主力の「ユニクロ」事業における海外展開の力強い成長と、国内事業の収益性向上により、グローバルなアパレル企業として確固たる地位を築き、グロース株として高い評価を維持しています。
この持続的な高成長の最大の牽引役は、海外ユニクロ事業です。特に韓国、東南アジア・インド・豪州地区、北米、欧州で大幅な増収・増益を達成しており、これは世界中で「LifeWear」というコンセプトが浸透し、ブランド価値が向上していることを示しています。国内ユニクロ事業も売上収益が初めて1兆円を突破するなど、国内市場での圧倒的な強さも健在です。
2025年8月期(2024年9月1日~2025年8月31日)の決算では、売上収益が約3兆4,005億円(前期比+9.6%)、営業利益は5,643億円(同+12.6%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は約4,330億円(同+16.4%)と、増収・増益を達成しました。「LifeWear(究極の普段着)」への支持が世界中で高まり、4期連続で過去最高業績を更新しています。
2026年8月期通期では、売上収益が3兆7,500億円(前期比+10.3%)、営業利益は6,100億円(同+8.1%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は4,350億円(同+0.5%増)と、引き続き過去最高業績の更新を見込んでいます。
現在の株価は57,020円、予想PERは約40倍、PBRは約7.7倍と、利益面と資産面の両面でかなり割高な印象です。とはいえ、4期連続で過去最高業績を更新し、次期も更新が見込まれていることを考えれば、これには一定の妥当性があると言えそうです。
ファーストリテイリングはグローバルでの積極的な店舗展開とブランド構築を背景に高い成長を続けており、今後も日本を代表するグロース株として市場をリードしていくことが期待されます。
Microsoftは、生成AI分野における圧倒的な先行投資と、中核事業であるクラウドサービスの加速により、依然として世界的なグロース株の一つとして市場をリードしています。サティア・ナデラCEOは決算発表の場で、AIプラットフォームとCopilotファミリーへの需要増加に言及し、Copilotの採用数は四半期比で50%も増加しているとしました。
また、OpenAIとの強固なパートナーシップにより、OpenAIがサードパーティと開発するAI製品についても、原則としてAzure経由で独占的に提供されることが発表されており、プラットフォーマーとしての地位を盤石なものにしています。
2025年6月~9月期の売上高は約777億ドル(前年同月比+18.4%)、純利益は約277億ドル(同+12.5%)と、増収・増益を達成しました。Azureを中核とするクラウド事業が圧倒的な強さを見せ、Microsoft Cloud全体の売上高は491億ドル(同+26%)に達しました。
現在の株価は511.14ドル、実績PERは約36倍、PBRは約10.8倍と、明らかに割高感がうかがえます。しかし、これはAIとクラウドがもたらす持続的な高成長への強い期待を反映したものです。
このように、MicrosoftはAzureという盤石なクラウド基盤の上で、CopilotをはじめとするAIの収益化を本格的に進めており、他の追随を許さない成長軌道を描いています。巨額のインフラ投資は短期的なコスト増にはなるものの、将来の成長に向けた確固たる布石であり、グロース株としてのMicrosoftの魅力は今後もさらに高まっていくでしょう。
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