【2023年7月】取引を検討すべき日本のバリュー株(割安株)5選
世界的な金利上昇や、東京証券取引所が推進する資本増強計画により、バリュー株は好調に推移すると見込まれます。この記事では、7月に注目すべきバリュー株5銘柄をご紹介します。

バリュー投資とは、潜在的に割安な企業、いわゆる「バリュー株」を見極める投資戦略です。バリュー株に該当するかどうかを示す重要な指標が、株価収益率(PER)です。PERが低いということは、その企業が割安であること、あるいは過去の傾向と比較して非常に好調であることを示唆しています。
今日において最も有名なバリュー投資家は、ウォーレン・バフェット氏といえるでしょう。バリュー投資家は、市場が良い・悪いニュースに過剰に反応した結果、企業の長期的なファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)と一致しない株価の動きが生じると考えています。
企業の株価が割安になる理由はいくつかあります。例えば、市場全体の暴落や信用失墜によって投資家が株を売る場合が考えられます。また、各種ニュースが短期的に特定の企業の株価を左右することもあるでしょう。経済サイクルの自然な浮き沈みによる可能性もあります。他にも、単に変化や魅力の少ない企業や株式とみなされている場合もあります。定期的にニュースで取り上げられるような企業でないからといって、投資すべき堅実なビジネスや取引に適した株式でないというわけではありません。
日本はバリュー株の天国と呼ばれています。2023年6月、バフェット氏は日本の商社上位5社への出資額を増やしました。過去のデータを見ると、現在のようなインフレ期には、バリュー株がグロース株より好調に推移する傾向があります。金利は世界中で上昇しており、長年金融緩和政策をとってきた日本銀行でさえ、2022年12月に長期金利の引き上げを事実上容認するような政策の修正を加えました。
ブルームバーグは2月22日、東京証券取引所が割安な水準で取引されている企業に対し、今春から資本増強計画の提示を要請すると報じました。これを受け、シチズン時計や本田技研工業(ホンダ)など多くの企業が、多額の自社株取得計画を発表し、株価を押し上げました。つまり、現在は日本のバリュー株取引が、非常に注目されている時期だといえます。
ここでは、注目すべきバリュー株5銘柄をご紹介します。(株価やその他の数値は、2023年7月3日現在のものです)
- JFEホールディングス(5411)
- 三井物産(8031)
- IHI(7013)
- TDK(6762)
- 大林組(1802)
1. JFEホールディングス(5411)
世界22カ国に約109の拠点を持ち、64,000人以上の従業員を擁するJFEホールディングスは、鉄鋼生産を中心としたグローバル事業を展開しています。また、完全子会社として、JFEスチール、JFEエンジニアリングのほか、取引事業を手掛けるJFE商事などを有しています。さらに、国内生産拠点として、東日本と西日本にそれぞれ1カ所ずつ、大規模な総合製鉄所を所有しています。
6月20日に同社は、開発したグリーン鋼材の「JGreeX™」が、日本で建造されるドライバルク船(大型貨物船)の専用鋼材として採用されたことを発表しました。
同社の株式は高配当であるうえ、7月3日現在、年初来で34.1%上昇しています。また、同社は2022年第3四半期のPERを4.64としています。
2. 三井物産(8031)
2023年6月、ウォーレン・バフェット氏が会長兼CEOを務めるバークシャー・ハサウェイが日本の商社上位5社へ再び出資比率を高めたことで、2023年の日本の大手商社5社は大きく躍進しました。三井物産はバフェット氏が注目する日本の商社の一つです。
同社の事業は高度に多角化されており、金属資源、エネルギー、機械・インフラ、化学品、鉄鋼製品などを展開しています。
株価は6月22日に上場来高値5,928円をつけ、年初来で43.5%上昇しています。2022年12月期のPERは5.81でした。
3. IHI(7013)
総合重工業メーカーのIHI(旧石川島播磨重工業)は、多種多様な製品を製造しています。資源・エネルギー・環境部門では、加熱炉、冷却塔、鋼製煙突のほか、原子力発電用機器・装置を提供し、社会基盤部門では、橋梁、水門、シールド掘進機などの建設や不動産事業などを手がけています。また、産業システム・汎用機械部門では、圧縮機、農業機械、ファクトリーソリューションを提供しています。さらに、航空・宇宙・防衛部門では、航空エンジン、ロケットシステム、航空管制システムに携わっています。
株価は6月に大きく上昇し、年初来で5.4%上昇しています。2022年12月期の株価収益率PERは7.67でした。
4. TDK(6762)
世界全体で102,908人の従業員を誇るTDKは、受動部品、センサ応用製品、磁気応用製品、エナジー応用製品を製造する多国籍エレクトロニクスメーカーです。TDKは80年以上にわたり、録音に使用される磁性材料技術を開発してきました。エナジー用部門では、情報通信技術(ICT)に使用されるリチウムイオン電池を幅広く提供しています。
株価は4月下旬から大きく上昇し、年初来で32.6%上昇しています。2022年12月期のPERは11.89でした。
5. 大林組(1802)
大林組は日本および海外で建設・不動産業を展開しています。同社は1892年に設立され、現在16カ国に15,876人の従業員を擁し、2023年3月末時点で1兆9830億円の純売上高を計上しています。また、東京スカイツリー、エスコンフィールドHOKKAIDO、浅川ダムなど、多くの有名な建設プロジェクトを手掛けてきました。
株価は好調に推移しており、年初来で26%上昇しています。2022年12月期のPERは12.67でした。
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