外為市場で米ドル高が加速している。きっかけは、2月28日に米国とイスラエルがイランへの攻撃に踏み切ったことだった。
それ以降(3月2日以降)の対G10通貨(主要通貨)の動きを確認すると、6月26日時点で米ドルはすべての通貨に対して上昇しており、全面高の様相を呈している。
米ドルの動向:3月2日~6月26日
米ドル高の加速を象徴しているのが、トレンドを示すドル指数(DXY)だ。6月26日時点で3.8%高にある(上記チャートを参照)。
週足チャートでトレンドを確認すると、2025年前半に下落トレンドを形成した後、同年後半に96-97ゾーンで下げ止まり(チャート青矢印)、足元では節目の100-101ゾーン(チャート緑矢印)を完全に上抜けた。一時、2025年5月以来となる101.80レベルへ上昇する場面が見られた。13週線と52週線は、ゴールデンクロスに転じている。
ドル指数 週足チャート:2024年後半以降
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米ドル高が今週さらに加速するか?その最大のカタリストになり得るのが、7月2日の6月米雇用統計だ。7月3日が独立記念日振替で米国市場が休場となるため、通常より前倒しで発表される。
ブルームバーグがまとめた市場予想では、非農業部門雇用者数は+11.5万人(5月の+17.2万人から減速)、失業率は前月から横ばいの4.3%が見込まれている。平均時給は前年同月比+3.5%(5月の+3.4%から加速)が予想される。
米雇用統計 各項目の動向:過去1年間
米雇用統計が注目されるのは、米利上げ観測に大きな影響を与える可能性があるからだ。
6月17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を据え置いた一方、経済見通し(SEP)では2026年のコアPCEインフレ率(中央値)が3月時点の2.7%から3.3%へ、政策金利の見通し(中央値)も3.4%から3.8%へ上方にシフトし、利下げ観測が完全に後退した。
足元の翌日物金利スワップ(OIS)市場では、早ければ9月会合までの利上げを約7割程度織り込む状況が見られ、早期の利上げ観測すら浮上している。
インフレリスクが意識されるなか、雇用統計で労働市場の底堅さも確認されればこの観測が一段と強まり、外為市場では米ドル高の加速が予想される。
米政策金利の予想推移
米利上げ観測は、現在のドル円(USD/JPY)のドライバーとなっている。この点を示唆しているのが、以下のチャートだ。
6月FOMCを前に、OIS市場では年内の利上げを意識する動きが見られた。“タカ派”のFOMCを経て、金融政策の方向性に敏感な米2年債利回りは先週、2025年2月以来となる4.2%台へ上昇する場面が見られた。この動きに連動し、日米の2年債利回り格差も拡大傾向を鮮明にし、時間の経過とともに、ドル円はこの利回り格差との連動性を強めていることが分かる。
日米10年債利回り格差と乖離している点にも注目したい。10年債利回りは2年債利回りと異なり、金融政策よりもインフレや潜在成長率、リスク要因を反映して動く。その10年債利回り格差は足元で縮小傾向にあり、ドル円のトレンドとはむしろ逆方向にある。この点もまた、現在のドル円のドライバーがFRBの利上げ観測であることを示している。
ドル円と日米の利回り格差:2026年1月以降
今週、米ドル高が加速すれば、ドル円(USD/JPY)は2024年7月高値161.95円レベルを突破し、1986年12月以来、39年半ぶりに162円台へ上昇する展開を想定したい。
162.00円レベルがサポートに転換する場合は、1円幅で新たな上値の水準を見極めることになろう。まずは163.00円が次の上値ターゲットであり、この水準を今週の上限と予想する。
今週は雇用統計以外にも5月JOLTS求人件数(6/30)、6月ADP雇用統計(7/1)、6月ISM製造業景気指数(7/1)が発表される。雇用統計を含め市場予想を上回る内容が続けば、163.00円を上方ブレイクする可能性もある。この場合は、163.50円レベルのトライを想定したい。この水準はフィボナッチ・エクスパンション100%にあたる。
注目水準:レジスタンス
・163.50円:フィボナッチ・エクスパンション100%(163.48円)
・163.00円:上限予想
・162.00円:重要レジスタンスライン
・161.95円:2024年7月高値
ドル円(USD/JPY)が162円台へ上昇すれば、政府・日銀による為替介入への警戒感がより高まろう。これを背景とした突発的な円高が発生する場合は、節目の160.00円を下限と想定し、4時間足チャートにまとめたチャート水準の攻防に注目したい。
まずは、サポートゾーンの161.40-50円、次いでフィボナッチ・リトレースメント38.2%水準にあたる161.00円レベルの攻防に注目したい。
筆者が注視しているのが、160.70円レベルだ。4月30日の大陰線高値がサポートラインに転換すれば、地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。6月26日時点で21日線が160.60円レベルまで上昇し、かつ4時間足チャートの半値戻しにもあたる。テクニカル面でも160.70円レベルを重要サポート水準として意識したい。
米ドル安と調整の円高が同時に進行する局面では、160.00円を下方ブレイクする可能性がある。このケースでは、50日線(159.35円)の維持が焦点となろう。
なお、政府・日銀が為替介入に踏み切る場合は、その規模によるが4~5円程度の円高(ドル円の急落)を想定しておきたい。
注目水準:サポート
・161.40-50円:サポートゾーン
・161.00円:38.2%戻し
・160.70円:4月30日高値水準(160.72円)、半値戻し
・160.00円:下限予想
・159.35円:50日線
※移動平均線の水準:6月26日時点
ドル円 日足チャート:2026年1月以降
ドル円 4時間足チャート:6月以降
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