ドル円 見通し(3/13):160円が射程に、円安進行なら介入警戒で急反落も
IG証券のアナリストによるドル円の見通し。心理的節目の水準160円が射程に。円安進行なら為替介入への警戒感が高まろう。急反落を警戒したい。
要点
- イラン戦争以降、外為市場では「有事のドル買い」が進行している。ドル指数は今月に入り2.2%上昇。安全資産の金価格が軟調地合いにあることは米ドル需要の強さを示唆している。中東有事が続く限りドル高を想定したい
- 円安が再燃のムードにある。米ドル高が進行する状況で円安再燃となれば、ドル円(USD/JPY)は心理的節目の水準160.00の攻防が予想される
- 円安進行で160.00をトライ、突破の局面では、為替介入への警戒が高まろう。このケースでは急反落を警戒したい。目先の下値目途は158.00。介入絡みの材料で下落拡大となれば156.00(50日線・13週線)を視野に下落拡大も
金価格の動きが示す「有事のドル買い」の強さ
イラン戦争が勃発して以降、外為市場では「有事のドル買い」が続いている。米ドルの方向性を示すドル指数(DXY)は3月に入りすでに2.2%高にある。12日の市場では、3月3日の高値水準99.68を突破し、99.76まで上昇する場面が見られた(ブルームバーグのデータ)。
米ドルの動向:3月2日~12日
ブルームバーグの為替データを基に作成
有事のドル買いの強さを端的に示しているのが、金価格の動きだ。本来であれば、イラン戦争とその影響が中東全域に拡大する状況は、安全資産としての金(ゴールド)の需要拡大の要因だ。原油高によるインフレ懸念も踏まえれば、なおさら金が買われてもおかしくない。
しかし金価格は軟調だ。3月3日にドル買い加速で5000ドル割れの急落に直面した、その後の反発するも、半値戻し5200ドルはサポート転換に失敗。節目の5000ドルを視野に下落ムードにある。
有事のドル買いに加え、株式などの損失補填に伴う換金売りの見方もある。こういった観測が出る状況もまた、現在の米ドル買い需要の強さを示唆している。
金価格 1時間足チャート:3月以降
TradingView提供のチャート
円安再燃のムード
米ドル高の圧力が高まっているのとは対照的に、日本円には再び売り圧力が高まっている。
月初来の動向を確認すると、12日の市場では円の買い戻しが見られたものの、対G10通貨で円安再燃のムードが高まりつつある。豪ドルとカナダドルで円安が進行する状況は、資源を持つ国と持たざる日本の立場が通貨の強弱に反映されていることを示す動きだ。
日本円の動向 対G10通貨:3月2日~12日
ブルームバーグの為替データを基に作成
対米ドルでは2%下落している(12日時点)。通貨オプション市場では、ドル円(USD/JPY)の1週間リスクリバーサルはドルコールが視野に入る。予想変動率は11%台へ上昇している。短期的なドル円の上値トライを意識する動きにある。
さらなる円安の進行は、インフレリスクにつながる。このリスクが政治の問題として浮上することを避けたい高市政権にとって、神経質な局面に入っている。政府・日銀による為替介入が再び主要テーマに浮上する場合は、ドル円のボラティリティ拡大を警戒したい。
ドル円のリスクリバーサル:2025年以降
ブルームバーグのデータを基に作成
※予想変動率:年率換算
ドル円のチャート分析、160円射程も急反落を警戒
160円が射程に
本日もドル円(USD/JPY)が強気地合いを維持する場合、現在レジスタンスとして意識されている159.45レベル(1月14日高値)を突破し、心理的節目の水準160.00の攻防が視野に入ろう。
変動要因として注目したいのが、米国の1月PCE価格指数だ。2月消費者物価指数(CPI)はブルームバーグがまとめた市場予想と一致した。しかし、米債市場では長期金利(10年債利回り)が4.3%を視野に上昇している。中東の地政学リスクによるインフレを意識した動きだ。
米国10年債利回り 4時間足チャート:2026年以降
TradingView提供のチャート
米連邦準備制度理事会(FRB)が物価を測る指標として注視しているPCE価格指数がインフレの粘着性を示す場合は、米ドル高の加速を想定したい。ドル円が160.00を上方ブレイクし、かつこの水準がサポートラインへ転換すれば、次の節目水準161.00を視野に上昇拡大の可能性が高まろう。
米国 PCE価格指数の動向:2025年1月以降
ブルームバーグのデータを基に作成 / 赤の棒グラフとドット:1月の市場予想
注目のチャート水準:レジスタンスライン
・161.00:節目水準
・160.00:心理的節目の水準
・159.45:1月14日高値水準
為替介入への警戒、下落拡大も
1月PCE価格指数が米ドル安の要因となれば、ドル円(USD/JPY)は昨日の安値158.57レベルや158.00(10日線)の維持が焦点となろう。
警戒すべきは、政府・日銀による為替介入を材料とした円高だ。週足チャートで過去の160円の攻防を確認すると、2024年7月は政府・日銀による為替介入、2025年初頭は米ドル安の進行でドル円は下落した。また、今年1月23日の外為市場では、日銀のレートチェック観測と米ニューヨーク連銀のレートチェックを受け、159円台から155円台へ急反落した。現在は「円安再燃→政府・日銀による為替介入」を警戒する状況にある。
円安進行でドル円が160.00の攻防となれば、為替介入を材料とした円高が発生する可能性がある。単なる市場の警戒心、口先介入やレートチェック、そして実際の為替介入など材料によって下落幅が左右されるだろう。実際の為替介入以外では、156円までの反落を想定したい。156.00上には50日線と13週線が推移している。
一方、想定を超える下落で156.00を下方ブレイクする場合は、155.00を視野に下落拡大を警戒したい。この水準は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる(日足チャート参照)。
注目のチャート水準:サポート
・158.57:3月12日安値水準
・158.03:10日線
・156.55:13週線
・156.30:50日線
・156.00:サポートライン
・155.00:61.8%戻し(日足チャート)
ドル円 日足チャート:2026年以降
TradingView提供のチャート
ドル円 週足チャート:2024年以降
TradingView提供のチャート
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