金価格 見通し(4/7):原油高止まり、米イラン停戦錯綜、4400-4800ドルの攻防注視
IG証券のアナリストによる金価格の見通し。米イラン停戦で情報と思惑が錯綜。目先は4400ドル-4800ドルの攻防を注視。レンジのブレイクは変動拡大のサインに。注目のチャート水準について。
要点
- 金価格は、米国とイスラエルのイラン攻撃開始以降、原油価格が上昇する局面で下落するトレンドが続いている。停戦協議を巡る情報と思惑が錯綜する中、原油高に伴う下値トライを警戒する状況が続いている
- 目先はトランプ米大統領が明示した交渉期限(日本時間8日午前9時)までの動向が焦点に。情勢次第で金価格の変動拡大を警戒。11月米中間選挙への影響を避けるために、トランプ氏から中東不安を和らげる発言やSNS発信があれば上振れも
- 金価格は目先、4400-4800ドルの攻防に注目。米イランの対立激化で4400ドルを下方ブレイクすれば、4300ドルを経て4100ドルまでの下落拡大を警戒したい。一方、停戦期待で4800ドルを突破すれば、4900ドルと心理的節目の5000ドルが視野に入る
原油高止まり、停戦協議で思惑が錯綜
週明け6日の取引でWTI原油先物(5月限)は、一時115ドル台へ急騰。ブレント原油先物(6月限)を上回る状況が続いている。期近の石油を確保しようとする動きは、中東リスクに対する市場の警戒心を反映している。
原油価格 4時間足チャート:3月以降
米国とイランの停戦協議を巡り情報と思惑が錯綜している。
トランプ米大統領は6日の記者会見で、イランとの交渉期限を米東部時間7日午後8時(日本時間8日午前9時)と改めて明示した。5日の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューや自身のSNSでも同じ期限を繰り返し示しており、ホルムズ海峡の開放と自由な航行を合意の条件に掲げている。期限内に合意できなければ「国全体を一晩で制圧できる」と警告した。
一方、パキスタンやエジプト、トルコの仲介で45日間の停戦案が協議されているという情報が流れた。しかしイランメディアは6日、イランが仲介国パキスタンを通じてこの案を拒否し、恒久的な戦闘終結や制裁解除など10項目の対案を提示したと報じた。米国とイランの隔たりは大きく、対立がエスカレートする場合は、原油価格の一段高を警戒したい。
こうした局面で注目されるのが、金(ゴールド)との逆相関だ。米国とイスラエルのイラン攻撃が始まって以降、原油価格が上昇する場面ではゴールド売りのトレンドが形成されている。停戦協議が錯綜している状況を踏まえれば、引き続き金価格の下値トライを警戒したい。
WTI原油先物価格と金価格 4時間足チャート:3月以降
トランプ米大統領の言動を注視、上振れリスクも
停戦に関する報道と同時に、トランプ米大統領の発言・SNS発信も注視したい。今年11月に中間選挙を控える中、イラン戦争の長期化はトランプ氏にとって打撃となることが予想されるからだ。
全米自動車協会(AAA)によれば、全米の平均ガソリン小売価格はロシアがウクライナに侵攻した2022年以来となる4ドル超えに達した。AAAが2022年当時に実施した調査では、4ドルが消費者の行動に与える水準であること、過半数(59%)が運転習慣やライフスタイルを変えると答えたという※。
※出所: $4 Gas the Tipping Point for Most Americans
中東混乱の長期化でガソリン高が消費行動を抑制すれば、景気減速とインフレが併存するスタグフレーション懸念が市場のテーマに浮上すれば、米国市場(株式・債券)のボラティリティ拡大につながりかねない。
全米ガソリン小売平均価格の推移:週次 2021年以降
イラン情勢を巡るトランプ氏の言動を振り返ると、1日の国民向け演説、5日のWSJインタビュー、6日の記者会見と短期間に相次いでおり、内容も二転三転している。インフレ再燃やマーケットの混乱を回避するために、中東不安を和らげる発言やSNS発信が突然出てくる可能性がある。
金価格の予想変動率(1ヶ月)は再び上昇し、2025年以降の平均を大きく上回る水準にある(下チャート、赤矢印)。急反落への警戒は維持しつつも、トランプ発言による上振れも想定しておきたい。
金価格の予想変動率:日次 2025年以降
金価格のチャート分析、目先は4400-4800ドルの攻防を注視
4400ドルを維持できるか
目先の焦点は、トランプ米大統領が新たに定めた交渉期限だ。米東部時間7日午後8時(日本時間8日午前9時)までにイランとの間で停戦協議に向けた新たな動き、またはトランプ氏から中東懸念を和らげる発言・SNS発信がなければ、金価格の下落を警戒したい。
日足チャートで直近のトレンドを確認すると、4800ドルと21日線が相場の反発を止めた。RSIは50以下、MACDはゼロラインを下回る水準で推移している。金価格の地合いは弱い。下値トライが続く場合は、3月の下落を止めた4400ドルを目先の下限と想定し、まずは4時間足チャートにまとめた100ドル幅での攻防を意識したい。
米国とイランの対立がさらに激化する場合は、4400ドルの下方ブレイクを想定しておく必要がある。このケースでは、サポートラインに転換する可能性がある4300ドルの攻防を注視したい。この水準をも下方ブレイクすれば、200日線を視野に下落拡大が予想される。200日線の攻防は、4100ドルの維持を見極める攻防でもある。
注目のチャート水準:サポート
・4600ドル:サポートライン
・4500ドル:サポートライン
・4400ドル:下限予想
・4300ドル:サポート転換
・4100ドル:3月の下落相場を止めた水準、200日線(4126ドル)
4800ドルの突破なるか
停戦協議の期待を高める情報や報道が出るか、トランプ米大統領から中東不安を和らげる発言・SNS発信があれば、金価格は以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。
目先の焦点は、レジスタンスラインとして意識され始めている4800ドルの突破だ。この水準は、直近の高値と安値のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる(4時間足チャート)。直下の21日線の上方ブレイクは、4800ドルをトライするサインとなろう。
4800ドルの完全なブレイクアウト、または同水準のサポート転換は、金価格の上振れサインとなろう。このケースでは、次の節目水準4900ドルのトライを想定したい。テクニカルの面では、日足チャートのフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準4914ドルの攻防を注視し、このラインをも突破すれば、4時間足チャートのフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準4970ドルが視野に入ろう。
4970ドルをも上方ブレイクすれば、心理的節目の水準5000ドルのトライが視野に入ろう。
注目のチャート水準:レジスタンス
・5000ドル:心理的節目の水準
・4970ドル:76.4%戻し
・4900ドル:61.8%戻し(4914ドル)
・4800ドル:レジスタンスライン
・4750ドル:21日線
金価格 日足チャート:昨年12月以降
金価格 4時間足チャート:3月上旬以降
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