6月米雇用統計と外為市場の予想シナリオ

【サマリー】
・今日の注目材料は6月米雇用統計
・雇用統計後の米国市場と外為市場の予想シナリオ
・ドル円の焦点とチャートポイント
・ユーロドルの焦点とチャートポイント

・6月米雇用統計

今日の注目材料は6月米雇用統計である。非農業部門雇用者数の予想は26.8万人。約1年ぶりに小幅な伸びにとどまる見通しとなっている。
雇用者数の変化も重要だが、インフレがテーマである以上、賃金の伸びにも注目したい。平均時給（前年同月比）の予想は5.0％。5月の5.2％から伸びが鈍化する見通しとなっている。

非農業部門雇用者数(前月比)と平均時給（前年比）の推移

・米国市場と外為市場の予想シナリオ

労働市場のタイトな状況が緩和に向かっていることが今回の雇用統計で確認される場合、米国の債券市場では利回りに低下の圧力が高まることが予想される。
そして米国株が上昇で反応する場合、外為市場では米ドル安優勢の展開を予想する。
特に、短期間で下落幅が拡大した欧州通貨（ユーロとポンド）で、米ドル高の調整（＝欧州通貨の買戻し）が予想される。資源国通貨や新興国通貨も対米ドルでの上昇を予想する。

一方、今回の雇用統計が総じて予想以上の内容となる場合、米国債利回りは上昇することが予想される。
このケースでの焦点は、米国株の反応である。高インフレと連邦準備制度理事会（FRB）による金融引き締めリスクが意識されているタイミングで、労働市場のタイトな状況が確認される場合、米国株は下落で反応する可能性がある。
雇用統計を受け「米国債利回りの上昇 / 米国株の下落（リスク回避）」の展開となれば、外為市場では米ドル買いが加速することが予想される。

現在は、景気の後退懸念が各市場のメインテーマとなっている。強い雇用統計（堅調な労働市場）が米国経済の下支え要因になる、との思惑の方が意識される場合、米国株は続伸するだろう。
雇用統計を受け「米国債利回りの上昇 / 米国株の上昇」の展開でも、外為市場での米ドル買い優勢が予想される。
だが、株高はリスク性の高い通貨の買い圧力を高める要因にもなり得る。株安（リスク回避）による米ドル買いの圧力が削がれる分、米ドル相場全体の上昇幅は限られると予想する。しかしこのケースでは、ドル円（USDJPY）の上昇幅が拡大することが予想される。

ドル円のチャートポイント

・136.50と70レベルの突破

そのドル円（USDJPY）だが、短期サポートラインを形成し135円台で底固めのムードが高まっている。だが、上値も重い。
今日もドル円が堅調地合いする場合は、136円台でのレジスタンスポイントを突破できるかどうか？この点が焦点となろう。

136円台で注目しておきたい最初の水準は、直近高安のフィボナッチ・プロジェクション100.0％の水準136.52レベルである。
この水準を突破する場合、次の焦点はローソク足の実体ベース（日足）での突破に失敗し続けている136.70レベルのトライ＆ブレイクである。

今日の米国市場がリスク選好相場（利回り上昇/株高）となる場合は、136.70レベルの突破と137.00トライを想定しておきたい。

・短期サポートラインと21日線

一方、ドル円（USDJPY）が下値トライとなる場合は、サポートラインとして意識されている21日移動平均線（MA）での攻防が引き続き焦点となろう。このMAは今日現在、135.30レベルで推移している。

135.10台には短期サポートラインが推移している。135.00前後での買戻しトレンドも考えるならば、135.00－135.30をサポートゾーンと想定しておきたい。

ドル円のチャート

ユーロドルのチャートポイント

・パリティ価格1.00を視野に下落トレンドを維持

ユーロドル（EURUSD）は、連日下値をトライする状況が続いている。昨日は安値1.0144レベルまで下落する局面が見られた。

プロジェクション100.0％の水準（1.0187レベル）をも難なく下方ブレイクしたことで、パリティ価格の1.00まで明確なサポートポイントが見当たらない状況に陥っている。

通貨オプション市場のリスクリバーサル（1ヶ月）では、ユーロプットの圧力がひとまず後退しつつある（7/6：-2.1 → 7/8：-1.825）。しかし、ロシアーウクライナ紛争の長期化による欧州経済の先行きリスクや米欧の金融引き締めペースの差を考えるならば、下値トライを意識する状況が続くだろう。

本日もユーロドルが続落し、1.01台をもあっさりと下抜ける場合は、パリティ価格1.00トライを想定しておきたい。

1.00の水準をも下方ブレイクする展開となれば、フィボナッチ・プロジェクションの重要ポイント161.8％の水準0.9922レベルが次のサポートポイントの候補として浮上しよう。

・5日線と1.02台ミドルの攻防

一方、今晩の6月米雇用統計が米ドル売りイベントとなる場合、短期間で下落幅が拡大しているユーロドル（EURUSD）には反発の圧力が高まるだろう。

このケースでの焦点は、1.02ミドルレベルのトライ＆ブレイクである。1.0255レベルは、直近高安のフィボナッチ・リトレースメント23.6％の水準にあたる。すぐ上の1.0265レベルは、今月5日にサポートポイントとして、6日にレジタンスポイントとして意識された経緯がある（ローソク足の実体ベース）。

先月29日以降、レジスタンスラインとして相場の上値を止める場面が見られる5日移動平均線（MA）を上方ブレイクする場合は、1.02ミドルレベルのトライを想定しておきたい。5日線は今日現在、1.0240手前で推移している。

ユーロドルのチャート