AI(人工知能)は、働き方や学び方に加え、旅行、医療へのアクセス、コミュニケーションなどのあり方を革新します。この記事では、注目の生成AI関連株5銘柄を紹介します。いずれも、企業の成長性や将来性などを総合的に考慮して選出しています。
生成AIとは、トレーニングに使われたデータを基に、質の高い文章や画像などのコンテンツを生成することができる深層学習(ディープラーニング)モデルのことです。
生成モデル自体は統計分析の分野で長年使われてきましたが、近年のディープラーニング技術の進歩により、画像や文章といった複雑なデータにも応用できるようになりました。
生成AIの主な活用分野は、以下の3つに分けられます
例えば、2025年にはAIを開発している米国企業のOpenAIが、生成AI「ChatGPT」を大幅に進化させ、画像を細かく解析したり、過去の会話内容を記憶してパーソナライズされた応答を提供したりすることが可能となり、大きな話題になりました。
純粋な生成AI銘柄は限られていますが、この革新的な技術への投資を考える投資家にとって、多くの有名企業がAI技術を活用し、生成AIへの投資を進めていることは注目に値するでしょう。
ここでは、注目のAI関連銘柄を5つご紹介します。価格と株価推移は2025年11月7日時点の引用です。過去の値動きは将来の株価動向を示すものではありません。
東京エレクトロンは半導体製造装置のリーディングカンパニーであり、AIインフラ投資の拡大から恩恵を受ける中核企業の一つです。生成AIの急速な普及に伴い、データセンターなどで使用される高性能なAI半導体の需要が世界的に高まっており、これが同社の業績を強く牽引しています。
さらに、2025年量産を目標に開発が進んでいる2ナノメートル(nm)世代の最先端プロセスで採用されるGAA(Gate-All-Around)と呼ばれる新構造トランジスターの製造に関連する装置開発も進めており、今後もAI時代の技術革新を根本から支える存在であることが期待されます
2026年3月期第2四半期(2025年4月1日~2025年9月30日)の決算では、売上高が約1兆1,797億円(前年同期比+5.2%)と増収になった一方、営業利益は約3,032億円(同-3.4%)、親会社株主に帰属する中間純利益は約2,416億円(同-0.9%)と減益となりました。中国での成熟世代向け設備投資が一服する中、生成AI関連の需要が伸長しましたが、研究開発費の増加などが利益を圧迫しています。
2026年3月期通期は上方修正され、売上高2兆3,800億円(前期比-2.1%)、営業利益は5,860億円(同-16.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益4,880億円(同-10.3%)を見込んでいます。半導体製造装置市場の中長期的な成長が期待される一方、前期比では減収・減益の見込みです。
現在の株価は32,800円、予想PERは約31倍、PBRは約7.6倍と、かなり割高感のある水準となっています。しかし、半導体製造装置市場が継続して伸び続けると考えれば、ある程度の合理性はありそうです。
東京エレクトロンは短期的な研究開発費の負担増がありながらも、AI半導体という巨大な成長市場において不可欠な製造装置を供給する中核企業です。NVIDIAやTSMCといった世界的な企業の積極的な設備投資の恩恵を直接受ける立場にあり、中長期的な視点での成長が引き続き強く期待される銘柄です。
アドバンテストは、AI半導体向けテスタ(検査装置)の分野で世界的なシェアを誇る企業です。生成AI市場の拡大は、AI半導体の製造工程に不可欠なテスタを供給する同社の業績を強く後押ししています
また、同社はAI半導体向けが好調な一方、2025年10月にはパワー半導体デバイス向けの新しいテストプラットフォーム「MTe」を発表するなど、事業ポートフォリオの多角化も進めています
2026年3月期第2四半期(2025年4月1日~2025年9月30日)の決算では、売上高が5,267億円(前年同期比+60.0%増)、営業利益は2,324億円(同+145.0%)、親会社の所有者に帰属する中間利益は1,698億円(同+144.9%増)と、非常に大幅な増収・増益を達成し、いずれも過去最高を更新しました。AI関連の高性能半導体向けテスタ需要が大幅に拡大し、今回の増収・増益に寄与しました。一方で、自動車や産業機器関連などの半導体需要は軟調でした。
2026年3月期通期は上方修正され、売上高が9,500億円(前年同月比+21.8%)、営業利益は3,740億円(同+63.9%)、親会社の所有者に帰属する当当期利益は2,750億円(同+70.5%)へそれぞれ引き上げられました。AI関連向け半導体が市場成長を牽引し、テスタ需要も前年を上回る見通しです。ただし、地政学的リスクや為替変動リスクなど、不確実性も残されています。
現在の株価は19,960円、予想PERは約53倍、PBRは約23.8倍と、非常に割高感がある水準です。ただし、決算での大幅な増収・増益や、AI半導体という巨大な成長市場を考慮すれば、一定の合理性が認められます。
このように、アドバンテストはAI半導体、特に検査装置の需要拡大という恩恵を直接受けています。株価の割高感は否めませんが、AI市場の成長が続く限り、同社は中長期的に高い成長が期待されるAI関連銘柄の代表格と言えるでしょう。
日本電気(NEC)は独自開発の生成AI「cotomi」を核としたAI戦略に本格的に取り組んでおり、国内AI市場での中長期的な成長が期待される企業です。特に、自社開発LLMの高度な業務自動化が可能な「AIエージェント」への進化、横浜銀行や静岡銀行など20の金融機関との共同研究会設立、さくらインターネットとの国産クラウド連携といった動きが報じられています。
NECはこれにより、データ主権とセキュリティを重視する国内の政府・金融・医療分野向けに、独自のAIソリューションを展開できる体制を整えつつあります。データを国内で管理しやすく、日本の個人情報保護法などのルールに沿って運用される国産AIを求める声は多く、同社には大きな期待が寄せられています。
2026年3月期第2四半期(2025年4月1日~2025年9月30日)の決算では、売上収益が約1兆5,697億円(前年同期比+5.6%)、営業利益は約1,186億円(同+165.3%)、親会社の所有者に帰属する中間利益は728億円(同+441.1%)と、大幅な増益を達成しました。
特に、ITサービス事業のセグメント損益が約1,156億円と好調で、全体の業績向上に大きく寄与しています。2026年3月期通期では、売上収益が3兆4,200億円(前期比-0.1%)、調整後営業利益は3,300億円(同+14.9%)、親会社の所有者に帰属するNon-GAAP当期利益は2,450億円(同+8.6%)を見込んでいます。
現在の株価は5,483円、予想PER(Non-GAAPベース)は約29.8倍、PBRは約3.7倍と、利益面と資産面共に割高感は否めません。これは自社開発の高性能な日本語LLMと、長年の社会インフラ・通信事業で培ったセキュアなインフラ構築能力が高く評価されているためだと考えられます。
NECは現在、国内市場に特化したAI戦略と既存事業という両輪を回しています。生成AI分野において独自のポジションを確立する企業として、今後も中長期的な成長が期待されます。
NVIDIAは生成AIブームの中核を担う企業として、2025年後半も市場の注目を集め続けています。NVIDIAの戦略は、単なる半導体供給を超え、AIインフラの設計と普及を主導する「AIファクトリー」構想へと進化しています。
2025年10月には、韓国の主要企業との大規模な提携が相次いで発表されました。SK Groupとは5万基以上のGPUを搭載するAIファクトリーの構築で協業し、Samsungとはインテリジェント製造を変革するためのAIファクトリー構築で提携するとしています。
これらの一連の動きは、NVIDIAが各国・各産業のAIトランスフォーメーションにおける基盤パートナーとしての地位を確固たるものにしていることを示しています。
2025年5~7月期の決算では、売上高が約467億ドル(前年同期比+55.6%)、純利益は約264億ドル(同+59.2%)と、大幅な増収・増益を達成しました。この成長は、主に新製品であるBlackwellの収益がけん引しています。
しかしながら、NVIDIAには市場から極めて高い期待が寄せられており、これに応え続けられるかが焦点になるでしょう。現在の株価は188.15ドル、調整後PERは約54倍、PBRは約45.7倍と、非常に割高感があります。このバリュエーションはAIが経済成長の主要テーマであり続ける中で、NVIDIAの将来に対する市場の強い期待を反映していると言えるでしょう。
データセンター部門の驚異的な成長率に加え、新製品Blackwellへの移行の進捗や、韓国企業との提携に続くAIファクトリー戦略の拡大が市場の期待を上回るかどうかが、中期的な株価を左右する最大の焦点となりそうです。
AlphabetはGoogleを子会社に持ち、Google検索やGoogleマップ、YouTube、生成AIなど、多種多様なサービスを提供する世界的なテクノロジー企業です。現在、AI戦略の本格的な収益化が実現し、市場が懸念していた「AI検索が従来の検索広告を共食いする」というリスクも払拭されつつあります。
Geminiアプリの月間アクティブユーザー数は現在6億5,000万人を超え、クエリ数は第2四半期から約3倍に増加しています。Google Cloudも急成長しており、世界トップ10のAIラボのうち9つがGoogle Cloud上で稼働しているとの報道もありました。
2025年7~9月期の決算では、売上高が約1,023億ドル(前年同期比+15.9%)、純利益は約350億ドル(同+33.0%)と、大幅な増益を達成しました。売上高も史上初めて1,000億ドルを超え、力強さを見せました。
現在の株価は279.7ドル、調整後PERは約27.6倍、PBRは約3.9倍と、割高感は否めません。しかし、AIが検索事業を拡大させ、クラウド事業の成長も加速させていることが明確になったことで、これには一定の妥当性が感じられます。
AlphabetはAIインフラに巨額の投資を行っていますが、それを上回るスピードで高付加価値AIサービスが収益を生み出しており、この好循環が今後も株価上昇の強力なドライバーとなりそうです。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。