FX取引においてヘッジを行うことは、価格変動のリスクを相殺し、他のポジションによる通貨への望ましくないエクスポージャーを減らすための一般的な方法です。ここでは、3つのFXヘッジ戦略と、通貨リスクをヘッジする方法についてご紹介します。
ヘッジとは、外国為替市場の不利な動きから資産を保護するために戦略的に追加のポジションを保有する行為です。つまり、現在保有しているFXのポジションが予測と違う方向に動いてしまったときに、その損失を軽減させるために別のポジションを保有することです。
「ヘッジ」自体は、現在のポジションを相殺させるために金融商品を売買するプロセスであり、これによりエクスポージャーのリスクを低減することができます。投資家は、エクスポージャーに付随する潜在的なリスクを制限する方法を見つけようとしますが、ヘッジは、その戦略の一つです。
通常、為替リスクのヘッジは、投資家が自国以外の資産-例えば海外の株式や国債などに投資をする際、為替の変動リスク(=自国通貨高のリスク)をヘッジするために用いられますが、ここではFX取引におけるヘッジのみについてみていきます。
為替レートの変動から資金を守る方法として、ヘッジを選択する場合があります。リスクを完全に排除する確かな方法はありませんが、ヘッジ戦略を用いる利点は、損失を軽減したり、事前に計算して納得した範囲内の損失に制限したりするのに役立つことです。ただし、ヘッジを行ったからと言って必ず損失を防げるという保証はないという点に、注意しておきましょう。
外国為替市場自体は本質的に不安定であるため、ヘッジ方法は他のマーケットでのヘッジ方法とはわずかに異なります。外国為替投資家の中には、「ボラティリティは単にFX取引の一部である」と信じ、自身の外国為替ポジションをヘッジすることはしない、と決断する人もいますが、これは自身がどれだけのリスクを受け入れられるかによるでしょう。
外国為替ペアの価値が下落に向かっているが、最終的にはそのトレンドが反転すると思われる場合は、ヘッジを使用することで長期的な利益を保護しつつ、短期的な損失を減らすという戦略をとることも考えられます。
潜在的な損失を管理するため、外国為替投資家が実行できるリスク管理戦略は多岐にわたりますが、ヘッジはよく取られる方法の一つです。一般的な戦略には、シンプルなFXヘッジ、または複数の通貨およびオプションなどの金融派生商品を含むより複雑な手法などがあります。
最もシンプルなFXヘッジ戦略は、現在の取引に対して「反対のポジション」を持つことです。例えば、ある通貨ペアで買いポジションを保有している場合、同じ通貨ペアで売りポジションを保有します。これを直接ヘッジと呼びます。
直接ヘッジでは、両方のポジションの損益が相殺されるため純利益はほぼゼロになりますが、相場が逆方向に動いても元のポジションを維持できることが特徴です。もしポジションをヘッジしなければ、含み損を確定させるために取引を終了する必要がありますが、ヘッジを使えば反対ポジションの利益で損失を補いながらチャンスを待つことができます。
なお、証券会社によっては直接ヘッジができず、ポジションが自動的に相殺される場合があります。IG証券では、取引システムの両建てオプションにより、当初の取引とは反対の方向に取引でき、マーケットで両方のポジションを保有できます。ただし、マーケット環境や取引期限が接近する等の理由によって保有中の銘柄が「新規建て停止」となった場合、両建てポジションを決済できない場合があります。詳細はこちらのページをご覧ください。
複数通貨ヘッジ戦略は、異なる通貨ペアを使ってリスクを分散・相殺する方法です。例えば、ユーロ/ドルで売りポジションを保有し、同時にポンド/ドルで買いポジションを保有するケースを考えてみましょう。こうすることで、ドルの値動きに対する影響を減らそうという戦略です。
もしユーロがドルに対して下落した場合、ポンド/ドルの買いポジションは損失を出しますが、ユーロ/ドルの売りポジションで得られる利益でその損失を補える可能性があります。反対に、ドルが下落した場合は、ユーロ/ドルの売りポジションで損失が出ても、ポンド/ドルの買いポジションで補おうという仕組みです。
ただし、この戦略にも注意点があります。複数の通貨を組み合わせるため、一方の通貨(例:ポンドやユーロ)に対して新たな為替リスクを抱えてしまうことになります。また、うまく機能すればリスク分散を期待できますが、相場の動きによっては両方のポジションで損失が出る可能性もあります。例えば、ユーロとポンドが予想と異なる動きをした場合(両方ともドルに対して下落した場合など)や、通貨間の相関関係が崩れた場合には、両方のポジションで損失を被るリスクがあります。仕組みを理解して慎重に活用することが大切です。
外国為替オプションとは、あらかじめ決められた価格で期限内に通貨を売買できる権利を持つ取引方法です。あくまで権利なので必ず取引しなければならないわけではありません。オプション取引を利用すれば、事前に支払うコスト(プレミアム)だけで為替変動のリスクヘッジ戦略を取ることが出来ます。
例えば、0.76ドルで豪ドル/米ドルの買いポジションを保有しているとします。急激な下落を予測した場合、1カ月後に0.75ドルで売る権利(プットオプション)を購入しておきます。もし期日までに価格が0.75ドルを下回れば、買いポジションの損失をオプションの利益である程度カバーできる可能性があります。逆に、価格が上昇して下落が起きなかった場合は、オプションは行使せず権利は消滅します。その場合、プレミアム(オプションの権利を得るための費用)だけがコストとなります。
(IG証券では現在取り扱いがありません)
FXヘッジは、為替の値動きを予測しながら取引するため、ある程度の知識と経験が必要です。ただし、初心者だから使えないわけではなく、基本的な仕組みを理解し、事前に取引戦略を立てることが重要です。
最初のポイントは「どの通貨ペアを選ぶか」です。ポンド/ドルなどの主要通貨ペアは流動性が高く、取引の機会も多いですが、米ドル/香港ドルなどの新興国通貨ペアはボラティリティが大きく、リスクも高まります。通貨ペアの特性に合わせて戦略を選びましょう。
また、FXヘッジを行うには追加でポジションを保有する必要があるため、それなりの資金と、マーケットを継続的にモニタリングする時間が必要です。特に短期的な値動きを狙う場合は、こまめな相場確認と素早い判断が求められます。リスク管理と準備を怠らないことが、FXヘッジを成功させるカギとなります。
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FXヘッジは複雑なテクニックであり、十分な準備が必要です。FXにおけるヘッジとは、為替変動による損失リスクを軽減するために、外国為替市場で戦略的に新しいポジションを保有する手法を指します。ただし、FXトレーダーの中には、ボラティリティは外国為替取引における当然の要素だと考え、あえてヘッジを行わない方もいます。
代表的なヘッジ戦略には、シンプルなFXヘッジ、複数通貨ヘッジ、通貨オプションヘッジの3つがあります。FXヘッジを始める際は、まずFX市場の仕組みを理解し、取引する通貨ペアを選び、運用できる資金額を把握することが大切です。また、実際の取引を始める前に、デモ口座でヘッジ戦略を練習してみることをおすすめします。
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