2024年注目すべき半導体株5選
半導体産業は急速に成長する躍動的な分野です。この記事では2024年1月に注目の半導体関連株5選を紹介します。5つの銘柄は時価総額に基づいて選出されています。
半導体株の背景知識
半導体株は、アップルのような大手モバイル企業からテスラのような大手自動車企業まで、世界の主要企業の根幹を支える役割を担っています。
長期のサプライチェーン危機から立ち直りつつあり、さらに人工知能(AI)やデータセンターによる需要も高まっていることから、半導体業界は魅力的な分野となり得ます。
ただし、インフレの長期化、金利の上昇、天然資源価格の上昇、地政学的不確実性の高まりなどの課題に世界経済が取り組む中で、どの半導体銘柄が有望なのか見極めることが重要です。
半導体株の魅力
半導体関連株は、ハイテク株など高成長が見込まれる業界の根底を成しています。AIやモノのインターネット(IoT)、自動運転技術、第5世代通信(5G)などの新興技術は、半導体に大きく依存しています。半導体関連株への投資は、このような技術の成長性への投資ともなります。
技術の進歩に伴い、半導体の需要は増加します。高倍率で取引されるハイテク株は、大幅に上昇する可能性を秘めており、これが半導体株への需要増につながります。
世界的な半導体不足によってこの業界の非効率さが表面化した一方で、限られた企業が市場を寡占していることもあらわになりました。半導体の製造には巨額の初期投資が必要で、これが新規参入の障壁となっています。半導体業界は、新規参入コストが比較的低い他業界と比べ、すでに参入している企業にとっては市場シェアを失いにくい構造となっています。
セクターの規模と少数企業による寡占状態により、半導体関連企業は合併・吸収(M&A)の対象となりやすいといえます。M&Aは事業規模の拡大につながるため、特に吸収される側の株式を持っている投資家の間では株価上昇につながるとして人気です。
当然、半導体関連株への投資にはリスクも伴っています。これには地政学的なリスク、特に近年では中国に対する輸出規制などが含まれ、このような規制は売り上げに影響を及ぼします。
実際、世界最大の半導体会社である台湾積体電路製造(TSMC)は、台湾の治権を巡る中国と西側諸国の対立に挟まれています。軍事介入はTSMCにとって大きな打撃となるほか、軍事介入への懸念さえもボラティリティの変化につながる可能性があります。
半導体株を取引するには
半導体銘柄を選択したり、取引のタイミングを見極めたりするには、いくつかのツールを利用することが可能です。
銘柄は個別に取引することも、幅広いポートフォリオの一部として取引することもできるほか、あらかじめ指定された指数や上場投資信託(ETF)を通じて取引することもできます。例えば、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は米国の半導体株に連動する指数として知られています。
他の業界と同様、半導体関連企業も決められた決算時期に決算を発表します。決算発表が迫るにつれて、取引量は急増し、市場のボラティリティが高まる傾向が見られます。
さらに、企業による重大発表や新製品の発表、連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策に関する情報の発表時などにも、ハイテク関連銘柄のボラティリティが高まります。その結果、半導体関連銘柄の取引にも影響が波及する可能性があります。
2024年1月に注目の半導体株5選
ここでは、2024年1月に注目の半導体関連株5つを紹介します。(株価とその推移は12月19日時点のものを引用しています。過去の値動きは、将来の株価動向を示すものではありません)
アドバンテスト(6857)
アドバンテストは半導体・部品テストシステムやメカトロニクス関連製品を製造・販売する企業です。国内6ヶ所の研究開発・生産拠点に加え、米国、欧州、アジア各地にも拠点を構えています。同社の半導体・部品テストシステム事業は、売上高の約70%を占めています。
第2四半期の売上高は1162億円、純利益は167億円でした。同社は、2023年10月時点の見方において、SoC(システム・オン・チップ)テスタ市場は、車載・産業向けでは底堅い需要が持続するものの、地政学的リスクの拡大や物価上昇、急激な為替変動リスクなど、依然として不確実性が高い状況も持続するとしています。
株価は11月以降急騰し、年初来で133.7%上昇しています。
ルネサスエレクトロニクス(6723)
ルネサスエレクトロニクスは、国内外で半導体の設計・製造・販売に従事しています。主に、自動車、産業、インフラ、IoTの4つの成長分野へソリューションを提供しています。
同社は、2010年にNECエレクトロニクスとルネサステクノロジが合併してできた企業です。また、合併前のルネサステクノロジは、日立製作所と三菱電機によって設立されました。現在、同社の従業員数は約21,000人で、30ヶ国以上で事業を展開しています。
売上高は2022年度に1兆5000億円を記録しました。第3四半期決算では、売上高が3794億円、最終利益が前年同期比11.9%増加の1083億円だったと発表しました。
株価は年初来で113.7%上昇しています。
新光電気工業(6967)
新光電気工業は、半導体の小型化、高速化、高機能化に対応するさまざまな「半導体パッケージ」の開発・製造を行っています。ターゲット市場は、パソコン、携帯電話、家電、電気自動車、IoT、AIなど多岐にわたります。
同社は国内に13ヶ所、海外には21ヶ所の拠点を有しており、従業員数は5,700人にのぼります。売上高は2022年に2863億円を記録しており、売海外売上比率は90%となっています。
2022年3月期の好決算を発表した2022年5月に株価が上昇し、その後は比較的堅調に推移しており、年初来では62.7%上昇しています。
ローツェ(6323)
ローツェは、半導体・フラットパネルディスプレイ(FPD)関連装置や自動化装置の開発設計・製造・販売を行っています。半導体自動化装置は売上高の半分以上を占め、低発塵、高スループット、高い信頼性をもつシステムを提供しています。
2024年度第2四半期の売上高は410億円弱を達成しました。また、中国および米国装置メーカー向けの売上の下期増加と、生成AIやデータセンター向けの投資需要拡大を見込んでいます。
株価は年初来で111.5%上昇しています。
TOWA(6315)
TOWAは半導体製造装置と超精密金型の開発・製造・販売をするほか、ファインプラスチック成形品やレーザー加工装置の販売なども手がけています。半導体は同社の中核事業であり、半導体チップを保護するモールディング装置の製造に注力しています。同社は強力なグローバルネットワークを持っており、売上げの80%以上を海外顧客が占めています。
2023年度上期では、売上高が前年同期比26.1%減の212.6億円、純利益が同58.9%減の19.5億円となりました。また、2024〜2025年にかけて生成AI関連向け装置需要が本格化すると⾒込んでいます。
2023年上半期の株価は横ばいだったものの、8月以降は好調に推移し、年初来で330.2%上昇しています。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。