米株上昇止まらず S&P500が2年ぶり8連騰 金利低下続くか
アメリカの株式市場が長期金利の低下で復活している。一方、10月のCPIや米議会の情勢が波乱を起こす可能性もある。
アメリカの株式市場の勢いが続いている。8日のS&P500種株価指数の終値は小幅ながらも前日比プラスとなり、8営業日連続での上昇となった。8連騰はちょうど2年前にあたる2021年秋以来だ。長期金利(10年物米国債利回り)が約1か月半ぶりの低さを更新したことが安心材料となっており、「マグニフィセント・セブン」とも呼ばれる大手ハイテク株の復活が株価を押し上げている。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを打ち止めにするとの観測が強まる中、株価の見通しが明るくなっている形だが、今後の経済指標や政治情勢の変化で状況が一変する可能性も残っている。
S&P500が8営業日続伸で6.45%上昇
8日のS&P500(SPX)の終値は前日終値比0.1%高の4382.78。10月30日からの連騰記録を8に伸ばした。この間の上昇率は6.45%で、7月31日の高値(4588.96)からの下落率は4.49%まで縮まった。調整局面入りの基準とされる10%を割り込んだ10月下旬の不振から脱却しつつある。8連騰は2021年10月28日から11月8日にかけて以来で、ちょうど2年ぶりの記録だ。
株価上昇を持続させているのは長期金利の低下だ。8日のニューヨーク債券市場での長期金利の終値は4.523%で、前日から0.048%ポイント低下した。9月22日(4.44%)以来の低水準で、高金利が株式の投資先としての魅力を相対的に薄れさせる状況が変わり始めている。
アメリカの「マグニフィセント・セブン」が復活
8日までのS&P500の上昇をセクター別指数でみると、10月27日比の伸び率が最も高いのは情報技術セクターの8.84%。マグニフィセント・セブンの一角である、マイクロソフト(MSFT)やアップル(AAPL)、NVIDIA(エヌビディア、NVDA)などの上昇が寄与している。次に伸び率が高いのは一般消費財セクターの8.68%で、こちらはアマゾン・コム(AMZN)やテスラ(TSLA)が引っ張っている。2023年7-9月期決算の結果や見通しが不安材料となって株価が下落していたアルファベット(GOOGL)やメタ・プラットフォームズ(META)も長期金利低下で息を吹き返している。
長期金利低下を引き起こしたのは、FRBの利上げが打ち止めになるとの観測だ。CMEグループのデータによると、12月12、13日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ見送りについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間9日午前11時の段階で約90%。金融情報会社リフィニティブのデータによると、投資家の間では2024年春以降にはFRBが利下げに踏み切るとの見方が優勢になっているようだ。FRBのジェローム・パウエル議長は1日の記者会見で物価上昇の減速を前向きに評価し、3日発表の10月の雇用統計は労働市場の過熱感が和らいでいた。
ただ、長期金利は依然として4%を超える状態で、約16年ぶりの高水準であることに変わりはない。また、14日に発表される10月の消費者物価指数(CPI)などの注目度の高い経済指標の結果や、2024会計年度のつなぎ予算が期限切れとなる17日に向けた米議会の情勢によっては、改めて長期金利に上昇圧力がかかる可能性もある。じわじわと値上がりが続く米国株の先行きが完全に晴れ渡っているわけではなさそうだ。
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