リスク選好下でもくすぶり続ける円高圧力

Market Overview

2日の海外外為市場は、対ドルで資源国&新興国通貨買い優勢の状況が継続した。原油価格(WTI)の反発基調継続を背景に国際商品市況(CRB指数)全体も追随。欧米株式も堅調に推移したことで、投資家のリスク許容度が拡大したことが背景にある。

一方、ドル相場は対ユーロで往って来いの展開となった。NYタイム序盤まではリスク選好を背景に1.0825レベルまでドル高が進行。しかし、独金利の上昇幅が米金利のそれを上回る展開(=米独金利差が縮小する展開)となると、ロンドン勢が引けた後は一転してドル売り優勢となり、欧州タイム序盤に付けた高値(1.0875)手前まで反発する展開となった。対資源国通貨&ユーロでのドル売りはUSD/JPYにも波及し、114.55レベルから113.21レベルへと下落した。

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Analyst's view

WTIは、産油国間における生産調整への期待先行を背景に約2ヶ月ぶりに35ドルレベルを回復する局面が見られた。反発基調が続く原油価格は国際商品市況(CRB指数)の押し上げ要因となっている。国際商品市況が落ち着けばグローバル株式市場も落ち着き、その結果外為市場ではリスク選好を背景に円売り圧力が強まる、というのがこれまでの展開だった。


しかし、昨日のNYタイムは国際商品&株式の両市場でリスク選好ムードが継続しているにもかかわらず、むしろ円高優勢の展開となった。要因として考えられるのは3つ。第一に本邦企業による円買いニーズが相当高まっていることが挙げられる。年明け以降、国内外のリスク要因がグローバル市場の不安定化を誘発する中、円高による海外利益の損失拡大を少しでも回避しようとする動き(=少しでも円安となれば円買いを仕掛ける動き)が、株高と円安の順相関を崩している可能性が高い。
第二に米経済への先行き不透明感が払しょくし切れていないことが要因として挙げられる。下図比較チャートを確認すると、S&P500と米長期金利(10年債利回り)の乖離が2月下旬以降拡大傾向にあることがわかる。景気動向に敏感な米長期金利が株高に追随出来ない背景にあるのは、やはり同国経済の先行き不透明感が根強く、それ故米利上げペースも鈍化するとの思惑もい根強いためだろう。後者の思惑は株式のサポート要因でもあることから、結果として「原油価格の調整局面入り+米景気先行き不透明感+米利上げペース鈍化」という状況が絡み合うことで、両価格の乖離が拡大傾向にあると考えられる。

第3の要因は、中国人民元の動向だろう。昨年後半からの人民元安は投機アタック初期段階の可能性を示唆する動きとも取れるが、今後も国内の景気浮揚策のために中国金融当局が追加緩和を続けるならば、人民元への売り圧力をさらに強めかねない。そうなれば、資本流出懸念もさらに強まることで人民元を震源地としたリスク回避圧力が強まる可能性があり、市場はこれらの要因を敏感に感じ取っていると思われる。

上記の点を踏まえ、目先のUSD/JPYは引き続き中心レンジを111.00-115.00と想定したい。上限を突破しても、ヘッドアンドショルダーのネックラインである116.00レベルを突破出来ない限り、常にレンジ下限(111.00)割れを警戒しておきたい。

【比較チャートチャート1時間足】緑ライン:S&P500   赤ライン:米長期金利(10年債利回り)

S&P500 米金利チャート

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