生成AI (人工知能) 関連銘柄 5選
AI(人工知能)は、働き方や学び方に加え、旅行、医療へのアクセス、コミュニケーションなどのあり方を革新します。この記事では、注目の生成AI関連株5銘柄を紹介します。取り上げる銘柄は時価総額に基づいて選ばれています。

生成AI(ジェネレーティブAI)の背景知識
AI(人工知能)業界は、機械学習、自然言語処理、ロボット工学などの進歩により、近年大きく成長しました。世間の注目を集めるのに一役買ったのは、対話形式で質問に回答できるChatGPT(チャットGPT)でした。ChatGPTは「Chat Generative Pre-trained Transformer」の略です。このようなAIはさまざまな角度から私たちの生活や働き方に変化をもたらす可能性があります。また、生成AI銘柄はNVIDIA (NVDA) のようにChatGPT登場前に約4ドルだった株価 (2019年1月) が登場後には約150ドル (2025年1月) まで約37倍高騰するなど、成長期待が高いことでも知られています。その後、低いコストで性能が向上できることを示したDeepSeekが登場し、AI関連企業株が急落した「DeepSeekショック」もありましたが、市場からの期待は引き続き高いものと予想されます。この記事では、トレーダーが生成AI時代にいかに投資できるかについて、必要な知識をご紹介します。
AIとは?
ブリタニカ百科事典では、AIを「知的生物が取り組むタスクを実行する、デジタルコンピュータまたはコンピュータ制御ロボットの能力」と定義しています。一方で、米国のエヌビディア社は、AIを「コンピュータプログラムまたは機械が、明確な命令を受けることなく、思考・学習・行動する能力」と表現しています。
生成AI(ジェネレーティブAI)とは?
IBMは生成AIを「トレーニングに使われたデータを基に、質の高い文章や画像などのコンテンツを生成することができる深層学習(ディープラーニング)モデル」と定義しています。生成モデルは統計分析に長年使われていますが、近年のディープラーニングにおける進展により、そのモデルを画像や文章などの複雑なデータタイプにも適用できるようになりました。
エヌビディアは生成AIの主な使い道を、言語、視覚、聴覚の3つに分けています。最も注目を浴びている言語ベースの生成モデルは大規模言語モデル(LLM)です。これは文章やマーケティングコンテンツの生成、コードの記述、翻訳、さらには遺伝子配列の決定にも使うことが可能です。視覚的な使い道としては、3D画像やアバター、ビデオ、グラフ、その他イラストレーションの生成があります。音楽や人の声の生成など、聴覚的な生成AIも近年発展を見せています。
オープンAIは2023年9月25日、ChatGPTに音声と画像関連の機能を追加しました。これによりユーザーは、ChatGPTと会話をしたり、モデルへの説明のために画像を使用したりすることが可能となりました。例えば、ユーザーは冷蔵庫の中の写真をChatGPTに見せることで、夕飯の献立の提案を受けたり、そのレシピの詳細を聞いたりすることができます。
エヌビディアはまた、生成モデルが成功するためには、品質、多様性、スピードが必要だとしています。
トレーダーはどのようにしてこの革命的な技術に投資すればいいのでしょうか。純粋な生成AI銘柄は非常に限られていますが、多くの名だたる企業がAI技術を利用し、生成AIに対して投資しています。
注目の生成AI株(ジェネレーティブAI株)5選
ここでは、注目のAI関連銘柄を5つご紹介します。価格と株価推移は2025年3月27日時点の引用です。過去の値動きは将来の株価動向を示すものではありません。
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Amazon.com, Inc. (AMZN)
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Palantir Technologies Inc. (PLTR)
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Oracle Corporation (ORCL)
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IBM (IBM)
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Broadcom Inc. (AVGO)
Amazon.com, Inc. (AMZN)
Amazonは、クラウドコンピューティング事業「AWS」を通じて生成AI分野で存在感を強めています。AWSは、企業向けにAIモデルの開発・運用環境を提供し、特に「Amazon Bedrock」「SageMaker」「Trainium2 AIチップ」などを展開。最近では、独自の基盤モデル「Amazon Nova」を発表し、低価格・高性能のAI環境を提供することで競争力を強化しています。
2024年第4四半期の決算は、売上高が前年同期比10%増の1,878億ドル、AWSの売上高は前年同期比19%増の288億ドル。営業利益は前年比60%増の212億ドル、純利益は200億ドル(前年同期は106億ドル)と、大幅な成長を遂げました。
株価は201ドル、PERは36倍と、テクノロジー企業の中では割高感があります。ただし、AWSの成長が継続すれば、株価の上昇余地は十分あると考えられます。また、AI関連投資の進展が株価の長期的な押し上げ要因となる可能性もあります。
この銘柄は、AIの成長に賭けたいトレーダーに適しています。特に、AWSの成長を重視するなら、クラウド市場のシェア動向や新製品の発表タイミングに注目し、短期の値動きを狙う戦略が有効です。
Palantir Technologies Inc. (PLTR)
Palantirは、AIを活用したデータ分析プラットフォームを提供する企業です。政府機関や民間企業向けの高度なデータ解析を強みとしています。特に、AIを活用した「Artificial Intelligence Platform(AIP)」を提供し、企業の業務効率化を支援。米国政府向けの契約も拡大しており、国家安全保障分野でも重要な役割を果たしています。
2024年第4四半期の決算では、売上高が前年同期比36%増の8億2800万ドル、米国事業の売上は52%増と大きく成長しました。特に、米国の商業向け売上は前年同期比64%増の2億1400万ドル、政府向け売上は45%増の3億4300万ドルと、事業の幅が広がっています。しかし、純利益は7900万ドル(純利益率10%)と利益率はやや低め。ただし、営業キャッシュフローは4億6000万ドルと堅調です。
株価は92ドル、PERは488倍と、成長企業らしい高PER水準です。これは、将来の収益成長を見込んだ市場の期待を反映しており、特にAI需要の拡大が続く限り、高PERでも支持される可能性があります。ただし、利益成長が鈍化すれば大幅な調整リスクもあることに留意してください。
この銘柄は、ボラティリティを狙いたい短期トレーダー向けです。PERが非常に高いため、好決算や新規契約発表時に株価が急騰する可能性がある一方、市場の期待を下回ると急落するリスクもあります。
Oracle Corporation (ORCL)
Oracleは、エンタープライズ向けクラウドとAIソリューションを提供する企業です。特にクラウドインフラ(IaaS)とデータベース事業に強みを持ちます。最近では、OpenAI、xAI、Meta、NVIDIA、AMDとAI関連の大型契約を締結し、「Oracle AI Data Platform」を発表。これは、ChatGPTやMeta LlamaなどのAIモデルとOracleのデータベースを統合するプラットフォームで、企業が自社データを安全に活用できる環境を提供しています。
2025年度第3四半期の決算では、売上高が前年同期比6%増の141億ドル、クラウド(IaaS+SaaS)の売上は23%増の62億ドルと堅調に成長しました。クラウドインフラ(IaaS)は49%増の27億ドルと、特にAI向けのデータセンター需要が業績を押し上げています。純利益は29億ドル(前年同期比22%増)、GAAPベースのEPSは1.02ドル(20%増)となりました。
株価は147ドル、PERは34倍と、テクノロジー企業の中では比較的落ち着いた水準です。クラウドとAI事業の成長が今後も続けば、株価のさらなる上昇余地は十分にありそうです。また、クラウド契約の拡大による収益の安定性も魅力的です。
この銘柄は、中期的な成長を狙うトレーダー向けです。急激な値動きよりも、クラウド事業の安定成長を背景にした継続的な株価上昇を狙うのに適しています。AI関連の大型契約やデータセンター投資の進捗が重要なトレード材料となるため、四半期決算の動向をチェックしながらトレードするのが良いでしょう。
IBM (IBM)
IBMは、企業向けAIソリューションに注力し、「WatsonX」をはじめとする生成AIプラットフォームを提供しています。特にRed Hatの成長が加速しており、クラウドとの統合を強化。さらに、企業向けAI導入支援を進め、すでに50億ドル規模の生成AI関連契約を獲得しており、今後もAI分野での成長が期待されています。
2024年第4四半期の決算では、売上高が176億ドル(前年同期比1%増)、ソフトウェア部門の売上が10%増と好調でした。特に、Red Hatは16%増、データ&AI部門も4%増と堅調に推移。純利益は29億ドル(前年同期比11%減)で、GAAPベースのEPSは3.11ドル(12%減)。ただし、非GAAPベースでは3.92ドルと、前年から1%の増加となりました。
株価は250ドル、PERは39倍と、テクノロジー企業の中では中程度の評価です。生成AI市場の拡大とともにIBMのクラウド・AI関連事業の成長が進めば、PERの高さも正当化される可能性があります。一方で、売上成長率は比較的低いため、他のAI関連銘柄と比べて即時の爆発的な上昇は期待しにくい面もあります。
この銘柄は、比較的値動きが穏やかなため、安定志向の短期トレーダー向けです。また、AI関連ニュースや新規契約の発表による短期的な上昇を活かしたスイングトレードも戦略として有効でしょう。
Broadcom Inc. (AVGO)
Broadcomは、AI向け半導体とインフラソフトウェアを提供する企業です。データセンターやネットワーク機器に不可欠なチップを供給しています。特に、AIアクセラレーターや高速ネットワーク用半導体に強みを持ち、NVIDIAやGoogleといったハイパースケール企業向けの供給を拡大。2025年第1四半期には、AI関連売上が前年同期比77%増の41億ドルに達し、AI市場の成長を直接的に取り込んでいます。
2025年度第1四半期の決算では、売上高が149億ドル(前年同期比25%増)と過去最高を記録。純利益は55億ドル(前年同期は13億ドル)と大幅増加。AI向け半導体の売上は11%増の82億ドル、インフラソフトウェアは47%増の67億ドルと、ソフトウェア事業も急成長中。GAAPベースのEPSは1.14ドル、非GAAPベースでは1.60ドルとなりました。
株価は179ドル、PERは86倍と、高い評価を受けています。AI関連半導体の成長が継続すれば、現在の株価水準は維持される可能性がありますが、AIブームの鈍化がリスク要因になる点を留意する必要があります。
この銘柄は、トレンドフォロー型の短期トレーダー向けです。AI市場の成長を直接的に受けるため、NVIDIAやAMDなどのAI半導体関連銘柄の値動きと連動する傾向があります。
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