リスク要因としての米雇用統計

Market Overview

3日の海外外為市場は、米大統領選を巡る不透明感を背景に米ドル売りが継続した。ドル円は、アジア時間に一時102.55レベルまで急落。海外時間では103円台を回復する局面が見られるも、大統領選への不透明感から再び102円台へ反落する等、上値の重い展開となった。ユーロドルはNYタイムの引けで1.11台の維持に成功(1.1103)。ただ、2営業日連続で89日MAがレジスタンスラインとして意識された。米ドル相場の方向性を示すドルインデックスは、10月11日以来となる97.04レベルまで下落した。一方、英ポンドは、英高等法院が欧州連合(EU)離脱の正式通知前に議会承認が必要と判断したことが好感され上昇した。

他の市場動向だが、英国株式市場はポンド高を背景に下落。米国株式市場は大統領選を巡る不透明感を背景に続落。ダウ工業株30種平均は7月7日以来およそ4カ月ぶりの安値を付けた。NY原油先物相場(WTI12月限)は、減産合意への不透明感と米国の石油在庫の積み上がりが嫌気され続落。米債券市場は「株安 / 原油安」を背景に金利上昇圧力は抑制されたが、全体的に様子見ムードが強く方向感のない展開となった。

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Analyst's view

米国株式市場では、ダウ工業株30種平均とS&P500指数はともに6日続落。米国外の動向を世界の株式(MSCI)と国際商品市況(CRB指数)の騰落率(直近1ヵ月)で確認すると、10月後半以降、急速にパフォーマンスが低下していることがわかる(チャート①)。米株の下落も10月後半から鮮明となった点を考えるならば、クリントン候補の私的メールアカウント問題に端を発した米大統領選を巡る不透明感が欧米投資家のリスクセンチメントの悪化につながっていることは明白。実際、VIX指数とVSTOXX指数も10月後半以降、急上昇している。この状況は、少なくとも大統領選挙の結果が出るまで続くだろう。

目下、外為市場では「クリントン候補優勢=ドル高」「トランプ候補優勢=ドル安」となっているが、チャート②を見る限り、米ドル相場のサポート要因である米長期金利は上昇基調を維持していることがわかる。12月の米利上げ観測が意識され続けている以上、米ドル相場は常に反転の可能性があると考えるべきだろう。その可能性を高める材料として、本日は10月の米雇用統計に市場の耳目が集まろう。予想以上ならば素直にドル高で反応しよう。ただ、「トランプリスク」が意識されているタイミングである点を考えるならば、上昇幅は限定的となる可能性がある。ドル円は株式動向次第だろう。良好な雇用統計は株高要因だが、「トランプリスク」が台頭している現状を考えるならば、売り買い交錯で上値の重い展開が想定される。また、筆者が注視しているのが、米利上げ観測との関係だ。再度チャート②を確認すると、「トランプリスク」が意識される前から「米株下落 / 金利上昇」の関係が発生していることがわかる。これは、米利上げをリスク要因として米国株式市場が織り込んでいる可能性があることを示唆している。よって、良好な雇用統計となっても、米株は利上げリスクが意識されることでむしろ続落するリスクとを包していると言える。ドル高はドル円のサポート要因だが、米株続落となればドル円の上値も抑制されよう。クロス円はリスク回避を背景に円高優勢の展開が想定される。

逆に米雇用統計が冴えない内容となれば、ドル安が加速しよう。この場合、ドル円は昨日の下落を止めた75日MA(今日現在102.50前後)での攻防が注目される。このMAの下方ブレイクは日足一目/雲の下限(今日現在101.81)レベルトライのシグナルとして注視したい。一方、ユーロドルは、今年最高値1.1616レベルを起点としたレジスタンスラインのトライが焦点となろう(今日現在1.1200レベル)。


【チャート①:世界の株式とCRB指数のパフォーマンス比較】

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【チャート②:米S&P500と10年債利回りの動向】

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