2024年 注目すべき半導体株5選
半導体産業は急速に成長する躍動的な分野です。この記事では2024年6月に注目の半導体関連株5選を紹介します。5つの銘柄は時価総額に基づいて選出されています。
半導体株の背景知識
半導体株は、アップル(AAPL)のような大手モバイル企業からテスラ(TSLA)のような大手自動車企業まで、世界の主要企業の根幹を支える役割を担っています。
長期のサプライチェーン危機から立ち直りつつあり、さらに人工知能(AI)やデータセンターによる需要も高まっていることから、半導体業界は魅力的な分野となり得ます。
ただし、インフレの長期化、金利の上昇、天然資源価格の上昇、地政学的不確実性の高まりなどの課題に世界経済が取り組む中で、どの半導体銘柄が有望なのか見極めることが重要です。
半導体株の魅力
半導体関連株は、ハイテク株など高成長が見込まれる業界の根底を成しています。AIやモノのインターネット(IoT)、自動運転技術、第5世代通信(5G)などの新興技術は、半導体に大きく依存しています。半導体関連株への投資は、このような技術の成長性への投資ともなります。
技術の進歩に伴い、半導体の需要は増加します。高倍率で取引されるハイテク株は、大幅に上昇する可能性を秘めており、これが半導体株への需要増につながります。
世界的な半導体不足によってこの業界の非効率さが表面化した一方で、限られた企業が市場を寡占していることもあらわになりました。半導体の製造には巨額の初期投資が必要で、これが新規参入の障壁となっています。半導体業界は、新規参入コストが比較的低い他業界と比べ、すでに参入している企業にとっては市場シェアを失いにくい構造となっています。
セクターの規模と少数企業による寡占状態により、半導体関連企業は合併・吸収(M&A)の対象となりやすいといえます。M&Aは事業規模の拡大につながるため、特に吸収される側の株式を持っている投資家の間では株価上昇につながるとして人気です。
当然、半導体関連株への投資にはリスクも伴っています。これには地政学的なリスク、特に近年では中国に対する輸出規制などが含まれ、このような規制は売り上げに影響を及ぼします。
実際、世界最大の半導体会社である台湾積体電路製造(TSMC)は、台湾の治権を巡る中国と西側諸国の対立に挟まれています。軍事介入はTSMCにとって大きな打撃となるほか、軍事介入への懸念さえもボラティリティの変化につながる可能性があります。
半導体株を取引するには
半導体銘柄を選択したり、取引のタイミングを見極めたりするには、いくつかのツールを利用することが可能です。
銘柄は個別に取引することも、幅広いポートフォリオの一部として取引することもできるほか、あらかじめ指定された指数や上場投資信託(ETF)を通じて取引することもできます。例えば、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は米国の半導体株に連動する指数として知られています。
他の業界と同様、半導体関連企業も決められた決算時期に決算を発表します。決算発表が迫るにつれて、取引量は急増し、市場のボラティリティが高まる傾向が見られます。
さらに、企業による重大発表や新製品の発表、連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策に関する情報の発表時などにも、ハイテク関連銘柄のボラティリティが高まります。その結果、半導体関連銘柄の取引にも影響が波及する可能性があります。
2024年6月に注目の半導体株5選
ここでは、2024年6月に注目の半導体関連株5つを紹介します。(株価とその推移は5月15日時点のものを引用しています。また、過去の値動きは、将来の株価動向を示すものではありません)
レーザーテック(6920)
レーザーテックは検査・計測機器を製造する企業です。半導体関連機器、フラットパネルディスプレイ関連製品、レーザー顕微鏡を専門としており、自社開発の光応用技術が製品開発を後押ししています。
同社は2023年9月に日経平均株価に採用されました。日本取引グループのデータによると、同社株は月次取引高で年初来毎月1位となっており、4月の売買代金は4.9兆円に上りました。
米国のインフレ率が高止まりし、FRBが6月に長期金利を引き下げるとの観測が後退したことで、半導体関連銘柄は4月に苦戦しました。しかし、米フィラデルフィア半導体株(SOX)指数は4月19日の底値から回復しており、5月14日までに年初来で17.5%回復しました。エヌビディア(NVDA)も同じような値動きをしており、5月14日時点で年初来84.5%高となっています。
同社の株価も4月に急落した後、回復しており、年初来では13.5%上昇してます。
ルネサスエレクトロニクス(6723)
ルネサスエレクトロニクスは約21,000人の連結従業員を擁し、国内外で半導体の製造・販売を手掛けています。主な事業は、自動車、産業、インフラ、IoTの4つの分野にソリューションを提供することです。同社はセンサーやアクチュエーターなど、幅広い半導体関連製品を製造しています。
2019年以来、純利益は毎年増加しており、2023年は4329億円に達しました。
2024年に入ってから株価は大きく上下しており、トレーダーにとっては大きな取引機会となっています。株価は年初来で5.2%上昇しています。
アドバンテスト(6857)
アドバンテストは半導体や部品の検査テストシステムおよびメカトロニクス関連製品を製造しています。同社は半導体検査機器市場をリードしており、半導体・部品テストシステム事業部門は、売上高の約7割を占めています。1954年に創業し、現在は世界に7,300人の従業員を擁していいます。
2023年度の決算では、売上高、営業利益、純利益共に前年度比で下回ったものの、SoCテスタとメモリーテスタにおいて市場シェアを伸ばしました。また、生成AI関連で高性能DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)向け売上も増加しました。
同社の株価は52週高である7,456円から大幅に下落しているものの、上昇トレンドを回復しつつあり、年初来では11.7%上昇しています。
フェローテックホールディングス(6890)
フェローテックホールディングスは1980年に米企業の子会社として創業し、1987年に独立、1999年にはナスダックに上場していた親会社を買収しました。その後、2017年4月に持株会社体制に移行しました。
同社は真空シール、シリコンウエーハ、シリコンパーツ、石英製品、セラミックス製品など、半導体関連製品を提供しており、計11の事業会社を抱えています。
同社の株価は2024年初めの好調な滑り出しの後、1月終わりから上下しています。年初来では8.1%上昇しています。
芝浦メカトロニクス(6590)
芝浦メカトロニクスはフラットパネルディスプレイ製造機器、半導体製造機器、真空応用装置などを製造しています。メカトロニクスの分野ではロボット、制御システム、電子機械システムなどを取り扱い、近代的・先進的な自動化された製造業で利用されています。
同社は1939年、東京芝浦電気(現在は東芝)のモーター事業を継承し、創業しました。
株価は2月半ばから下落基調だったものの、5月9日に2024年3月期の経常利益が10.4%増となったことを発表した後、急伸しました。年初来では17.5%上昇しています。
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