英国の物価上昇は減速継続予想 5月利下げ観測拡大か ポンド安も
イギリスの12月CPIは物価上昇率が低下する見通し。ポンド安が見込まれるが、進展が限定的になる可能性もありそうだ。
イギリス統計局が17日に発表する12月の消費者物価指数(CPI)は物価上昇率の低下が続くと見込まれている。物価上昇の減速が順調に進んでいると受け止められれば、金融市場で有力視されているイングランド銀行(BOE)が5月にも利下げに踏み切るとの観測を強めそうだ。ポンド円相場では、年明け以降のポンド高の流れが反転する可能性もある。ただ、BOE自身は利下げから距離をとっており、ポンド安の進展が限定的になることも考えられる。
イギリスの12月CPIは伸び率が低下予想
英統計局は17日午前7時(日本時間17日午後4時)に12月CPIを発表する。ロイターがまとめたエコノミスト調査によると、総合指数の伸び率は前年同月比3.8%となり、11月の3.9%から減速する見通し。また、食品、エネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は4.9%となり、こちらも11月(5.1%)から低下すると見込まれている。予想通りの結果になれば、コア指数が4%台となるのは2022年1月(4.4%)以来1年11か月ぶりだ。
こうした中、金融市場では英国の中央銀行にあたるBOEが5月にも利下げに踏み切るとみられている。LSEGのデータによると、BOEの政策金利が5月理事会後に現状よりも低くなっていることについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間16日正午すぎの段階で約72%となっている。
ポンド円相場では年明けにポンド高が進行
一方、ポンド円相場(GBP/JPY)では利下げ観測にも関わらず、1月に入ってからポンド高が進んでいる。16日のポンド円相場は1ポンド=185円台前半で推移。2023年末比では5円強(約3%)のポンド高だ。ただ、この間、ポンドが買われやすくなったとは言い難い。ポンドはドルに対しては0.3%程度安くなっているからだ。これに対して円はドルに対して約3.3%も安くなっており、円が安くなる度合いがポンドが安くなる度合いよりも大きかった結果、円安ポンド高が進んだといえる。
12月CPIが英国の物価上昇の順調な低下を示した場合は、BOEによる5月利下げ観測がいっそう強まり、ポンドが現状以上に売られやすくなることが想定される。実際、10月や11月のCPIで物価上昇の弱まりが確認された際は、その後、ポンドは円に対しても安くなった。
とはいえ、BOE自身は利下げの可能性を口にしているわけではなく、金融市場の利下げ観測の強まりには、物価上昇率低下に対する過剰反応の側面も感じられる。12月の物価上昇率が予想通りに下がったとしても、BOEが目標とする2%まではまだまだ距離があるうえ、前月からの低下幅も小さいことから、利下げ観測が強まらない可能性も考えられる。
英国の物価上昇率は、アメリカの12月CPIの伸び率が総合指数で3.4%、食品とエネルギーを除いたコア指数で3.9%となっていることと比べれば、根強さが目立つ。BOEの利下げに向けた道のりは、米連邦準備制度理事会(FRB)よりも難しくなることも想定されそうだ。
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