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英中銀の利下げ観測拡大 ポンド安圧力再び 11月物価上昇大幅減

日銀のマイナス金利解除見送り後のポンド高がイギリスの物価上昇減速で反転。日本のCPIも相場を動かす可能性がある。

出所:ブルームバーグ

イギリスの中央銀行にあたるイングランド銀行(BOE)が利下げに転じるとの観測が強まっている。20日に発表された11月の消費者物価指数(CPI)の伸び率が予想を大きく下回ったためで、金融市場は2024年3月の利下げを織り込み始めた。20日のポンド円相場は前日比1.67円の円高ポンド安となり、日本銀行のマイナス金利政策解除見送りで生じたポンド高の動きが反転している。ただ、BOEのアンドリュー・ベイリー総裁は14日に早期利下げ観測を打ち消したばかりで、物価上昇減速を楽観していない。また、22日発表の日本の11月CPIの結果もポンド円相場の先行きを左右しそうだ。

イギリス中銀は2024年3月にも利下げか

LSEGのデータによると、BOEの政策金利が2024年3月の金融政策委員会(MPC)後に現状よりも低くなっていることについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間21日午前の段階で約40%。5月の政策金利については、約77%の確率で現状よりも低くなるとみられている。

英国の利下げ観測を強めたのは11月CPIで物価上昇減速が示されたからだ。総合指数の伸び率は前年同月比3.9%で、10月の4.6%からはっきりと減速。事前予想の4.4%も大きく下回った。総合指数の伸び率が3%台になるのは2021年9月(3.1%)以来2年2か月ぶりだ。また、食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は5.1%で、やはり10月の5.7%や、事前予想の5.6%を大幅に下回っている。

イギリスの消費者物価指数(CPI、総合、コア)の推移のグラフ

ボンド円相場は1ポンド=180円台で取引

こうした中、20日の外国為替市場ではポンド安が進行。ポンド円相場(GBP/JPY)のニューヨーク市場の終値は1ポンド=181.43円で、前日よりも0.91%のポンド安となった。ポンドがドルに対して0.73%安くなったことに加え、円がドルに対して0.18%高くなった結果だ。ポンド円相場は日銀の植田和男総裁の7日の「チャレンジング」発言を機に178円台までポンド安が進んだ後、19日に日銀がマイナス金利解除を見送ったことで184円台までポンド高に振れていた。しかし今度はBOEの利下げ観測の強まりが、ポンド安圧力を強めた形だ。

ポンド円相場は21日は180円台で取引されており、円高ポンド安はさらに進んでいる。

ポンド円相場の日足チャートと主な出来事

ただ、BOEの胸中は市場の思惑とは異なりそうだ。BOEが3会合連続で政策金利を5.25%で据え置くと発表した14日、ベイリー氏は「利下げについて推測を始めるのはまだまだ早すぎる」と述べ、早期利下げ観測を打ち消した。英国の物価上昇率は低下したとはいえ、米国の11月CPI総合指数の伸び率(3.1%)と比べるとまだまだ高いことも事実だ。12月MPCでの政策金利据え置きは、参加者9人のうち6人の賛成で決まり、残り3人は0.25%の利上げを支持していた。

日本の11月CPIの結果もポンド円相場に影響か

また、ポンド円相場をめぐっては、22日午前8時30分に発表される日本の11月CPIの結果も注目される。ロイターがまとめたエコノミスト調査では生鮮食品を除いたコア指数の伸び率が前年同月比2.5%となり、10月(2.9%)から減速する見込み。マイナス金利解除観測を弱める結果と受け止められれば、円安ポンド高方向に相場が動く可能性もありそうだ。

日本のCPI(総合、コア、コアコア)の推移のグラフ

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