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英国の1月CPIは上昇加速予想 ポンド高要因 BOEは静観か

イギリスの1月CPIは上昇率加速の見通し。ただ、BOEは年内の物価上昇減速を見込んでおり、ポンド高は限定的になる可能性も。

英国の1月CPIは上昇加速予想 ポンド高要因 BOEは静観か 出所:ブルームバーグ

イギリス統計局が14日に発表する1月の消費者物価指数(CPI)は物価上昇率の加速が見込まれている。物価上昇抑制を目指すイングランド銀行(BOE)による利上げを連想させる、FX市場でのポンド高要因といえそうだ。ただ、BOEは1日に物価上昇見通しを引き下げたばかりで、利下げを見据えるスタンスに大きな変化が出るとは考えにくい。ポンド円相場が約8年半ぶりの円安ポンド高水準にあることも、日銀の金融緩和維持姿勢の影響が大きいとみられ、CPIへの反応が限定的になる可能性もある。

イギリスの1月CPIは上昇率が4.2%に上がる見通し

イギリス統計局は14日午前7時(日本時間14日午後4時)に1月のCPIを発表する。ロイターがまとめた市場予想によると、総合指数の伸び率は前年同月比4.2%となり、12月の4.0%から高くなる見通し。食品、エネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は5.2%となり、やはり12月(5.1%)から上昇するとみられている。

イギリスの消費者物価指数(CPI、総合、コア)の前年同月比伸び率の推移

総合指数の伸びが12月よりも大きくなれば、2か月連続での物価上昇加速となる。また、コア指数の伸び率は5%台前半での下げ渋りが続くことになり、イギリスの物価上昇の根強さが意識されることになりそうだ。物価上昇の加速はFX市場ではポンド高要因として働きそうだ。

イギリス中銀は4-6月期の物価上昇率が2.0%になると予想

ただ、BOEは物価上昇率は今後、大きく低下していくとみている。BOEは1日に4会合連続での政策金利据え置きと同時に経済見通しを発表し、物価上昇率は1-3月期には3.6%、4-6月期には2.0%になると予想。11月発表の見通しでは、1-3月期は4.4%、4-6月期は3.6%とみていただけに、大幅に見通しを下げた形だ。また、声明文では「政策金利を現在の水準(5.25%)でどれだけ長く維持するかについて検証を続ける」とし、今後の利下げの可能性を示唆した。

このため1月CPIで物価上昇が加速したとしても、BOEの利下げを視野に入れるスタンスは続くことが想定される。LSEGのデータによると、金融市場ではBOEは6月の理事会までに利下げに踏み切るとの見方が有力。6月の理事会後に政策金利が現状よりも低くなっていることについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間13日午後1時段階で約60%になっている。1月半ばに有力視されていた5月利下げからは後ずれしているものの、引き続き、利下げ方向の金融政策変更が見込まれている形だ。

ポンド円相場は8年6か月ぶりの円安ポンド高水準

一方、ポンド円相場(GBP/JPY)では、BOEの利下げが意識される中でも、ポンド高が進んでいる。12日のニューヨーク市場の終値は1ポンド=188.58円で、終値としては2015年8月21日(191.49円)以来の円安ポンド高水準だ。12月末(179.52円)との比較では、ポンドは円に対して5.05%も強くなっている。

ポンド円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

とはいえ、ポンド円相場の値動きは、ポンド高よりも円安の側面が強そうだ。2024年に入ってからポンドはドルに対して0.81%安くなっているが、円はドルに対してさらに大きく売られ、5%超も安くなっている。背景には、日銀がマイナス金利政策を解除したとしても緩和的な金融環境が続くとのメッセージを発していることがあり、ポンド円相場のイギリス1月CPIへの反応が小さくなることも考えられそうだ。


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