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ユーロ圏の物価上昇は大幅低下か 9月CPI予想 ユーロ安に弾みも

ユーロ圏の物価上昇は大幅減速する見込み。ECBは利上げ打ち止めを示唆しており、相場を円高ユーロ安に動かす要因になりえる。

出所:ブルームバーグ

欧州連合(EU)統計局が29日に発表する9月のユーロ圏の消費者物価指数(CPI)の速報値は物価上昇率の大幅な低下が見込まれている。予想通りであれば、直近の理事会に際して利上げ打ち止めの可能性を示唆した欧州中央銀行(ECB)の期待に即した結果といえ、10月の理事会で利上げが見送られるとの観測が強まりそうだ。この場合は、CPI発表後に円高ユーロ安の動きが強まる可能性がある。ただ、物価上昇の先行きには不確定要素も多く、結果が上振れて改めてユーロ高が意識される筋書きも消えてはいない。

ユーロ圏の9月CPIは伸び率が4.5%へ減速の予想

EU統計局は日本時間29日午後6時に9月のCPIを発表する。ロイター通信のエコノミスト調査によると、総合指数の伸び率は前年同月比4.5%となり、8月の5.2%から大きく低下する見込み。また、食品、エネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は4.8%の予想で、こちらでも8月の5.3%から物価上昇が大きく減速するとみられている。

ユーロ圏の消費者物価指数(総合、コア)の伸び率の推移

予想通りに物価上昇率が大幅に下がれば、ECBにとっては歓迎すべき内容だ。ECBは14日の理事会で政策金利の0.25%利上げを決定。同時に、政策金利の下限にあたる中銀預金金利が4.00%まで上昇したことを踏まえ、物価上昇率を目標の2%にまで下げることが可能な水準に達したとした。利上げが今回で打ち止めになることを示唆した形だ。

ECBは10月の理事会で利上げ見送りか

こうした中、ECBが10月26日に開く理事会に関しては、利上げが見送られるとの観測が強まっている。金融情報会社リフィニティブのデータによると、10月の理事会での利上げ見送りに関して、投資家の動向から算出される確率は日本時間の27日午前11時の段階で約93%。0.25%利上げの確率(約7%)を大きく上回っている。実際に利上げが見送られれば2022年6月の理事会以来11会合ぶりだ。

ECBの金融政策変更の節目が近づくにつれて、ユーロ円相場(EUR/JPY)の流れにも変化の兆しがみられる。ユーロ円相場は8月30日に一時、15年ぶりの円安ユーロ高水準である1ユーロ=159.76円をつけていたが、その後は円高ユーロ安方向に動き、直近では157円台で推移。9月CPIの結果がECBの利上げ打ち止めにつながる内容だと受け止められた場合、円高ユーロ安の流れが強まる可能性がある。

ユーロ円相場の日足チャートと主な出来事

ただ、物価の先行きをめぐっては、原油価格上昇といった要素もあり、すんなりと低下が続くかは不確かだ。ユーロ円相場が8月30日に15年ぶりの高値を付けた際は、この日発表されたドイツの8月のCPIの伸び率が予想以上に強かったことがユーロ高要因として受け止められた。

このため9月のユーロ圏のCPIが想定以上に強かった場合は改めてユーロ高圧力が強まる可能性がある。また、前日の28日に発表される9月のドイツのCPIについても、総合指数の伸び率が予想の前年同月比4.6%から上振れるなどした場合には、ユーロ高の材料として働く展開が想定されそうだ。


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