注目の日米銀行株5選【2024年最新】
2023年、日米の銀行株は全く異なる推移を見せました。この記事では、2024年1月に注目の銀行株5選をご紹介します。本記事で紹介する銘柄は時価総額に基づいて選定されています。
銀行株の背景知識
2023年の銀行株は、トレーダーに多くの取引機会をもたらしました。米国では、銀行セクターに2007/2008年の世界金融危機以来最大の危機が訪れた一方、日本では、金利が上昇に転じるとの期待から好調に推移しました。
銀行株の分類
銀行は基本的に以下の3種類に分類されます。
- 商業銀行 - 商業銀行は一般的にイメージされる典型的な銀行業務を行っています。この種類の銀行は、顧客から預金を預かり、その現金の大半を高い金利で借り手に貸し出すことで利益を上げます。
- 投資銀行 - 投資銀行は大規模で複雑な金融取引の仲介を行います。顧客は主に企業や政府で、企業同士の合併や新興企業の新規株式公開(IPO)に関与しています。
- ユニバーサルバンク - ユニバーサルバンクは商業銀行業務と投資銀行業務の両方を取り扱う銀行です。
銀行株を見る際に考慮すべきその他の点は、メガバンクやグローバル銀行と地方銀行との違いです。新世代のオンラインやフィンテック銀行など、高い成長の可能性を秘めている銀行が存在するものの、従来の銀行よりもリスクを伴う可能性があります。
銀行株を変動させる要因
銀行株の動向は、さまざまな点で、他のセクターと似ています。
例えば、株価はインフレや経済成長など、株式需要を増減させる幅広い経済要因に左右されます。また、自社株買いなどの企業の動向も、銀行株を短期的に変動させます。複数の銀行株が収支を発表する決算期は、セクターのボラティリティを利用するチャンスでもあります。
銀行は投資家に配当金を支払うことが多く、これによって株価の下落を相殺できる可能性があります。さらに、配当への期待から、配当落ち日の前に取引量が増加することもよく見られます。
ただし、銀行株は金融政策に大きく左右されるという点で、他のセクターにはない特徴があります。中央銀行による金利決定は、貸出機関の利益率に影響を与えます。
日米銀行株の動向
2023年は米国の銀行株にとって変動の激しい年となりました。資金調達の失敗による銀行取り付け騒ぎから始まったシリコンバレー銀行(SVB)の破綻は、ファースト・リパブリックなどの米地方銀行に広がり、その後、米国や欧州の大手銀行も影響を受けました。
金利の上昇によって長期資産の価値が短期資産よりも低くなっため、投資家の信頼を大きく失墜させました。その結果、債券から不動産まで、銀行のバランスシートに影響が及びました。
米国の大手銀行株は比較的安定しており、地方銀行に比べて好調に推移しています。しかし、米国の主要な銀行株を対象とするKBWナスダック銀行指数は、2023年に4.8%下落しています。
全般的に株式市場が明るい日本では、銀行株は堅牢に推移し、東証銀行業株価指数連動型上場(1615)は2023年に29%上昇しました。日本銀行は長期金利の上昇を容認し、マイナス金利政策からの脱却を前向きに検討しています。これが実現すれば、融資利鞘の拡大と事業規模の拡張を促進できるかもしれません。
注目の日米銀行株5選
以下では、2024年1月に注目の5つの銀行株をご紹介します。(株価やその推移は1月9日時点の数値を引用しています。過去の実績は将来の株価動向を示す指標ではありません。)
JPモルガン・チェース(JPM)
米国最大の時価総額を誇るJPモルガン・チェースは、投資銀行業務、商業銀行業務、金融取引処理、資産運用などを行う巨大機関です。顧客運用資産は約2.6兆ドル、従業員数は25万人を上回ります。
2023年に地方の中小銀行が低迷する中、同行は着実に業績を伸ばしました。同年5月にファースト・リパブリック銀行を買収したことで、預貯金が920億ドル、ローンが1730億ドル、証券が300億ドル増加しました。
株価は2023年に26.8%上昇し、株価収益率(PER)は10.26倍となっています。
バンク・オブ・アメリカ(BAC)
バンク・オブ・アメリカは時価総額で米国第2位の銀行です。消費者銀行、グローバル資産・投資管理、グローバル銀行・市場などのサービスを提供しています。同行の資産・投資管理部門はメリルリンチ・ウェルス・マネジメントとバンク・オブ・アメリカ・プライベート・バンキングで構成されており、富裕層や超富裕層に向けたサービスに注力しています。
同行の消費者預金残高は約1兆3000億ドルに上ります。オンラインおよびモバイルテクノロジーの改善に力を入れており、約5700万人のデジタルユーザーを獲得しています。
株価は2023年に1.7%上昇とほぼ横ばいに推移し、PERは9.57倍となっています。
ゆうちょ銀行(7182)
ゆうちょ銀行は、主に全国の郵便局ネットワークを通じて、個人および法人顧客にさまざまな銀行サービスを提供しています。同行のサービスには、流動性預金、定期預金、ローンなどが挙げられます。また、海外で発行されたカードに対応した国際ATMサービスも提供しており、訪日観光客にとって便利なサービスとなっています。
同行は国内最大の顧客数を誇り、通常貯金口座数は約1億2000万に上ります。総貯金残高は約194兆円、運用資産合計は約226.3兆円となっています。また、株主還元方針では、配当性向を50%程度に維持することを目標としています。
2023年の株価は27.3%増加し、PERは15.4倍となっています。
あおぞら銀行(8304)
あおぞら銀行およびその子会社は、日本国内外で融資や、外貨預金をはじめとする各種預金・口座など、さまざまな金融サービスを提供しています。また、投資信託やNISAも取り扱っており、2024年の新NISA制度に関連する商品の人気が高まっています。
同行の子会社であるGMOあおぞらネット銀行は、個人や法人向けに迅速な口座開設サービスを提供し、振込手数料の引き下げを打ち出しています。また、ネット銀行の組込型金融サービス「Baas by GMOあおぞら」は、アプリケーションや経理業務フローに、APIや振込入金専用口座(バーチャル口座)などを組み込むことで、事務作業時間の削減やコストダウンに寄与します。
同行の預金・譲渡性預金は約5.7兆円、総資産は約7.8兆円となっています。株価は2023年に18%上昇したものの、PERは68.97倍と高い水準にあります。
イオンフィナンシャルサービス(8570)
イオンフィナンシャルサービスは、ショッピングセンター、スーパーマーケット、ディスカウントストアなどを運営するイオングループの一部門です。国内では、クレジットカード事業、銀行事業、電子マネー事業などを展開しています。
イオンカードは銀行預金や電子マネー「WAON」などの機能を搭載しており、顧客は買い物でポイントを貯めることができます。また、ATM、各種ローン、資産運用などのサービスも提供しています。
2023年11月のカードショッピング月間取扱高は6110億円を超えています。2022年の銀行事業の預金残高は約4.4兆円、総資産は約6.7兆円でした。
2023年の同行の株価は、従来型の銀行に比べて激しく変動し、52週間で1,165円から1,431円まで幅広く推移しました。2023年の1年間で9.6%下落し、PERは14.29倍となっています。
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