FRBの3月利下げ見送り再浮上 円安要因 アメリカGDP安定か
アメリカの10-12月期成長率は2%の予想。結果が上振れれば、3月利下げ見送りの確度が高まり、FX市場が大きく動く可能性も。
アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)が3月も利下げを見送るとの観測が再浮上している。CMEグループのデータによると、3月の利下げ見送りに関する確率はこのところ50%程度で推移。約2週間前には2割を切っていたことを踏まえれば、利下げ見送りの確度が高まっている形だ。金利水準が下がらないとの見立てはドル円相場で円安要因として働いている。25日に発表される2023年10-12月期GDP速報値では実質成長率が安定水準といえる2.0%になると予想されているが、結果が上振れすれば、利下げ見送りの確率がさらに高まる可能性もありそうだ。
FRBの3月利上げ見送り確率は50%超に
CMEグループのデータによると、3月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ見送りについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間の24日午前11時ごろの段階で約53%。12日につけた約19%という水準と比べて、利下げ見送り観測が強まっている。また、1月30、31日のFOMCでの利下げ見送り確率は約98%に達している。
FRBの金融政策をめぐっては、FRBが12月13日に2024年に3度の利下げを行う方向性を示したことで、3月利下げ観測が急拡大。1月11日の12月消費者物価指数(CPI)発表後も利下げ期待は崩れなかった。しかし17日に発表された12月小売売上高が市場予想を超える強さを示すと、物価上昇圧力の強さが意識され、利下げ観測が後退。長期金利(10年物米国債利回り)は12月27日には3.7%台をつけていたが、足元では4.1%台まで上昇している。
FX市場のドル円相場では円安ドル高が進行
金利の先高観の復活は外国為替市場(FX市場)ではドル高要因として働いている。23日のニューヨーク市場でのドル円相場(USD/JPY)の終値は1ドル=148.36円で、2日の安値(140.80円)から約7.5円の円安ドル高水準にある。
一方、23日のドル円相場では円高が進む場面もあった。日本銀行が金融政策決定会合後に発表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、賃上げと物価上昇の好循環実現について「先行きの不確実性はなお高いものの、こうした見通しが実現する確度は、引き続き、少しずつ高まっている」と言及。日銀がマイナス金利政策解除を見据えているとの見方から円が買われ、植田和男総裁の記者会見中には一時、1ドル=146.97円をつける場面もあった。しかしその後の海外市場での取引では、円高の流れはドル高の勢いにかき消された。
アメリカ10-12月期GDPは2%成長の予想
こうした中、金融市場の注目は米商務省が25日午前8時30分(日本時間25日午後10時30分)に発表する10-12月期GDP速報値に集まる。LSEGがまとめた調査によると、実質成長率に関する事前予想は、前期比年率換算2.0%で、7-9月期の4.9%から大きく鈍化する見通し。ただ、FRBが長期的な成長率の目安としている1.8%は上回る水準で、安定的な数字とみなすことができる。
実際に発表されるGDP成長率などが予想を超える強さだった場合、FRBが3月も利下げを見送るとの観測がさらに強まり、ドル高要因として働く可能性がある。ドル円相場はこのところ148円台での横ばいが続いているが、GDP速報値の結果次第で相場が大きく動くシナリオも想定されそうだ。
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