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米国株に楽観強まる S&P500が6連騰 高成長でも物価上昇減速

アメリカの10-12月期のGDP成長率は好調。物価上昇率はFRBの見立て通りの水準で、株式市場に安心感が広がった。

米国株に楽観強まる S&P500が6連騰 高成長でも物価上昇減速 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場で楽観ムードが強まっている。25日のS&P500種株価指数の終値は6営業日続伸となる0.53%高。5営業日連続での史上最高値の更新が続いている。この日発表された2023年10-12月期GDP速報値での成長率が、事前予想を大きく超えたことが好感された。投資家が待ち望んでいる米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを遠のかせる結果ともいえるが、物価上昇率はFRBの見通しに沿った水準で、株式市場での安心材料となったようだ。ただ、30日以降に相次ぐ大手ハイテク企業の決算発表の結果や見通しでも株価は大きく動くとみられ、投資家の関心を集めそうだ。

アメリカ10-12月期成長率をS&P500が好感

25日のS&P500(SPX)の終値は4894.16。6営業日続伸は12月7-14日以来。6営業日での上昇率は3.27%に達した。19日に約2年ぶりに史上最高値を更新してから、株価上昇が勢いづいている。長期金利(10年物米国債利回り)は4.1%台で推移しているが、株価の勢いが勝った形だ。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

S&P500の追い風になったのは10-12月期GDP速報値の結果。実質成長率は前期比年率3.3%で、市場予想の2.0%を大きく上回った。7-9月期の4.9%からは減速したものの、米国経済の底堅さを印象づける数字だ。個人消費が2.8%伸びているほか、企業による設備投資も1.9%増と堅調。輸出も6.3%上昇している。

アメリカの実質GDP成長率と各項目の寄与度の推移のグラフ

一方、こうした米国経済の強さはFRBには物価上昇圧力の強さとして映る。10-12月期のGDPを前年同期比での伸び率でみた場合、3.1%となり、FRBが12月の経済見通しで示した2.6%を大きく上回った。この意味では景気過熱が感じられ、FRBは利下げが難しくなったととらえることもできる。

10-12月のPCE物価指数の伸び率はFRBの思惑通り

ただ、GDPと同時に発表された10-12月期の個人消費支出(PCE)物価指数の前年同期比伸び率は2.7%で、FRBが見込んでいた2.8%をわずかに下回る水準。また、食品とエネルギーを除いたコア指数での伸び率は3.2%で、FRBの見通し(3.2%)通りだった。FRBの想定以上に景気は強いものの、物価上昇率は思惑通りに下がっているという理想的な結果ともいえそうだ。

こうした中、金融市場での利下げへの期待は崩れていない。CMEグループのデータによると、3月の連邦公開市場委員会(FOMC)後に政策金利が現状よりも低くなっていることについて、投資家の動向から算出される確率は、日本時間の26日午前11時段階で約49%。24日の約41%から、3月利下げの確率が高まった。5月までの利下げについては、約90%の確率が見込まれている。

マイクロソフト、アップルなどの決算発表に注目

ただし米国では企業の10-12月期決算発表が本格化しており、今後、株価に動揺が走る可能性は拭えない。「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7銘柄の一角として株式相場を引っ張ってきた電気自動車(EV)大手のテスラは24日の決算発表で2024年の成長が「著しく低くなる」と警告し、25日の終値は前日比12.13%安となった。

30日にはアルファベット(GOOGL)とマイクロソフト(MSFT)、2月1日にはメタ・プラットフォームズ(META)、アップル(AAPL)、アマゾン・コム(AMZN)の決算発表が予定されている。決算の結果や2024年の見通しが投資家の失望を招けば、時価総額が大きい各社の株価が崩れてS&P500を下押しする展開も考えられそうだ。


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