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円安の影響を無視できなくなってきた植田日銀、ドル円 今日の見通し

根強い円安が経済や物価に与える影響を無視できなくなってきた植田日銀。「主な意見」では、今後の情勢次第で金融緩和の度合いを調整する意見が相次いだ。しかし、昨日の外為市場は円安優勢の展開となった。ドル円は1円レンジで上値の水準を見極める状況にある。今日の注目材料は?ドル円の展望は?

サマリー

・円安の影響を無視できなくなってきた植田日銀、しかし外為市場では円安が続いている
・今日はミシガン大学消費者態度指数が米金利と米ドル相場の変動要因となろう
・ドル円は1円レンジで新たな上値の水準を見極める状況にある
・ドル円の反落局面では、21日線のサポート転換を確認したい


円安の影響を注視する植田日銀

日銀は9日、金融政策決定会合における主な意見(2024年4月25~26日開催分)を公表した。

進行する円安の影響で物価が上振れするリスクを指摘する意見の他、今後の情勢次第で金融緩和の更なる調整を検討することが必要との意見が相次いだ。

日銀の植田和男総裁も円安について「過去の局面と比べて為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている側面、あるいはリスクがあることは意識しておく必要がある」と述べ、4月26日の定例会見から見解を修正してきた。


根強い円安の圧力

しかし、昨日の外為市場ではクロス円を中心に円安優勢の展開となった(下のチャートを参照)。この状況は、日銀が追加の利上げに踏み切っても基本的なスタンスが緩和的であることを市場参加者が想定していることを示唆している。

また、日銀がタカ派へ転じる兆候が見られても円安が続く状況は、日本の実質金利がマイナスであることも影響していると考えらえる。

円相場の動向:5月9日

円相場の動向:5月9日 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成

焦点は米国の経済指標

根強い円安が続く一方で、先週の連邦公開市場委員会(FOMC)以降、じわりと米ドル安のムードが漂っている。

昨日は新規失業保険申請件数(5月4日まで)が前週比2万2000件増の23.1万件と昨年8月の終盤以来、約8カ月ぶりの水準へ増加した。4月の雇用統計に続き労働市場の減速の兆候が示されたことで米債市場では金利が低下。米金利の低下は米ドル売りの要因となった。

今日は、5月のミシガン大学消費者態度指数(速報値)が発表される。市場予想は76.2と、前月の77.2から低下する見込みである。先行景況感のそれは75.0と、こちらも前月の76.0から低下する予想となっている。予想以上に結果が下振れる場合は、「米金利の低下→米ドル安」の要因となろう。

また、消費者態度指数以上に注目したいのが、期待インフレ率の動向である。1年先の市場予想は3.2%、5-10年先のそれは3.0%と、いずれも前月から横ばい予想となっている。

労働市場の減速が確認されたタイミングで期待インフレ率が予想外に低下する場合は、「米金利の低下→米ドル安」の進行が予想される。一方、期待インフレが予想外に上昇する場合は、逆の展開を想定しておきたい。

米国 ミシガン大学消費者態度指数と期待インフレ率の動向:23年以降

米国 ミシガン大学消費者態度指数と期待インフレ率の動向:23年以降 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成 / 赤のドット:5月の市場予想

ドル円:今日の焦点と注目のチャートポイント

上昇の局面では「1円レンジ」の攻防が焦点に
日銀がタカ派の姿勢へ転じる兆候が見られても、外為市場では根強い円安のトレンドが続いている。この状況を考えるならば、今日のドル円(USD/JPY)は引き続き上値のトライを意識したい。

通貨オプション市場のリスクリバーサルを確認すると、ドルプットの傾きが急速に後退している(下のチャート、赤枠を参照)。また、予想変動率は低い水準で安定的に推移している(下のチャート、赤枠を参照)。

これらの状況を考えるならば、ドル円が下落しても、それが円買い介入以外での理由ならば、下落幅は限定的となることが予想される。

ドル円のリスクリバーサルと予想変動率の動向:23年以降

ドル円のリスクリバーサルと予想変動率の動向:23年以降 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成


ドル円の上昇局面では、「1円レンジ」の攻防に注目したい。この点を下のチャートで確認すると、目先は156.00レベルの突破が焦点となろう。

5月2日の早朝に円相場が突如急伸した。156.00レベルはその後の反発相場を止めた経緯がある。テクニカルの面では半値戻しの水準にあたり、現在はこの水準で相場の上昇が止められている。

ドル円が156円台へしっかりと上昇する場合、次の焦点は157.00レベルのトライとなろう。この水準は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる。

そして最も重要な水準が158.00の攻防である。4月29日に円相場が突如急伸した。その後の反発相場を止めたのが158.00の水準だった。そして5月2日早朝の円急伸相場の高値も158.00の水準だった。

これら2回の急伸局面(円高)は、政府・日銀による円買い介入(約8兆円規模の為替介入)が要因との観測がある。実際にそうならば、158.00の水準は政府・日銀が防衛ラインとして設定した可能性がある。

市場参加者もこの点を意識することが予想される。ゆえにドル円が156円、157円と上昇トレンドを維持しても、158円を目指す局面では「不意打ちの円高」を警戒しておきたい。

ドル円のチャート:1時間足 4月26日以降

ドル円のチャート:1時間足 4月26日以降 TradingView提供のチャートで作成

反落の局面では21日線の攻防に注目

日足のモメンタムは再びゼロラインを下回る状況にある(下のチャート、赤矢印を参照)。ストキャスティクスの上昇トレンドも一服し、デッドクロスを形成するムードにある(下のチャート、赤矢印を参照)。

上で述べた米国の経済指標が「米金利の低下→米ドル安」の要因となれば、ドル円(USD/JPY)は156円がレジスタンスとして意識され反落する展開が予想される。

ドル円が下値をトライする局面で注目したいのが、21日線の攻防である。この移動平均線は今日現在、154.95レベルで推移している(下のチャート、青ラインを参照)。155円の維持を見極めるうえでも、21日線の攻防は重要なテクニカルラインである。

ドル円がこの移動平均線で反発する場合は、地合いの強さを市場参加者に意識させよう。このケースでは、来週以降も156円、157円そして158円を意識した展開が続くと予想する。

一方、ドル円が21日線を簡単に下方ブレイクする場合は50日線を目先の下限と想定し、154円そして153円と1円レンジで新たなサポート水準を見極めることになろう。なお50日線は今日現在、152.30台で推移している(下のチャート、緑ラインを参照)。

ドル円のチャート:日足 3月以降

ドル円のチャート:日足 3月以降 TradingView提供のチャートで作成

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