逆指値注文（ストップ注文）と指値注文（リミット注文）の違いとは

そもそも注文とは何か？

そもそもマーケットでの「注文」とは何でしょうか？
簡単に言えば、株式や通貨などの金融資産を新たに保有する場合、または既に保有している資産を清算したい時に、投資家やトレーダーが行う売買行為のことです。
投資家やトレーダーが売買の注文を出すと、通常は証券会社などを通して注文が執行されます。

注文には種類がある

注文の種類を大きく分類するとー

1. 新たなポジションを保有するための注文（エントリー注文）
2. すでに保有しているポジションを清算するための注文（クロージング注文）

に分けることができます。

エントリー注文は、現在の相場が一定水準に達した場合に新たなポジションを保有する注文となります。
一方、クロージング注文は、現在の相場が一定水準に達した時、すでに保有しているポジションを清算する注文のことです。

エントリー注文は、あらかじめ設定した価格で取引をするため、マーケットを常に監視する手間が省けます。
クロージング注文も同じく監視の手間が省けます。また、マーケットが有利に動いている場合は利益を確定し、相場が不利に動いている場合は損失に歯止めをかけることができます。

エントリー注文とクロージング注文には、2種類の注文方法があります。

1. 逆指値注文（ストップ注文）
2. 通常の指値注文（リミット注文）

逆指値注文（ストップ注文）と通常の指値注文（リミット注文）の違い

逆指値注文（ストップ注文） とは、現在の価格よりもあえて高い水準で買い、あえて低い水準で売る注文方法のことです。
指値注文 （通常の注文/リミット注文）とは、現在の価格よりも低い水準で買い、高い水準で売る注文方法のことです。

一般的にマーケットの取引では、通常の指値注文の方が多く使われます。
しかし、マーケットの状況によっては逆指値注文を用いることで、効率的にポジションのリスク管理ができます。
よってお取引する際は、マーケットのトレンドと保有しているポジションの動向をよく把握した上で、逆指値注文と通常の指値注文を使い分けると良いでしょう。

逆指値注文（ストップ注文）の活用法

逆指値注文（ストップ注文）は2種類あります。

1. 「損切り」のための注文
2. 「新たにポジションを保有する」ための注文

1. 「損切り」のための逆指値注文

「損切り注文」とは、すでに保有しているポジションを決済するために用いる注文方法のことです。「ストップロス注文」とも言います。

例えば、すでに買いや売りのポジションを保有している状況で、マーケットが思惑とは逆のトレンドへふれる場合、保有ポジションを放置しておくと損失額が拡大してしまいます。しかし、リスクを許容できる範囲内であらかじめ損切りの逆指値注文を出しておけば、マーケットの下落幅（上昇幅）が拡大しても損失の拡大を防ぐことができます。

＜例＞
逆指値注文（ストップ注文）で損切りをする場合の例を見てみましょう。

1株1,000円で購入したＡ社の株を100株保有している投資家Ｂさんがいます。
ある日、Ａ社の最高経営責任者(CEO)が引退を表明しました。これを受け、同社の株価は900円まで下落しました。投資家Ｂさんは、CEO引退のニュースによるA社株の下落は一時的なものと考えています。しかし、一時的な下落で終わらない場合は損失が拡大してしまいます。
両方の可能性を考えた投資家Bさんは、現在の株価900円から200円下の水準にあたる700円で損切りの逆指値注文を出しました。
A社の株価は下落し続け、逆指値の水準700円に達しました。この注文は自動的に執行され、3万円（300円の損失×100株）が確定しました。
その後、Ａ社の株価は500円まで下落しました。投資家Ｂさんが700円の損切り注文を出していなければ、損失額は5万円（500円の損失×100株）まで拡大するところでした。

2. 「新たにポジションを保有する」ための注文

逆指値注文（ストップ注文）は、新規でポジションを保有する時に使うこともあります。この注文方法は、「ストップエントリー注文」といいます。
ストップエントリー注文は、新たなトレンドが発生する可能性を想定して行う注文です。

＜例＞
例えば、C社の株価がある水準で何度もサポートされているとします。何度も相場の下落を止める水準を「サポートポイント」といいます。株価がサポートポイントを下抜ける場合、さらに下落幅が拡大することを予想する投資家やトレーダーは、サポートポイントより下の水準であえて売りを仕掛けます。
実際、サポートポイントを下抜けた株価が想定どおりに下落トレンドを形成する場合、売りの逆指値注文で利益を得ることができます。

一方、何度も株価の上昇を止めるポイントを「レジスタンスポイント」といいます。株価がレジスタンスポイントを突破する場合、新たな上昇トレンドが発生することがあります。これを予想する投資家やトレーダーは、あえてレジスタンスポイントよりも上の水準で買いを仕掛けます。
実際、株価がレジスタンスポイントを突破し新たな上昇トレンドが発生する場合は、買いの逆指値注文で利益を得ることができます。

通常の指値注文（リミット注文）の活用法

通常の指値注文（リミット）は2種類あります。

リミットエントリー注文

ひとつは、新規のポジションを保有する時に用いる注文方法です。これを「リミットエントリー注文」といいます。
リミットエントリー注文は、マーケットが現在の価格よりも上昇（下落）した時に売る（買う）注文方法のことです。つまり、より有利な価格で売買する注文方法です。

リミットクローズ注文

通常の指値注文（リミット注文）は、保有しているポジションを清算する際にも用いることができます。これを「リミットクローズ注文」といいます。保有ポジションの利益を確定する時に用いられます。

指値注文で注意したいこと

逆指値注文（ストップ注文）や通常の指値注文（リミット注文）には、いくつの注意点があります。

注文の期間

逆指値注文も通常の指値注文も、指値で取引をする場合は「期間」を設定する必要があります。
指値注文では様々な期間を設定することができます。以下はその一例です。
• Good till cancelled：英語の頭文字をとって「GTC注文」といいます。お客様ご自身でキャンセルするか、約定するまで指値注文は執行待ちの状態が続きます。
• Good till date：英語の頭文字をとって「GTD注文」といいます。有効期限の日時を指定する注文となります。

スリッページの発生（逆指値注文の場合）

逆指値注文で保有ポジションを損切りする場合は、「スリッページ」の発生に注意する必要があります。
スリッページとは、あらかじめ指定した指値の価格と実際の約定価格の誤差のことをいいます。
指値で取引したのに、なぜ実際の約定価格との間で誤差が生じるのか？
それは、逆指値注文が「成行き注文」で執行されるという特徴があるからです。
あらかじめ指定した逆指値注文の価格に実際の株価や為替レートが到達する場合、この注文は成行き注文として執行されます。
成行き注文では、その時の価格（レート）で注文が執行されます。成行き注文が執行される瞬間に何らかの理由でマーケットが大きく変動する場合、約定価格が逆指値注文の価格からかい離することがあります。この差が「スリッページ」の要因となります。
損切りの逆指値注文でスリッページが発生すると、損失額が想定以上に拡大する可能性があります。このスリッページのことを「ネガティブスリッページ」といいます。
一方、スリッページには「ポジティブ・スリッページ」もあります。
これは、あらかじめ指定した逆指値の価格よりも投資家やトレーダーにとって有利な価格で約定することで発生するスリッページのことです。

スリッページを防ぐには

IG証券ではスリッページを防ぐためのツールとして、「ノースリッページ注文」を提供しています。
ノースリッページ注文とは、一定の保証料（プレミアム）をお支払いただくことにより、指定した価格で確実にストップ注文が執行される注文方法のことです。

逆指値注文（ストップ注文）の出し方

新規のポジションを保有する場合

逆指値注文（ストップ注文）を用いて新規のポジションを保有したい場合は、次の手順で行ってください。

1：取引システムにログイン
2：取引する市場と銘柄を選択
3：取引システムの右上「注文」タブをクリック
4：「指値・逆指値」タブをクリック
5：現在の価格（レート）よりも不利な水準で指値を指定※

※買いの逆指値注文の場合は、現在の価格（レート）よりも上の水準で指値を指定
※売りの逆指値注文の場合は、現在の価格（レート）よりも下の水準で指値を指定

保有中のポジションに逆指値注文を付加する場合

逆指値注文を使って保有するポジションを損切りする場合は、次の手順で行ってください。

1：取引システムにログイン
2：取引システムの左側にある「保有ポジション」をクリック
3：損切りしたいポジションの「逆指値(決済) 」に価格（レート）を入力

損切注文の種類

IGグループでは、3種類の損切り注文（ストップロス注文）を提供しています。

1. ストップロス注文
2. ノースリッページ注文
3. トレーリング・ストップロス

1. ストップロス注文
「ストップロス注文」は、一般的に使われている注文方法です。

買いポジションの損失を限定したい場合は、買値（買いポジションの価格）よりも下の水準で売りのストップロス注文を指定します。
売りポジションの損失を限定したい場合は、売値（売りポジションの価格）よりも上の水準で買いのストップロス注文を指定します。

2. ノースリッページ注文
「ノースリッページ注文 」は、一定の保証料（プレミアム）を支払うことで、指定した価格（レート）で確実に注文が執行される注文方法です。スリッページ（逆指値の価格と約定価格の差）の発生を防ぎたい場合は、ノースリッページ注文をおすすめします。

次の手順でノースリッページ注文が設定できます。
1: 注文画面の「決済設定」にある「逆指値」の「▼」をクリック
2：「ノースリッページ」を選択
3：ノースリッページの価格を入力

3. トレーリング・ストップ注文
トレーリング・ストップ注文 は、マーケットがトレーダーにとって有利な方向に変動した際、あらかじめ設定したトレーリング・ストップ注文の価格（レート）とマーケット価格（レート）の差を維持しながら、自動的にトレーリング・ストップ注文の価格（レート）を更新する機能です。

マーケットが思惑通りの展開となっている場合、トレーリング・ストップ注文の価格（レート）は有利な水準に更新されていきます。
一方、マーケットが思惑とは逆の展開となる場合（トレーダーの予想とは逆の展開となる場合）、マーケット価格（レート）が最新のトレーリング・ストップ注文の価格（レート）へ到達した時点で保有ポジションが清算されます。トレーリング・ストップ注文が執行された水準によって、利益または損失が発生します。

通常の指値注文（リミット注文）の出し方

新規のポジションを建てる場合

通常の指値注文（リミット注文）を用いて新規で買いのポジションを保有したい場合は、現在の価格（レート）よりも低い価格（レート）で指値を指定します。
一方、通常の指値注文を用いて新規で売りのポジションを建てたい場合は、現在の価格（レート）よりも高い価格（レート）で指値を指定します。

保有ポジションの利益を確定する場合

すでに保有している買いポジションの利益を通常の指値注文で確定したい場合は、買った時の価格（レート）よりも上の水準で指値の売り注文を設定します。
一方、売りポジションの利益を確定したい場合は、売った時の価格（レート）よりも下の水準で指値の買いを設定します。

これまで解説してきたとおり、逆指値注文（ストップ注文）と通常の指値注文（リミット注文）を上手く活用できれば、利益を最大化することができます。また、ポジションのリスク管理としても有効です。
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