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日経平均、週次1000円超安 下期3回目 S&P500下落続く

日米で株価が大幅安。VIX指数は7か月ぶりの高さになった。アメリカの金融政策や政治混乱を背景にした金利上昇が重荷だ。

出所:ブルームバーグ

20日までの日米の株式市場は株価の急落が続いた。日経平均株価の20日の終値は1週間前比で1056円安。週次での下落幅が1000円を超えるのは7月以降で3回目となり、下半期の不調が長引いている形だ。アメリカの株式市場でもS&P500種株価指数が20日まで4日続落しており、ウォール街の恐怖指数と呼ばれるVIX指数は7か月ぶりの高さまで上昇した。長期金利(10年物米国債利回り)が5%台に迫る中、株価の先行きへの不安は強く、本格的な反転の兆しはみえてこない。

日経平均は1週間で1056円の下落

日経平均(N225)の20日の終値は3万1259.36円で、1週間前比1056.60円安。前週は1300円を超える値上がりだったが、すぐに勢いがそがれた形になった。日経平均の週次の下落幅が1000円を超えるのは、2023年下半期では8月中旬、9月中旬に次いで3度目。この間、1000円超の値上がりも2度あったが、上半期に27%上昇した勢いは失われたままだ。

株価は米国でも下落傾向が強まった。S&P500(SPX)の20日の終値は4224.16で、1週間前比2.39%安。S&P500は10月に入って下落に歯止めがかかる兆しも出ていたが、20日までの4日連続の前日比マイナスで3週ぶりの週次下落。下半期に入ってからの最安値を更新した。

日経平均とS&P500の週次騰落率の推移のグラフ

VIX指数は7か月ぶりの高さに

こうした中、VIX指数(VIX)は20日に21.71まで上昇した。シリコンバレーバンク(SVB)などの経営破綻で銀行システムへの不安が高まっていた3月24日(21.74)以来7か月ぶりの水準だ。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出される数値で、数字が大きいほど今後の値動きが荒くなることへの警戒感が強いことを意味する。

VIXとS&P500の推移

米国の株価の足を引っ張っているのは長期金利の上昇だ。20日のニューヨーク債券市場での終値は4.924%で、前日からは0.064ポイントの低下となったが、引き続き16年3か月ぶりの高水準であることには変わりない。長期金利の上昇は株式の投資先としての魅力を相対的に薄れさせるとともに、企業の資金調達コストを高める要因として、株価の下落圧力として働くとされている。


アメリカの長期金利上昇が重荷

長期金利上昇の背景には米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の先行きに関する不透明感がある。FRBは7月まで物価上昇抑制を狙って政策金利の引き上げを続けてきたが、最近は長期金利上昇の結果として政策金利を上げる必要性が薄れているとするFRB幹部の発言も目立っていた。しかしジェローム・パウエル議長は19日の講演で今後の経済指標次第では「金融政策のさらなる引き締めが正当化される」とも述べており、金利の先高観を強める結果となっている。

また、米国政治の混乱という不安要素も続く。下院多数派の共和党内では議長選出をめぐる対立が治まらず、議長候補となっていた強硬派のジム・ジョーダン下院議員が20日に撤退した。現在のつなぎ予算が期限切れとなる11月17日まで1か月を切る中、その後の予算をめぐる協議が進められない状態だ。格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは米国政治の混乱は米国の信用にマイナスに働くとの見解を示しており、下院の機能不全は米国債の売り材料。結果として長期金利上昇を後押しする可能性がある。

中東情勢の緊迫が続いていることも株式市場にとっては不安要素だ。米国内外の政治・経済の混迷が早期に収まる気配はなく、当面は米国株にかかる下押し圧力が日経平均の重荷となる状況が続きそうだ。


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